タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

切迫早産にペッサリー

2012-07-30 21:36:03 | 産科
早産の定義は以前お教えしました。
妊娠22週から妊娠36週で生まれることを言います。

以前は24週からでしたが、22週でも助かるようになったので変更されたのです。
外国ではもっと遅い週数でしか助けられないので、定義も異なります。
とにかく日本では世界一、早産でも助かる国なのです。
そうは言っても、早産で赤ちゃんを産むと、失明や脳性マヒ、呼吸障害など
育てるのがたいへんなことになりかねません。
できることなら正期産で産みたいですよね。

早産するかもしれないことを、切迫早産と呼びます。
切迫早産の治療は交感神経の刺激剤を内服したり、
24時間入院して点滴したりします。
最近ではカルシウムブロッカーという子宮筋を弛緩させる薬も使われます。
どちらにしても健康な女性が何ヶ月も入院するのは、とても辛いことなのです。

オリンピックではちょうど、男子サッカーがスペインに勝ったところですが、
そのスペインのバルセロナ、バルデブロン大学病院のマリア・ゴア博士の研究では、
妊娠中期に子宮頸管という子宮の出口の長さを測って、
25ミリより短ければ、治験の対象とする実験をしたのです。

普通は子宮の出口は40ミリから50ミリくらいです。
お産が近づくともっと短くなって、今度は横に開いてくるのです。
日本でも切迫早産のお母さんには、この子宮頸管の長さを測ることは
保険で認められています。

そしてこの博士がしたのは、25ミリ以下のお母さんのうちの希望者に、
ペッサリーという、子宮が下がる病気の時に用いる輪っかを膣に入れたのです。
その結果、早産発生率はペッサリー装着のお母さんでは6%、
ペッサリーを装着していないお母さんでは27%だったというのです。

解説すると、これまでは薬で治療するしかなかったのに、
ペッサリーという輪っかを使うと、グンと早産が減ったということです。
こんな安上がりで、寝たきりにならない治療なら、やってみる価値がありますね。
という最新の話題でした。
もちろん、まだ日本ではどの先生もされておられないですよ。
というか、世界でもスペインのこの関連の5つの病院だけです。
もし自分が切迫早産になったら、してみたいですか?

今日の写真は先日の外来での写真です。
タマル産で生まれてこんなに大きくなりました。
フェイスブックはこちらhttp://www.facebook.com/tamarclinic

善が成立するためには
犠牲にならなければなりません。
まず先に与えなければならないのです。
自分を愛する以上に
もっと対象を愛するのです。
   
   レバレンド・ムーン

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