竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻2 歌番号72から76まで

2023年06月19日 | 後撰和歌集 現代語訳
歌番号七二
原文 多以之良寸
読下 題知らず

原文 美也知乃多可々世
読下 宮道高風

原文 者留乃以个乃多末毛尓安曾布尓本止利乃安之乃以止奈幾己比毛寸留哉
和歌 はるのいけの たまもにあそふ にほとりの あしのいとなき こひもするかな
読下 春の池の玉藻に遊ぶ鳰鳥の脚のいとなき恋もするかな
解釈 春の池の美しい藻に遊び泳ぐ鳰鳥の脚のような、人には気づかれない暇の無い恋をしています。

歌番号七三
原文 可武部以乃於保武止幾者奈乃以呂可寸美尓己女天
三世寸止以不己々呂遠与美天多天万川礼止
於本世良礼个礼者
読下 寛平御時、花の色霞にこめて
見せずといふ心をよみてたてまつれと
仰せられければ

原文 布知八良乃於幾可世
読下 藤原興風

原文 也万可世乃者奈乃可々止不々毛止尓八者留乃可寸美曽保多之奈利个留
和歌 やまかせの はなのかかとふ ふもとには はるのかすみそ ほたしなりける
読下 山風の花の香門(かど)ふ麓には春の霞ぞ絆(ほだ)しなりける
解釈 山風が桜の花の美しさを連れ出す、その山の麓には、春の霞の有り様が足かせのようなものだなぁ。

歌番号七四
原文 多以之良春
読下 題知らず

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 者留佐女乃世尓布利尓多留己々呂尓毛奈保安多良之久者奈遠己曽於毛部
和歌 はるさめの よにふりにたる こころにも なほあたらしく はなをこそおもへ
読下 春雨の世に降りにたる心にもなほあたらしく花をこそ思へ
解釈 春雨が世に降る、その言葉のような世に古るとなった私の心にも、それでも毎年に新しく咲く桜の花のことを思うべきなのでしょうね。

歌番号七五
原文 幾与宇己久乃美也寸无止己呂尓遠久利者部利个留
読下 京極の御息所に贈り侍りける

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 者留可寸美多知天久毛為尓奈利由久者加利乃己々呂乃加者留奈留部之
和歌 はるかすみ たちてくもゐに なりゆくは かりのこころの かはるなるへし
読下 春霞立ちて雲居になりゆくは雁の心の変はるなるべし
解釈 春の霞が立って山際に雲居の様になって行くならば、里から離れて北へと帰って行く雁のように、心変わりで去って行くのでしょうか。

歌番号七六
原文 多以之良寸
読下 題知らず

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 祢良礼奴遠志日天和可奴留者留乃与乃由女遠宇川々尓奈寸与志毛可奈
和歌 ねられぬを しひてわかぬる はるのよの ゆめをうつつに なすよしもかな
読下 寝られぬをしひて我が寝る春の夜の夢をうつつになすよしもがな
解釈 貴女を想って寝られないこの夜を無理に寝る、その私が寝てみる春の夜の夢を現実にする手立ては無いものでしょうか。(ねぁ、貴女。)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 後撰和歌集 巻2 歌番号67から... | トップ | 後撰和歌集 巻2 歌番号77から... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

後撰和歌集 現代語訳」カテゴリの最新記事