旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

戦後民主主義の崩壊 … 戦争法案の強行・暴力採決を見て

2015-09-18 14:16:37 | 政治経済

 

 一昨日夜から昨日にかけて、ほぼすべてを費やして、参院の安保特別委員会の様相をテレビで見続けた。そして、あの強行・暴力採決の状況を見て暗澹たる気持ちになった。あすこまで策略的・暴力的に――委員長が席に着くや否や与党議員がそれを取り囲み、押し寄せる野党議員をはねのけながら採決を進行させる様は、策略的・暴力的と言わざるを得ない――この戦争法案を推し進めようとする安倍政権の執念を見せつけられて、背筋に冷たいものを感じた。
 鴻池委員長は直後の記者会見で、「現在ある政党10党のうち5党の賛成を得ての採決であり、強行採決ではない」というようなことを言っていたが、全くピントが外れているのではないか? いくつの党が賛成したかというようなことではなく、議論が尽くされたのかどうかということが問題なのだ。二つの公聴会であれだけ反対意見や問題が出されたのに、それを審議することもなく採決するという段取りが問題なのだ。衆参両院で審議が尽くされるほど国民は「問題は解明されていない、今国会での採決は反対」だと言っているのに(世論調査では7割から8割が「問題は解明されてない」とし、6割が「今国会での採決反対」としている)、それでも審議を打ち切ることを「強行」と言っているのだ。
 憲法学者や法曹界の大半が憲法違反、少なくとも違憲の疑いありとし、歴代法制局長官や最高裁長官などが違憲の主張をする法案を、提案すること自体問題だし、いわんや強行採決など許さるべきものではない。しかも採決を図る委員長の姿は見えないし声も聞こえない。あれでは議事録も取れないはずだし、そのような議決が国会決議として有効なのだろうか? 外国の人はどう見ているのだろうか?
 とても民主主義を標榜する国のすることではあるまい。いや、この国から民主主義は消えつつあるのではないか?

 私は、現在の日本があるのは、国民の総力を挙げた経済発展と、政治の要に戦後民主主義があったことだと思っている。自由民主党という政党は、アメリカと財界に偏った政党だと思うが、その名の通り自由と民主主義を掲げ、少なくとも「戦争はしない」、「憲法9条を含めた平和主義は守る」という戦後民主主義者を主流においてきた。近くをとっても、大平正芳、後藤田正晴、野中広務、古賀誠、加藤紘一、河野洋平などなど、少なくともその生存者たちは、今回の法案に反対の意向を表明している。
 しかしそれらは無視された。戦後民主主義は崩壊しつつあるのではないか?
 ただ、この度の国会を取り巻く国民運動の中には、新しい民主主義と平和主義の芽吹きがある。安倍政権の危険な方向を止めるのは、この新しい芽吹きの力しかないのであろう。


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