旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

14年目を迎えた純米酒フェスティバル(3)

2013-04-19 13:25:34 | 

 

 主催する純米酒普及推進委員会を代表して、高瀬委員長は、「13年前始めたときには、100%純米酒蔵(純米酒だけを造る蔵)は片手で数えるほどしかなかったが、今や40蔵ちかくあるのではないか…。まるで夢のようだ」と挨拶した。
 今回の出展40蔵の中でも7蔵ある。「黒牛」などは95%が純米酒で、「あと5%は地元の要望に応えて普通酒の供給をやめられない」と言っているので、100%蔵のようなものだ。それを加えれば8蔵で、実に20%を占める。

 その純米酒蔵の一つに、秋田の「天の戸」がある。残念なことに柿崎社長が今年の正月に56歳の若さで他界した。しかし今回も、従来に引き続き出展してくれた。この蔵は初回から連続出展であり、開会に先立ち挨拶をしてもらった。柿崎社長のご冥福を祈るとともに、今後のご発展を祈る。

  
   酒を注ぐ「天の戸」の森谷杜氏

 最近のもう一つの傾向に、低精米歩合で米の味を引き出した酒が多くなったことだ。かつては米の削り競争で雑味のない酒を求めてきたが、酒造技術の向上もあって60%や70%の精米で多彩な味を醸している。面白かったのは、精米歩合8.5%の酒を出して酒界を驚かせた「白鷺の城」さんが、80%の酒を持ってきたことだ。飲んでみたが立派なものであった。

     
    「白鷺の城」のブース

 長野の「川中島幻舞」さんも記憶に残る。前回書いたように、出展蔵の中では二番目に古い蔵(創業473年)だ。ところがこの蔵の杜氏は女性だ。酒造界は「男の世界」として知られてきたが、近時増えてきた女性杜氏で時代の先頭に立つ。
 杜氏の千野麻里子さんは蔵元の一人娘だそうで、東京農大に学び醸造試験所を経て、杜氏を務める。蔵のリーフレットによれば、「酒にはそれぞれ個性があり、素直な子もヤンチャな子もいる。いいところを引き出し、悪いところを直すのが私の仕事…」と発言している。まさに母の姿勢で、もしかしたら杜氏という仕事は女性の方が向いているのかもしれない。

    
    「川中島幻舞」の千野麻里子杜氏


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