タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

閉経後の高脂血症対策

2018-08-10 21:40:17 | 婦人科
写真は、今週生まれた赤ちゃんとお婆ちゃんですよ。
本当にいっぺんに生まれちゃいましたね。
今日もこれから赤ちゃんが生まれそうです。
今週産まれたお母さんと赤ちゃんはこちら。

ところで、妊娠中に会社の検診などで、血液検査が異常値だったので精密検査が必要と言われた、
という妊婦さんが多いのです。
それはそうでしょう。
だって、妊娠中なのに、妊娠していない女性の正常値で判断しているのですから。
もちろん妊婦さんと妊娠していない女性では、検査の数値は異なるのです。

代表的なのは、貧血の検査です。
妊婦さんでは、「みかけ上」の貧血になります。
でもね、貧血どころか血液は2倍近くまで増えているのですよ。
増えすぎて、血液が薄まるので、貧血のように見えるだけです。
貧血どころか、血が多い状態なのにね。

もう1つ大きな違いは、脂質でしょう。
脂質の検査が高く出るのですね。
でも妊娠中に高脂血症の薬なんて使ってはいけませんからね。

そこで今日は女性の脂質のお話をしましょう。
いつも妊婦さんの話ばかりなので、更年期女性のためにです。
というのも、女性では閉経を機に、急激に高脂血症が進むからです。

なぜ高脂血症がいけないかと言うと、心臓を動かしている環動脈という血管が詰まって、
心臓が止まってしまうからですね。
心筋梗塞のことですよ。

よく内科で血液検査をしてもらうと、脂質の検査が入っていて、
トリグリセライド(中性脂肪)とコレステロールというのが有りますね。
どちらも男性では特徴的な変化は有りませんが、女性では閉経後に急に上昇するのです。
原因はエストロゲンの減少ということが分かっています。
だからエストロゲンを補充すれば、長生きできるはずですね。

以前はアメリカ女性の30〜40%がホルモン補充療法をしていました。
日本ではわずか数%でしたが。
その後1990年代に、ホルモン補充療法はかえって悪さをするようだと、一時勧められなくなっていたのです。
ですがこれは閉経後10年もしてから開始したので悪かっただけで、
閉経後すぐに始めればやはり効果が有りそうだということになったのですよ。

それで閉経前後の女性が高脂血症を示した場合は、
まず生活習慣の改善を図ります。
喫煙していればもちろん禁煙ですね。
2年もすればリスクが急激に低下すると報告されていますよ。
食事は勉強してください。
体重管理に運動、飲酒の5つを考えれば良いのです。

それと女性ホルモン補充療法も考慮されても良いでしょうね。
ただし5年以上使用すると、乳がんになる確率も上昇するので、定期検診は欠かせません。
マンモグラフィーが勧められていますが、タマル産ではマイクロRNAの血液検査も勧めていますよ。

人生100年時代と言われ、閉経後は更年期症状に対しては、漢方薬なども効果的です。
ただしより積極的に健康寿命を延ばしたいと考えられるなら、
高脂血症の検査と女性ホルモン補充療法も考えられても良いでしょうね。
もちろんその前に先の5つの注意と乳がん検診を受ける必要は有ります。

以前タマル産で出産された女性も、そんな時期に差し掛かっておられることも有りますからね。
そろそろ相談に来院してみてはいかがでしょうか。