竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻2 歌番号62から66まで

2023年06月15日 | 後撰和歌集 現代語訳
歌番号六二
原文 多以之良寸
読下 題知らず

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 者留久礼者己加久礼於本幾由不川久与於本川可奈之毛者奈可个尓之天
和歌 はるくれは こかくれおほき ゆふつくよ おほつかなしも はなかけにして
読下 春来れば木隠れ多き夕月夜おぼつかなしも花蔭にして
解釈 春が来ると萌え出た木の葉に隠れることが多くなる夕月夜です、それで、ぼんやりとしか桜(山桜)の花が見えない、その花陰に居るのに。

歌番号六三
原文 多以之良寸
読下 題知らず

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 多知和多累可須美乃美可者也万多可三々由留佐久良乃以呂毛比止川遠
和歌 たちわたる かすみのみかは やまたかみ みゆるさくらの いろもひとつを
読下 立ち渡る霞のみかは山高み見ゆる桜の色もひとつを
解釈 淡く白く見えるのは立ち渡る霞だけでは無いのでしょう、山の頂に見える桜の花の色も、そのひとつなのでしょう。

歌番号六四
原文 多以之良寸
読下 題知らず

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 於保曽良尓於本不者可利乃曾天毛哉者留佐久者奈遠可世尓万可世之
和歌 おほそらに おほふはかりの そてもかな はるさくはなを かせにまかせし
読下 大空に覆ふばかりの袖もがな春咲く花を風にまかせじ
解釈 大空を覆うほどの大きさの袖が欲しいものです、そうすれば、春に咲く桜の花を風の吹くままに任せることも無く、散り撒くことはさせません。

歌番号六五
原文 也与比乃徒以多知己呂尓遠无奈尓川可者之遣留
読下 弥生のついたちごろに、女につかはしける

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 奈遣木佐部者留遠志留己曽和比之个礼毛由止八比止尓三衣奴毛乃可良
和歌 なけきさへ はるをしるこそ わひしけれ もゆとはひとに みえぬものから
読下 嘆きさへ春を知るこそわびしけれ燃ゆとは人に見えぬものから
解釈 緑無け木さえ春を知る、その言葉の響きではありませんが、嘆いていても春が来たことを知ることは辛いことです、緑が萌え出す、その響きのように、私の貴女への恋煩いの思いが燃えるとは、貴女は気が付かないでしょうから。

歌番号六六
原文 者留佐女乃布良八於毛日乃幾衣毛世天以止々奈个幾
乃女遠毛也寸良无止以不布留宇多乃己々呂者部遠
遠无奈尓以比川可者之多利个礼者
読下 春雨の降らば思ひの消えもせでいとど嘆き
のめをもやすらむ、といふ古歌の心ばへを、
女に言ひつかはしたりければ

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 毛衣和多留奈个幾者者留乃佐可奈礼者於本可多尓己曽安者礼止毛三礼
和歌 もえわたる なけきははるの さかなれは おほかたにこそ あはれともみれ
読下 もえ渡る歎きは春のさがなればおほかたにこそあはれとも見れ
解釈 緑が野に萌え渡るように、緑の無い木が萌え出すのは春の定めですから、おおくの人たちは、その萌え出す景色を風流とも、見ていますよ。

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