タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

前回が帝王切開なら

2018-08-01 23:36:29 | 産科
今日は更新が遅れてゴメンなさい。
夜中に急患の方と救急車に乗っていたものですから。

写真は、今日のお昼間に生まれたばかりの赤ちゃんとお父さんです。
前回のお産は、地元で帝王切開だったのですよね。
途中でへその緒が巻いていて、胎児がしんどくなったから緊急での帝王切開だったようです。
今回もへその緒が巻いていて、ちょっとしんどかったのですが、
今度は経膣的に産みたかったのですよね。
無事、希望通りに産めて良かったですね。
お母さんのお産の写真は、同意を得て、フェイスブックで公開しています。
リンクはこちら。

先週は、1人目は普通に産んで、2人目は横位(おうい)という異常で帝王切開になり、
3回目は、お母さんの希望でもう1度帝王切開されたお母さんが居られました。

このように、前回が帝王切開の時の、次のお産は迷われるのです。
ほんの20年前なら、どこの施設でも、たいていは経膣分娩されていたでしょう。
ですが最近は、一度帝王切開したなら次も帝王切開することの方が多くなりましたね。
それでも経膣的に産みたい、というお母さんは居られるのですよ。
だいたいWHOも、既往帝王切開でもなるべく産みましょう、と提言していますからね。

タマル産では、なるべく産ませてあげたいというスタンスを今も取っています。
ですが、リスクもよく知って挑戦してください。
なんとなくというのでは、後で後悔する羽目になりますからね。

今日、手元に「産科医療補償制度ニュース、10周年記念特別号」という冊子が届きました。
その中に、脳性麻痺の赤ちゃんの統計が載っていました。
約90%の赤ちゃんが在宅で世話をされています。
10%の赤ちゃんは入院したままという意味ですね。
酸素や人工呼吸器を使用したままの赤ちゃんが約20%です。
食事を口から摂取できる子が半分強ですが、胃ろうや鼻からのチューブが40%です。
排泄はおむつが90%。
洗面や行為では、全介助が90%です。

とてもお母さんの努力が必要でしょうね。
赤ちゃんに障害が残ったらとてもたいへんだというのが分かりますね。
もちろん産科補償制度のおかげで、金銭的な助成は受けられるようになったのは良かったのです。
今までは公的補助が無かったので、裁判で勝つことしか方法が無かったのですから。
最近では裁判が減ったのは良いことですが、まだまだ多いのも現状です。

かと言って、安全ばかり重視していると、全員が帝王切開で産む羽目になります。
そうすると母体死亡率が逆に上昇しますから、
赤ちゃんよりも今度はお母さんの心配をしないといけません。

結局は、普通に産むのがベストな選択です。
途中で胎児の状態が悪くなれば、緊急で帝王切開できることは必要です。
前回が帝王切開の場合はどうするか、ですが、
時代の流れとしては、再度帝王切開する希望者が多くなるのでしょう。
それはそれで良いと思いますよ。
ただしタマル産では、お母さんに選択できる余地は残してあげたいと思うだけです。