歌番号 212
詞書 大井に紅葉のなかるるを見侍りて
詠人 壬生忠岑
原文 以呂/\乃 己乃者奈可留々 於保為可者 志毛八可川良乃 毛三知止也美无
和歌 いろいろの このはなかるる おほゐかは しもはかつらの もみちとやみむ
読下 いろいろのこのはなかるる大井河しもは桂のもみちとや見ん
解釈 色々の色合いの木の葉が流れる大井川、下流の桂川では、桂の木の葉の紅葉と眺めるでしょうか。
歌番号 213
詞書 題しらす
詠人 よしたた
原文 満祢久止天 多知毛止万良奴 安幾由部尓 安者礼可多与留 者奈寸々幾可奈
和歌 まねくとて たちもとまらぬ あきゆゑに あはれかたよる はなすすきかな
読下 まねくとて立ちもとまらぬ秋ゆゑにあはれかたよる花すすきかな
解釈 いくら招いたとしても立ち止まることの無い秋ゆえに、可憐にも風に偏り招くように靡く花薄の有り様です。
歌番号 214 拾遺抄記載
詞書 くれの秋、重之かせうそこして侍りける返ことに
詠人 平兼盛
原文 久礼天由久 安幾乃可多美尓 於久毛乃者 和可毛止由日乃 志毛尓曽安利个留
和歌 くれてゆく あきのかたみに おくものは わかもとゆひの しもにそありける
読下 くれてゆく秋のかたみにおく物はわかもとゆひのしもにそ有りける
解釈 暮れていく秋の記憶として置くものは、我が髪の元結に置く霜、そのような過ぎ行く年を示す白髪にあります。
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