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旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

愛知県芸術劇場とオペラ「ファルスタッフ」

2008-10-01 14:55:42 | 

 

 名古屋について書いてきたが、今回の最大の目的は、評判の愛知県芸術劇場でオペラ『ファルスタッフ』を観ることであった。既に書いたように、これに娘の音大同級生が出演したのだ
 前田進一郎というこのテノール歌手は、わが家族の中でも「前進(まえしん)」の呼び名で親しまれ、イタリア留学などの後、生まれ故郷の沖縄で音楽活動を続けている。今回オーディションに合格して、この『ファルスタッフ』に出演したのだ。主人公ファルスタッフの従者バルドルフォ役を演じたので、多くの場面で舞台に現れ、素晴らしい声を聞かせてくれた。
 終演後のアンコールで幕前に現れるたびに、娘は「ブラビー前田! まえしん!」と叫んでいた。三階後方の席であったが、後で楽屋に行くと、「お前の声が聞こえた」、「同級生が来てくれたのがうれしかった」と喜んでいた。娘も、友の成長を心から喜んでいる様子だったし、愛知県芸術劇場の素晴らしい設備ともども、充実したオペラ鑑賞であった。

 ところで『ファルスタッフ』であるが・・・、
 「マクベス」、「オテロ」とともにヴェルディのシェクスピア三部作と言われるこのオぺラは、ヴェルディの最後のオペラである。74歳で「オテロ」を発表したヴェルディは、76歳になって「ウィンザーの陽気な女房たち」(シェイクスピア)などを題材にした「ファルスタッフ」の草稿を手にし、以降3年をかけ80歳を前に完成、ミラノスカラ座の初演は大成功であったという。
 ヴェルディは、最後は喜劇を書きたかったのであろうか? それにしてもヴェルディはこのオペラで何を言おうとしたのであろうか? ファルスタッフは、「人生はみな冗談だ。人間は冗談から生まれた・・・」と繰り返し歌っているが・・・。
 以降ヴェルディは87歳まで生きる。しかし最早オペラを書くことなく、終生の事業であった「音楽家の憩いの家」の建設に余生を捧げる。そして自らもこの「憩いの家」に埋葬される。葬儀の模様は、次のように伝えられてている。

 「全世界の各団体など30万人の人が集まり、巨匠を送った。トスカニーニの指揮による900人の合唱団とふくれあがって8000人にもなったといわれる歌声『行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って』(ナブッコの合唱)でつつまれ行進して行った」(Wikipedia「ファルスタッフ」より)

 まえしん君のお陰で、また偉大なる音楽家の生き様に触れることが出来た。

                            


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