竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻20 歌番号1403から1407まで

2024年06月27日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一四〇三

原文 也満止尓者部利个留者々三満可利天乃知加乃久尓部

万可留止天

読下 大和に侍りける母、身まかりて後、かの国へ

まかるとて

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 飛止利由久己止己曽宇个礼布留左止乃奈良乃奈良日天見之飛止毛奈三

和歌 ひとりゆく ことこそうけれ ふるさとの ならのならひて みしひともなみ

読下 一人行くことこそ憂けれふるさとの奈良のならびて見し人もなみ

解釈 独りで行くことには気が進まない、昔に関わった奈良の都で、二人して並んで景色を眺めた、母も亡くなっていないのです。

 

歌番号一四〇四

原文 保宇己宇乃美布久奈利个留止幾尓比以呂乃佐以天尓

加幾天飛止尓遠久利者部利个留

読下 法皇の御服なりける時、鈍色のさいでに

書きて人に送り侍りける

 

原文 幾与宇己久乃美也春武止己呂

読下 京極御息所

 

原文 春美曽女乃己幾毛宇寸幾毛美留止幾者加左祢天毛乃曽加奈之加利个留

和歌 すみそめの こきもうすきも みるときは かさねてものそ かなしかりける

読下 墨染めの濃きも薄きも見る時は重ねて物ぞ悲しかりける

解釈 墨染めの布の、色濃いものも色薄いものも、その御姿を見る時は、繰り返しもの悲しい気持ちになります。

 

歌番号一四〇五

原文 於无奈与川乃美己乃加久礼者部利尓个留止幾

読下 女四内親王のかくれ侍りにける時

 

原文 美幾乃於本以万宇知幾三

読下 右大臣

 

原文 幾乃不万天知与止知幾利之幾美遠和可志天乃也万知尓多川奴部幾可奈

和歌 きのふまて ちよとちきりし きみをわか してのやまちに たつぬへきかな

読下 昨日まで千代と契りし君を我が死出の山路に尋ぬべきかな

解釈 昨日まで千代に暮らすことを約束していた、その貴女を、私は貴女の死出の山路の葬列に、(貴女の身内となる夫として)尋ね同行すべきなのでしょうか。

注意 平安時代の葬列の参列者は、極、近親者だけだったようです。それが末句の表現です。

 

歌番号一四〇六

原文 左幾乃保宇々世多万日天乃者留多以布尓川可八之个留

読下 先坊失せたまひての春、大輔につかはしける

 

原文 者留可美乃安曾无乃无寸女

読下 はるかみの朝臣のむすめ(藤原玄上朝臣女)

 

原文 安良多万乃止之己衣久良之川祢毛奈幾者川宇久比寸乃祢尓曽奈可留々

和歌 あらたまの としこえくらし つねもなき はつうくひすの ねにそなかるる

読下 あらたまの年越え来らし常もなき初鴬の音にぞ泣かるる

解釈 年の気が改まる、その新しい年が期を越えてやって来るようです、いつもはいない鶯の初音のように、いつもはいらっしゃる先坊が初春の祝いの行事にいらっしゃらないので、声を上げて泣いてしまいます。

 

歌番号一四〇七

原文 加部之

読下 返し

 

原文 多以布

読下 大輔

 

原文 祢尓多天々奈可奴比者奈之宇久比寸乃无可之乃者留遠於毛比也利川

和歌 ねにたてて なかぬひはなし うくひすの むかしのはるを おもひやりつつ

読下 音に立てて泣かぬ日はなし鴬の昔の春を思ひやりつつ

解釈 私も声を上げて泣かない日々はありません、鶯の初音、その言葉の響きではありませんが、憂くに居て、昔の先坊が初春の祝いの行事にいらっしゃった時を思い出だしながら。

 

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