久しぶりに不妊症の話題です。
先日、豊岡病院で不妊治療を受けられているというカップルが来院され、
子宮卵管造影検査のことを質問されていかれたのですよ。
そうですね、タマル産より北の方では、不妊治療をしている施設が無いのですから困ったものですね。
子宮卵管造影という検査は、子宮の中に造影剤を通して、その先の卵管までの通り具合を見るものです。
この造影剤には大きくは2種類有って、油性と水性です。
造影剤には、ヨードが含まれているので、甲状腺の働きに悪影響が有ると言われていて、
最近はあまりしない方向にあるのですよ。
ヨードがお腹の中に蓄積して、半年間くらい、かえって妊娠率が落ちるというものです。
ですが昔は普通にこの検査をしていて、この検査の後に妊娠することもよく有りましたから、
本当かどうかはもう少し検討が必要でしょうけれど。
それで卵管の通り具合を見るなら、通気テストがおすすめです。
放射線の被曝も無いし、ヨードも使わないし、卵管の動きまで検査できるのですから。
ところが豊岡病院ではこの検査はしていないようでしたよ。
今年になって、ある有名な病院で、通気テストの後に亡くなられた事件が報道されましたが、
あれは通常使う炭酸ガスでなく、なぜか空気を使用したとのことです。
炭酸ガスは二酸化炭素ですからすぐに血液に溶けますが、
空気は窒素ガスが主体ですから、血液に溶けませんからね。
血管に空気を入れると自殺が出来るくらいですから、なぜそんな事件が起こったのかは分かりません。
ということで通常は危険な検査ではありませんよ。
そこで上の写真を見てください。
タマル産で実際に受けられた方の一例です。
縦軸は炭酸ガスの注入圧力で、200mmHgまで圧力をかけることができるのです。
真ん中より下の80mmHgあたりで、上がったり下がったりしているでしょう?
同じ検査を続けて2回しているので、2つの山が有ります。
圧力をかけると上がり、卵管が通ると下がり、また閉まって圧が上昇し、を繰り返しています。
卵管って、イソギンチャクのように、閉じたり開いたりするのですね。
ところでイソギンチャクを見たことが有りますか?
私は以前、グッピーと一緒にイソギンチャクを飼っていたのです。
水槽に張り付いてユラユラ揺れるものだと思われるでしょう?
ところがびっくりしたことに、イソギンチャクって、動き回れるのですよ。
それもすごい勢いでね。飼うのはオススメしませんからね。
次に2つ目のグラフを見てもらいましょうか。
今度の女性では、圧が高いでしょう?
200mmHgの圧力をかけると、ようやく通過するのが分かります。
2回目は160くらい、3回目はやはり200くらいの力を加えないと通りませんでした。
そう、通過障害が有るようですね。
しかも通った後の卵管の動きも少し悪いようです。
癒着も疑われますね。
この間、聴診器をお腹に当てて、炭酸ガスの通過する音も左右で聞き分けるのですよ。
この2つ目のグラフの女性は、以前にクラミジア頚管炎という性感染症になられたことが有り、
治療後もこのように、通りが悪くなったりするのですね。
まったく詰まっているわけではないので、とりあえず保存的な治療を進め、
早い段階で、体外受精に移行した方が良さそうです。
うまく妊娠しても、よく子宮外妊娠になられるのは、このような卵管だからです。
あと、よく質問が有るのは、卵管の検査って、痛いですか?というものです。
でもね、検査中はそれほど痛くありません。
というのは、タマル産では、子宮の中に小さな2mLの風船を入れて、そこからガスを流すからです。
他院ではよく、子宮を2つの鉗子で挟んで、引っ張りながら検査をされるので、
痛かったりします。
また子宮卵管造影をしている施設では、放射線室で検査を受けるので、
事前に婦人科外来で、鉗子をかけておき、放射線室まで移動しないといけないところも有ります。
造影剤は粘稠で、量も多いですから、痛がられる方は多いですね。
それに子宮の入り口を少し開大させるので、その痛みも有って、
血圧が下がって、点滴をして昇圧させなければならないことも有りますしね。
結局、卵管通気テストで、タマル産方式では、それほど痛く有りません。
ただし家に帰ってから、夜くらいに、背中が重たくなります。
それは腹腔内にガスを入れると、排卵して腹腔に出血が溜まった時のように、
右肩に張りが見られるのです。
たいていは我慢できるくらいですが、たまにすごく痛んだという方は居られます。
そういう場合は横になれば和らぎますからね。
不妊症の検査は、1つとってみても、不安なことが多いですよね。
外来で、遠慮なく質問してくださってけっこうです。
もう1つ、ポイントを書くのを忘れていました。
よくマウスの実験では、子宮に炭酸ガスを通すと、それだけで子宮が妊娠したように大きくなります。
これを偽妊娠(ぎにんしん)と言います。
だから卵管通気テストの後に、自然に妊娠することが多いのはこのせいでしょう。
ついでに言うと、マウスの背中をさするだけで、同じように妊娠したような子宮になります。
人にも、愛撫が重要だということでしょうか。
先日、豊岡病院で不妊治療を受けられているというカップルが来院され、
子宮卵管造影検査のことを質問されていかれたのですよ。
そうですね、タマル産より北の方では、不妊治療をしている施設が無いのですから困ったものですね。
子宮卵管造影という検査は、子宮の中に造影剤を通して、その先の卵管までの通り具合を見るものです。
この造影剤には大きくは2種類有って、油性と水性です。
造影剤には、ヨードが含まれているので、甲状腺の働きに悪影響が有ると言われていて、
最近はあまりしない方向にあるのですよ。
ヨードがお腹の中に蓄積して、半年間くらい、かえって妊娠率が落ちるというものです。
ですが昔は普通にこの検査をしていて、この検査の後に妊娠することもよく有りましたから、
本当かどうかはもう少し検討が必要でしょうけれど。
それで卵管の通り具合を見るなら、通気テストがおすすめです。
放射線の被曝も無いし、ヨードも使わないし、卵管の動きまで検査できるのですから。
ところが豊岡病院ではこの検査はしていないようでしたよ。
今年になって、ある有名な病院で、通気テストの後に亡くなられた事件が報道されましたが、
あれは通常使う炭酸ガスでなく、なぜか空気を使用したとのことです。
炭酸ガスは二酸化炭素ですからすぐに血液に溶けますが、
空気は窒素ガスが主体ですから、血液に溶けませんからね。
血管に空気を入れると自殺が出来るくらいですから、なぜそんな事件が起こったのかは分かりません。
ということで通常は危険な検査ではありませんよ。
そこで上の写真を見てください。
タマル産で実際に受けられた方の一例です。
縦軸は炭酸ガスの注入圧力で、200mmHgまで圧力をかけることができるのです。
真ん中より下の80mmHgあたりで、上がったり下がったりしているでしょう?
同じ検査を続けて2回しているので、2つの山が有ります。
圧力をかけると上がり、卵管が通ると下がり、また閉まって圧が上昇し、を繰り返しています。
卵管って、イソギンチャクのように、閉じたり開いたりするのですね。
ところでイソギンチャクを見たことが有りますか?
私は以前、グッピーと一緒にイソギンチャクを飼っていたのです。
水槽に張り付いてユラユラ揺れるものだと思われるでしょう?
ところがびっくりしたことに、イソギンチャクって、動き回れるのですよ。
それもすごい勢いでね。飼うのはオススメしませんからね。
次に2つ目のグラフを見てもらいましょうか。
今度の女性では、圧が高いでしょう?
200mmHgの圧力をかけると、ようやく通過するのが分かります。
2回目は160くらい、3回目はやはり200くらいの力を加えないと通りませんでした。
そう、通過障害が有るようですね。
しかも通った後の卵管の動きも少し悪いようです。
癒着も疑われますね。
この間、聴診器をお腹に当てて、炭酸ガスの通過する音も左右で聞き分けるのですよ。
この2つ目のグラフの女性は、以前にクラミジア頚管炎という性感染症になられたことが有り、
治療後もこのように、通りが悪くなったりするのですね。
まったく詰まっているわけではないので、とりあえず保存的な治療を進め、
早い段階で、体外受精に移行した方が良さそうです。
うまく妊娠しても、よく子宮外妊娠になられるのは、このような卵管だからです。
あと、よく質問が有るのは、卵管の検査って、痛いですか?というものです。
でもね、検査中はそれほど痛くありません。
というのは、タマル産では、子宮の中に小さな2mLの風船を入れて、そこからガスを流すからです。
他院ではよく、子宮を2つの鉗子で挟んで、引っ張りながら検査をされるので、
痛かったりします。
また子宮卵管造影をしている施設では、放射線室で検査を受けるので、
事前に婦人科外来で、鉗子をかけておき、放射線室まで移動しないといけないところも有ります。
造影剤は粘稠で、量も多いですから、痛がられる方は多いですね。
それに子宮の入り口を少し開大させるので、その痛みも有って、
血圧が下がって、点滴をして昇圧させなければならないことも有りますしね。
結局、卵管通気テストで、タマル産方式では、それほど痛く有りません。
ただし家に帰ってから、夜くらいに、背中が重たくなります。
それは腹腔内にガスを入れると、排卵して腹腔に出血が溜まった時のように、
右肩に張りが見られるのです。
たいていは我慢できるくらいですが、たまにすごく痛んだという方は居られます。
そういう場合は横になれば和らぎますからね。
不妊症の検査は、1つとってみても、不安なことが多いですよね。
外来で、遠慮なく質問してくださってけっこうです。
もう1つ、ポイントを書くのを忘れていました。
よくマウスの実験では、子宮に炭酸ガスを通すと、それだけで子宮が妊娠したように大きくなります。
これを偽妊娠(ぎにんしん)と言います。
だから卵管通気テストの後に、自然に妊娠することが多いのはこのせいでしょう。
ついでに言うと、マウスの背中をさするだけで、同じように妊娠したような子宮になります。
人にも、愛撫が重要だということでしょうか。