二日目は、先ず岩泉に向かい龍泉洞を訪ねる。このツアーは「三陸海岸縦断…」とあるように、ほとんど海岸線を南下する旅であった。唯一内陸の北上山地に分け入ったのが、この岩泉、龍泉洞である。
龍泉洞は、高知の龍河洞、山口の秋芳洞と並ぶ日本三大鍾乳洞のひとつ。奥行き1700mに及ぶそうで、地底湖の深さ100m、透明度はバイカル湖の40.5mをしのぐ41.5mとのこと。
しかし残念ながら中は暗くて、ガイドも中までついてこなかったので解説は流れるテープだけ、肝心の地底湖も十分に堪能できなかった。これまでみた鍾乳洞は横に広がっているものが多かったが、ここは縦に掘り下げられており、階段を上下するのにフーフー言った。
それよりも興味を引かれたのは「岩泉」という町であった。数日前にたまたまNHKで「日本の里山」を巡る番組があったが、それに岩泉が登場して懐かしく思った。その番組にも出たが、南部牛の産地である。だから「南部牛追い歌の全国大会」なども開かれているという。
またなんと言っても「松――特に赤松」の里で、つまり松茸の里ということだ。いずれにせよ「日本の里山」風景が未だ十分に残っている地域なのだ。ガイドもそれらを、かなり力をこめて解説していた。
特に、ガイドの次の言葉は記憶に残る。
「三陸海岸は、①白い岩、②青い海、それに③松の緑…特に赤松の風景、という三つの要素が生み出す景観で、これが国立公園になった理由。この松が無ければこれほどの趣は無く一般の海岸であったろう。」
これは説得力があった。
だから来てみなければ分からないのだ。旅の素晴らしさはそこにあるのだ。私はガイドの言葉を胸に刻み、以降の三陸海岸を眺め続けた。
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