タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

大きな赤ちゃんを産むのは何が問題か

2018-07-09 21:09:21 | 産科
篠山市野中の大雅(たいが)くん、6月6日生まれ。
「おおらかに、雅らかに育ってください。
安産で良かったです。2人目で落ち着いて産めました。
綺麗な個室でゆっくり過ごせました。次も自然分娩がしたいです。」

そうそう、産むごとに楽になっていくでしょう?
3人は産まないと、その良さは分かりませんよね。
もちろん1人しか産まないという選択を否定するものでは有りませんよ。
ですが後にならないと、子を持つ有り難さは分かりませんからね。

ところで難産になるかどうか、というのはいつもお話するように、
経験上一番多いのはへその緒の問題です。
2番目は赤ちゃんが大きすぎることでしょう。
逆に早産などで小さ過ぎる時も生まれにくいのですが、それはまた次の機会に。

最近言われていることは、満期になったら、赤ちゃんの体重が過体重かどうか、もう一度評価した方が良いということです。
とくにただ大きそうだと漠然と見ずに、
頭囲より胴回りが極端に大きくないかチェックしておきなさいというものです。
普通はね、頭回りの方がお腹回りより大きいのですよ。
ところが生まれにくい赤ちゃんは、腹囲の方がずっと大きいのです。

生まれにくいって、どういうことかと言えば、肩甲難産と言うものです。
赤ちゃんは、頭が出ると、胴体はスルスルッと続けて出てくるものなのです。
ところが頭がやっと出ても、胴体が出てこないのですよ。
とくに肩周りが引っ掛かって、お腹を押してもウンともスンとも言わないことが有ります。
そんな時はこちらの心臓がバクバクするのですよね。

赤ちゃんが大きそうかどうか、を見分けるのは簡単です。
お母さんが妊娠中に太ったかどうか、ですからね。
ただ、それほど太っていないのに胎児が大きい時は、糖尿病という可能性も有ります。
若い女性ではまだまだ少ないですが、最近は高齢での妊娠が増えましたから、
糖尿病に近い女性も増えました。

妊娠中の治療と言えば、食餌療法か、インスリンの注射しか有りません。
飲み薬は妊娠中は使えないからです。
インスリンともなれば、毎日自分で注射しないといけないのですよ。
とくに1人目が4キロもあるような赤ちゃんの場合は、
産後に糖尿病かどうかの検査をして、2人目に備えてインスリン治療を始めるべきです。

今日の最後に、赤ちゃんが大き過ぎると何が怖いかお話して、怖がらせて締めましょう。
まずお母さんには、難産になると帝王切開になる確率が上がります。
6月は1人だけ帝王切開をしたのですが、胎児が大き過ぎて、しかもへその緒が首に巻いていたからです。
一度帝王切開をすると、次も帝王切開になる確率が高まります。
反復して帝王切開をすると、出血が増えたり、癒着胎盤になったりで、母体の合併症が急上昇します。

赤ちゃんにとってはどうかと言うと、先ほど説明した肩甲難産になると、
生まれるのに時間がかかると、仮死になって未熟児センターに搬送され、
場合によっては障害が残ることも有ります。
もちろん、亡くなってしまう可能性だってあります。
肩甲難産でもうまく生まれても、母体に深い傷ができると、これまた大出血が起こります。
膣って、とても充血していますから、びっくりするほど血が噴き出すのですからね。

赤ちゃんが大きくても、普通に生まれたら、なんともないと思われるでしょう?
ところが電解質異常が起こったり、低血糖でケイレンを起こしたり、
呼吸窮迫症候群という病気を起こすことが有るのです。
そればかりでなく、赤ちゃんが成長しても、肥満や糖尿病になりやすいというリスクも有るのですよ。

でもね、結局のところ生まれる少し前に分かっても、仕方ないとも言えますね。
妊娠中期までに予想を立てなさい、ということになっていますが、
とりあえず1人目がどのくらいだったか、ということが参考になるでしょう。
それでも、大きな赤ちゃんを産んでも、
みなさん、2人目の時にはすっかり教訓を活かされないのですからね。

タマル産では、大雨が過ぎて、今年植えたハマナスの花が咲いてきました。
ピンクの花を注文したのですが、白い花が咲きました。
業者の手違いだったようですが、まあそれも愛嬌ですか。

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