タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

へその緒は50センチが標準です

2019-03-13 21:15:37 | 産科
写真は、篠山市大沢新の奏人(かなと)くん、2月15日生まれ。
「周囲の人と調和を取ることができる人になってください。
お産は思っていたより長く辛かったですが、出産した時の感動はとてもすごかったです。」

初めてのお産はこうでなくっちゃ、という見本のようですね。
辛い陣痛も、赤ちゃんをその胸に抱けば、感動の方が勝つのですよね。

今日もタマル産では、初めてのお母さんから赤ちゃんが生まれたのですが、
首にへその緒が3回も巻いていました。
事前に調べて知っていたので、お産の時は万全の体制で挑みましたよ。

タマル産では水曜日が手術日となっています。
どこの病院でも手術日というのが有るのですよ。
産婦人科や外科、眼科など、外科系の診療科は、手術室の都合で振り分けられているのです。
ただし産婦人科や外科などは緊急手術が多いので、例外は有るのですけれどね。

大きな病院では麻酔科の先生も緊急手術では呼ばれますが、
帝王切開は背椎麻酔ですることが多いので、夜中なら麻酔科の先生を呼ばないかもしれません。
それでも自宅待機の看護師さんを呼んだりする必要は有ります。

それでタマル産では水曜日に、なるべくややこしいお産は当たるようにしています。
前回帝王切開のお母さんの次のお産の帝王切開などです。
もしくはこのお母さんのように、難産になりそうな時は、
火曜日の妊婦健診で卵膜剥離という処置をしておくのです。
するとちゃんと水曜日に生まれてくれることが多いのですよ。

ちょっとした計画分娩ですが、陣痛誘発剤を使わなくても良いので、自然分娩と言えます。
平日の昼間の人手の多い時にお産が当たると、リスクがずっと下がるのですよ。
夜中に緊急で帝王切開ともなれば、眠たくて集中力が切れますし、
赤ちゃんを搬送しなくてはいけないような時も、未熟児センターも人手が少ないのです。
あるいは輸血が必要な時も、血液センターの対処にも問題が生じやすいのです。

話しは変わりますが、先日お話したように、今日からタマル産では福知山の日赤血液センターから、24時間、血液を取り寄せられるようになりました。
たまに救急車でもないのにサイレンを鳴らして血液を運んでいる車を見るでしょう?
もっともそんな機会はこれからもまず無いでしょうけれど、保険にはなりますよね。

それでへその緒の話しでしたが、今日の赤ちゃんのへその緒は87センチも有りましたよ。
普通は50センチです。
妊娠の早い時期から首に巻いていると、へその緒って伸びるのですよ。
だから3回巻いていても、余裕が有ったのですね。
もっとも最後は心音が下がってお母さんに酸素を吸ってもらったのですが、
これまたチチンプイと、タマル産オリジナルの肛門挙筋を用手的に広げる方法で、無事に生まれましたよ。
昨日生まれた赤ちゃんは、逆にへその緒が40センチもなくて、
それはそれで最後、ちょっとだけしんどかったのです。

はっきり言って、これらのリスクを下げる処置の積み重ねで、
タマル産では帝王切開率がすごく低いのですよ。
帝王切開でなく経膣分娩だと、お母さんがお産で生命を落とす確率も減ります。

ただしもし外来で臍帯捲絡が有ると言われても、3〜4人に1人は有るのですから、
心配し過ぎはいけません。
ですがリスクも高いことは知っておいてくださいね。
急に吸引分娩になったり、帝王切開になることだって有るのですから。

最近のお母さんは、それでも普通に産めて当たり前だと思われています。
もしくは100%近く安全だと思われています。
でもね、お産って、人生のうちでもっともリスクの高い1日なのですよ。
それはお母さんにとっても赤ちゃんにとってもです。
何も知らないお母さんは、赤ちゃんを産んだら痛いだのとおっしゃられます。

だけど赤ちゃんを産んでその胸に抱いたら、
幸せを噛みしめて欲しいのです。
決して、辛いばかりの陣痛ではなかったでしょう?

この記事についてブログを書く
« 医師にも働き方改革? | トップ | 薬を飲むのは誰が決める? »
最新の画像もっと見る

産科」カテゴリの最新記事