昨夜は近くの大宮八幡宮に出かけ、「杉並で能楽を楽しむ会」主催の薪能を見てきた。娘と今年の課題にしている「日本の古典文化を極めよう」シリーズの第4弾である。
井の頭線西永福駅から徒歩8分、神社に着くと広い境内に設けられた能舞台を囲み、満席になるほどの盛況だ。。
そもそも薪能というのは「薪を神にささげる神事」ということで、まず「火鑽り(ひきり)・火入れ」の行事に始まる。神官が、檜の臼と枇杷の杵で火を起こすと見事に発火、観衆は一斉に拍手…。その火が篝火に点火され舞台が始まった。
舞囃子『高砂』、狂言『文山立』のあと35分の休憩を経て(この休憩の長さには驚いた)、いよいよ『船弁慶』。正直言って、想像以上によかった。
シテ野村四郎が、前半は義経との別れを悲しむ静御前を演じ、後半は義経や弁慶を乗せた船の前に亡霊となって現れる平知盛を演じたが、前半の静と後半の動が絶妙で、感動した。特に平知盛の薙刀や太刀のさばき、船頭の櫂の操り方には目を見張るものがあった。
昨夜は少し風があったが、静御前が別れを決意して立ち上がった時や、一天にわかにかき曇って知盛が現れる予兆を語るセリフの時などに、急に風が起こって背景の森を揺らす自然現象が重なったりして、野外で演じる薪能の面白さを実感した。
娘の総評は、「見る者の想像力を巧みに引きだす能楽の力はすごい。歌舞伎より能の方がむしろ面白い」ということだった。
古典芸能の力を改めて思い知った夜であった。
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