昨日のこの稿で金権体質の小沢元代表は民主党の体質と合わない」と書いた。しかしそれは、先の総選挙で国民が民主党に求めた体質を前提にしたものであった。それは少なくともヨーロッパ各国(除くイギリス)の中道右派的、いわゆるリベラル派的体質で、その前提には当然「脱自民」があった。
しかし政権獲得後の民主党の実態を見ると、いわゆる保守政党の域を出ず、自民党と全く同質のものであることが分かった。民主党の中には昔の社会党員もたくさんいるが、輿石氏にせよ仙石氏にせよ、その言動を見ると中道右派も通り越して保守党の域に達している。日本はアメリカ、イギリスと同様、保守2大政党制に移行しようとしたのだ。それも民主党の失政で崩れ去ろうとしているが。
ヨーロッパの政党を分類すると、左から「左翼、中道左派、中道右派、保守、極右」となるのではないか。そして中道左派と中道右派が主流を占め、それに保守や極右が絡みながら連立が組まれ運営されている。日本も民主党政権の出現でヨーロッパ的になっていくかと思ったが、上記の通り民主党は保守党であった。中にはいわゆるリベラル派と思えるような人も居て、マニフェストの中にはリベラル色の濃いものも出されていたが、それらはほとんど実現されず、追求されることもなくマニフェスト自体が消え去ろうとしている。政治の流れはそう簡単には変わらないことを痛感している。
民主党が保守政党ならば、小沢一派が居るのは当然ではないかともいえる。そのとおり大勢力を誇って居座り、小沢氏は民主党を自分の政党だと思っているだろう。ただ同じ保守であっても少なくとも脱自民、その一メルクマールである脱金権体質ぐらいは国民は期待した。ところが、そのもっとも自民党的、もっとも金権体質的な小沢一郎という人物が大きな影響力を持っているところに違和感を感じているのだ。
それが民主党なんだ、と言ってしまえば何ともつまらない議論であるが…。
そんなつまらない議論をしたくなるほど、最近の政治はつまらない。