金正恩朝鮮労働党委員長の「核放棄の用意がある」という提案に続き、世界を驚かせた南北朝鮮首脳の首脳会談が行われ、その後の成り行きが注目されている。何とかこれを機に、「平和に向かう」世界情勢が作り出されることを願ってやまんない。
それにしても、金委員長と北朝鮮を疑うあまり、逆の方向を生み出す懸念が多く、心を痛めている。特に、「俺は一歩も引かない。お前の方から折れてこい」というアメリカの大国主義は困ったものだ。物事は相互的、段階的にしか進まない。それを、「北の完全核放棄を見るまで、一切の制裁措置を解かない」と言うのは、そもそも相手国を主権国とみなさない大国主義的態度だ。
加えて、ここにきて「イラン核合意からの離脱」を宣言するなど、せっかく出来上がりつつあるお膳立てをぶち壊すものだ。私は予てからいうように(3月9日及び14日の投稿)、金委員長は本気であると思っている。いろんな見方があるのであろうが文韓国大統領との会談で、トランプ大統領に向けて語ったと思われる次の言葉は、彼の本意ととらざるを得ない。
「対話してみれば、私が南側(韓国)や太平洋に向けて核を発射したり、米国を狙ったりするような人間でないとわかるだろう」
(朝鮮戦争の終戦と不可侵を約束するなら)「核をもって苦しい生き方をする理由はない」 (以上、4月30日付毎日新聞)
加えて、5月3日に訪朝した中国外相に、「朝鮮半島の非核化は北朝鮮の断固とした立場だ」と表明している。一国の代表者のこれだけの明言を無にしてはいけないだろう。特に、核をもって苦しい生き方をする理由はない、という発言には真実味があふれている。