長いヨーロッパ旅行から帰って二日目、秋の純米シ酒フェスティバルだ。時差ぼけと溜まった疲れが残っていたが、半年ごとに会う蔵元やお客さんの顔が目に浮かび出かけた。
一つには、ドイツ、フランス、英国で飲んできた酒から、日本酒を見直したいと思ったからだ。新しく参加してくれた六つの蔵を含めた45蔵の純米酒はいずれも素晴らしく、決してヨーロッパの酒に負けるものではないが、まだ大半を占める混ぜもの日本酒と酒の戦後史を振り返って、私は挨拶で次のように話した。
「・・・・・・ミュンヘンとロンドンでは専らビールを、フランクフルトとリヨンではワインを中心に飲んできた。そこで感じたことは、いずれも個性があり、良い味を持っているということであった。
振り返って日本の酒は、混ぜもの酒、混ぜものビールが大半であるので、それぞれの酒に個性が無く味に乏しい。
日本酒には醸造用アルコールや糖類や調味料が混ぜられてきたので、どこの蔵で造った酒もほとんど同じとなる。
ビールも、ドイツでは麦芽とホップ以外の混入が許されていないが、日本のビールには、米やスターチやコーンが混ぜられているので、これ又どこのビールも大して味は変わらない。(俺はキリンだ、私はアサヒだ・・・、などと言っているが、目隠しして飲ませると殆どあたらない。)
日本人は、よく、かくも長く無個性で味に乏しい酒に我慢してきたものだとつくずく思った。決して味オンチの民族ではないと思うが。
味を生かし、個性を打ち出すには、日本酒は純米酒であり、ビールはエビスやサントリーモルツなどのモルツビール(麦芽とホップだけのビール)だ、
その点だけから見ても、本日の45蔵、約300銘柄の純米酒は十分味わうに足りる。十分味わって自分の酒を見つけて欲しい。・・・」
日本酒がシェアーを落とす中で純米酒だけは落ちていない。ビールでも人気アンケートではエビスなどがトップや上位を占める。
食品はやはり純であることが出発点である。
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