タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

サイトメガロの検査が保険適応に

2018-08-17 21:32:26 | 産科
写真は、赤ちゃんのお姉ちゃんとお父さんです。
妹ができてよかったね。

ですがもう、お盆に退院されてしまったのです。
今年の夏は大勢の赤ちゃんが生まれましたよ。
ようやく病棟は今、落ち着いてきたところです。

夏休みは取れましたか?
私は、お墓まいりに行ったくらいでしょうか。
よそ者ですので、篠山にお墓は無く、
三田の永沢寺というところに、篠山に来てから、お墓を建てたのです。
篠山も、もっとおおらかに都会の人間を受け入れられる風土が有れば良いのに、と思うのですよ。
三田は昔からキリスト教が盛んだった地域ですからね。

さて今日は、最近の保険の話題を1つ、お話しましょう。
まずその前に、今、関東で風疹が流行し出したのをご存知でしょうか?
妊婦さんが感染すると、赤ちゃんにいろいろと問題が起こるのはご存知ですね?

他にも妊婦さんがかかってはいけない病気がいくつか有るのは、何度もお話していますよ。
トーチと覚えるのでしたね。
TORCHのことで、トキソプラズマ、B型肝炎や水疱瘡、風疹、サイトメガロウィルス、単純ヘルペスの5グループです。

最近、トキソプラズマのお話はしたところなので、今日はサイトメガロウィルスのお話です。
というもの、生まれたばかりの赤ちゃんの尿での、サイトメガロウィルスのPCR検査というものが保険適応になったからです。
生まれてから3週間以内の赤ちゃんだけですよ。
それは3週間以上経つと、妊娠中でなく、生まれてからの感染と区別が付かないからです。

妊娠中にTORCHに感染すると、耳が聞こえなくなったり、目が見えなくなったり、知的障害が出たりします。
どうして気づくかと言えば、最近は生まれてすぐに耳の検査をするようになりましたからね。
残念ながら、費用をけちって検査を受けないお母さんも多いのですが。
新生児の聴覚検査で異常が出た場合などは、このサイトメガロの検査を受けられるようになったということです。

それではなぜ妊娠初期のセット検査で、風疹は有るのにサイトメガロは無いのかという問題です。
それは風疹は予防できる病気だからです。
抗体が十分に有れば、妊娠中に心配する必要は有りませんが、
抗体が十分でなければ、ご主人にすぐに予防接種を打ってもらい、
妊婦さんは産後に、次の子のために予防接種を受ければ良いからです。

ところがサイトメガロウィルスの場合は、予防接種が無いのです。
相手はウィルスなので、治療もできません。
おまけに風疹のように、抗体価が高くても、それは妊娠してから上がったのか、
ずっと前から高かったのかが、よく分からないからです。
それで日本産婦人科学会では、今のところ、検査するとかえって混乱するので、
検査しないようにと指導しています。
それでもしている施設が有って、里帰りのお母さんなど、抗体価が高いと言っては、よく心配されるのです。

感染者の親の会が有るようで、私も覗いてみたら、
自分が妊娠中に上の子の食べ残しを食べたからだ、と後悔されているといった記事などが有ります。
その気持ちは分かるのですが、もっと違う方向でエネルギーを使われた方が良いと思うのですよ。
残念ながら今はまだ予防接種が無いのですからね。

私の兄もポリオウィルスで赤ちゃんの時に亡くなっています。
今なら予防接種は有るのですが、当時は無かったのです。
私が生まれた時は予防接種が始まったばかりだったので、命拾いしたのですよ。
その兄を病気にしたことで、両親はずっと苦しんでいましたからね。

ですが、その両親と兄は、三田のお墓に連れてきています。
お盆は、ご先祖さまに会える時間でしたよ。