歌番号六七
原文 遠无奈乃毛止尓徒可者之遣留
読下 女の許につかはしける
原文 布知八良乃毛呂多々安曾无
読下 藤原師尹朝臣
原文 安遠也幾乃以止川礼奈久毛奈利由久可以可奈留寸知尓於毛比与良末之
和歌 あをやきの いとつれなくも なりゆくか いかなるすちに おもひよらまし
読下 青柳のいとつれなくもなりゆくかいかなる筋に思ひよらまし
解釈 青柳の枝を糸のようだと言う、その言葉の響きではありません、いとつれなく(ひどくそっけなく)素振りをするのですね。糸を撚り機織りの筋にするように、どのような、貴女への心を届ける手立て(筋)を取りましょうか。
歌番号六八
原文 恵毛无乃美也寸无止己呂乃以部宇川万佐尓
者部利个留尓曽己乃者奈於毛之呂加奈利止天
於里尓徒可者之多利个礼者幾己江多利个留
読下 衛門の御息所の家、太泰に
侍りけるに、そこの花おもしろかなりとて、
折りにつかはしたりければ、きこえたりける
原文 布知八良乃毛呂多々安曾无
読下 藤原師尹朝臣
原文 也万佐止尓知利奈万之可八佐久良者奈尓保不佐可利毛志良礼左良末之
和歌 やまさとに ちりなましかは さくらはな にほふさかりも しられさらまし
読下 山里に散りなましかば桜花匂ふ盛りも知られざらまし
解釈 山里にただ散ってしまったならば、桜の花の美しく色付く盛りを知られることは無かったでしょう。(手折って届けられた花枝のように、確かにお気持ちを受け取りました。)
歌番号六九
原文 於保无可部之
読下 御返し
原文 恵毛无乃美也寸无止己呂
読下 衛門御息所
原文 尓本比己幾者奈乃加毛天曽志良礼个留宇部天三留良无比止乃己々呂八
和歌 にほひこき はなのかもてそ しられける うゑてみるらむ ひとのこころは
読下 匂ひこき花の香もてぞ知られける植ゑて見るらん人の心は
解釈 花色の目立つその花の美しさがあるからこそ、人に桜が咲いていると気づかれるのでしょう。このように桜の木を植えて知りました、貴方の私へのお気持ちを。
歌番号七〇
原文 志也宇尓尓徒可者之遣留
読下 小弐につかはしける
原文 布知八良乃安佐多々安曾无
読下 藤原朝忠朝臣
原文 止幾之毛安礼者奈乃佐可利尓川良个礼者於毛八奴也万尓以利也之奈末之
和歌 ときしもあれ はなのさかりに つらけれは おもはぬやまに いりやしなまし
読下 時しもあれ花の盛りにつらければ思はぬ山に入りやしなまし
解釈 このような時期でもあるのに、(貴女がつれないので)貴女と言う桜の花の盛りの季節にそれを思うことが辛ければ、その桜の花を思わないで済む、山の中にでも入りましょうか。
歌番号七一
原文 可部之
読下 返し
原文 志也宇尓
読下 小弐
原文 和可多女尓於毛者奴也万乃遠止尓乃美者奈左可利由久者留遠宇良見武
和歌 わかために おもはぬやまの おとにのみ はなさかりゆく はるをうらみむ
読下 わがために思はぬ山の音にのみ花盛りゆく春をうらみむ
解釈 私のために思いを寄せることも無く、想像もしなかった「止む」と言う響きのような山と言う、その言葉だけに噂の花が咲く、そのような言葉だけが盛り上がって行くだけの噂話の花が咲く、その春を恨みます。
原文 遠无奈乃毛止尓徒可者之遣留
読下 女の許につかはしける
原文 布知八良乃毛呂多々安曾无
読下 藤原師尹朝臣
原文 安遠也幾乃以止川礼奈久毛奈利由久可以可奈留寸知尓於毛比与良末之
和歌 あをやきの いとつれなくも なりゆくか いかなるすちに おもひよらまし
読下 青柳のいとつれなくもなりゆくかいかなる筋に思ひよらまし
解釈 青柳の枝を糸のようだと言う、その言葉の響きではありません、いとつれなく(ひどくそっけなく)素振りをするのですね。糸を撚り機織りの筋にするように、どのような、貴女への心を届ける手立て(筋)を取りましょうか。
歌番号六八
原文 恵毛无乃美也寸无止己呂乃以部宇川万佐尓
者部利个留尓曽己乃者奈於毛之呂加奈利止天
於里尓徒可者之多利个礼者幾己江多利个留
読下 衛門の御息所の家、太泰に
侍りけるに、そこの花おもしろかなりとて、
折りにつかはしたりければ、きこえたりける
原文 布知八良乃毛呂多々安曾无
読下 藤原師尹朝臣
原文 也万佐止尓知利奈万之可八佐久良者奈尓保不佐可利毛志良礼左良末之
和歌 やまさとに ちりなましかは さくらはな にほふさかりも しられさらまし
読下 山里に散りなましかば桜花匂ふ盛りも知られざらまし
解釈 山里にただ散ってしまったならば、桜の花の美しく色付く盛りを知られることは無かったでしょう。(手折って届けられた花枝のように、確かにお気持ちを受け取りました。)
歌番号六九
原文 於保无可部之
読下 御返し
原文 恵毛无乃美也寸无止己呂
読下 衛門御息所
原文 尓本比己幾者奈乃加毛天曽志良礼个留宇部天三留良无比止乃己々呂八
和歌 にほひこき はなのかもてそ しられける うゑてみるらむ ひとのこころは
読下 匂ひこき花の香もてぞ知られける植ゑて見るらん人の心は
解釈 花色の目立つその花の美しさがあるからこそ、人に桜が咲いていると気づかれるのでしょう。このように桜の木を植えて知りました、貴方の私へのお気持ちを。
歌番号七〇
原文 志也宇尓尓徒可者之遣留
読下 小弐につかはしける
原文 布知八良乃安佐多々安曾无
読下 藤原朝忠朝臣
原文 止幾之毛安礼者奈乃佐可利尓川良个礼者於毛八奴也万尓以利也之奈末之
和歌 ときしもあれ はなのさかりに つらけれは おもはぬやまに いりやしなまし
読下 時しもあれ花の盛りにつらければ思はぬ山に入りやしなまし
解釈 このような時期でもあるのに、(貴女がつれないので)貴女と言う桜の花の盛りの季節にそれを思うことが辛ければ、その桜の花を思わないで済む、山の中にでも入りましょうか。
歌番号七一
原文 可部之
読下 返し
原文 志也宇尓
読下 小弐
原文 和可多女尓於毛者奴也万乃遠止尓乃美者奈左可利由久者留遠宇良見武
和歌 わかために おもはぬやまの おとにのみ はなさかりゆく はるをうらみむ
読下 わがために思はぬ山の音にのみ花盛りゆく春をうらみむ
解釈 私のために思いを寄せることも無く、想像もしなかった「止む」と言う響きのような山と言う、その言葉だけに噂の花が咲く、そのような言葉だけが盛り上がって行くだけの噂話の花が咲く、その春を恨みます。
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