タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

梅毒はまだ忘れ去られません

2014-10-15 21:54:49 | 婦人科
三田市の穂実(ほづみ)ちゃん、9月9日生まれ。
「毎年たくさんの実をつける稲穂のように、たくさんの幸せの実をつけてください。
次も今回と同じようなお産がしたいです。」

早くも次のことまで考えておられますね。
次もきっと安産ですよ。

毎年、この時期になると妊婦さんからインフルエンザの予防接種は受けてもいいか、
という質問が有りますが、
もちろん受けた方がいいのですよ。
ただし、妊娠している方は通常のインフルエンザワクチンではなくて、
妊婦さん用のワクチンを受けてください。

どういうものかと言うと、1人分ずつ個別包装されているもので、
水銀からできている防腐剤が含まれていないのですよ。
水銀は胎児に取り込まれて濃縮されますからね。
もちろんたいした量ではないのですが、できれば防腐剤の入っていないものを。
タマル産で、この11月に、希望される妊婦さんに一斉に予防接種をします。
ですから職場等で受ける必要は有りませんよ。

さて、感染症といえば、デング熱でさえ拡散を抑えることは難しいので、
エボラ出血熱ともなれば、いよいよ世界人類を脅かすことになりそうですね。
残念ながら、これから起こることに、皆さんも覚悟をしておかなくてはなりません。

それでも日常的な問題は、また別の問題ですからね。
婦人科で問題になるのは、性感染症ですから、主に接触感染です。
梅毒なんていう病気は、皆さんの記憶から既に無くなっているでしょうが、
それでも今でも時々感染している方や、既往の方を診る機会が有ります。
妊娠初期に全員、血液検査をしますから、ここで引っ掛かります。

稀な病気とお思いでしょうが、
ここ10年ほどで急増していて、年間発症数も倍増しています。
症状が出現して医療機関を受診された方が56%ほどで、
症状が無くて見つかった方が、38%ほどです。
おそらく妊婦健診で見つかったのでしょう。
先天梅毒は昨年は4人で、0.3%です。

他の性感染症が有る場合は、血液検査もして梅毒とエイズの検査もすすめられています。
ですが保険が利かないので、そこまでは検査しないことも多いのです。
しかも問題はクラミジアや淋菌の感染の場合は比較的早期に症状が出ますが、
梅毒の場合は、潜伏期間が10日から90日と長いので、
感染した時期を特定しにくいのです。

血液検査で抗体価が上昇して、検査で引っ掛かるまでにも時間がかかるので、
3ヶ月以上経ってから検査をする必要が有ります。
だから外陰部や喉の局所の病変だけでは、見逃すことも有るのですね。
そして、発熱とともに全身にバラ疹と呼ばれるバラの花のような湿疹が出るのですよ。
ですがこれもすぐになくなるので、本人も医療機関を受診しないことも有ります。

放っておくと、時間をかけて徐々に神経を浸していくのです。

天理に居たときに、飛び込み出産で、後になって梅毒だと分かったことが有ります。
普通に健診していれば、もちろん見つかったでしょう。
こういう場合は、赤ちゃんが先天梅毒になって、かわいそうなことになります。
残念ながら、梅毒の原因菌のトレポネーマをもらってくる方は、
妊婦健診を受けない人に多いのですね。
だから飛び込み出産が問題になるのですよ。

おかげでこの時は、分娩に関わった医師や助産師は、血液検査をしたりしたのです。
深く接した先生は、抗生物質を飲まれていました。
梅毒なら血液を介する、あるいは性行為を介する感染であるために、
こちらは感染の機会はそう多くはないのですよ。

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