政治資金規正法違反を巡る小沢一郎裁判で、被告小沢一郎氏に無罪の判決が出た。この判決を待って小沢一派の連中が、手に手に「無実」のプラカードを掲げて喜んでいる姿を見て、大変な違和感を感じた。小沢一郎本人はもちろん、小沢氏を持ち上げる連中にとって、この裁判で小沢氏が無実であることを示したかったのであろうが、判決文を読むとそうはいかない。
本日付毎日新聞「論説室から」は、その点を分かり易くまとめてくれているので要約引用させていただくと次の通り。
①秘書は政治資金収支報告書に4億円を虚偽記載した。
②秘書はそのことを元代表に報告し了承を得た
③その動機には、元代表の巨額資産隠蔽の意図があった。
加えて裁判所は、「報告書など一度も見たことはない」と言う元代表の法廷証言を信用できないとして退けた。
つまり、問われた罪の事実は認定され「無実」ではなかったといえる。にもかかわらず「無罪」としたのは、「小沢氏が故意にやった証拠、秘書と共謀してやった証拠」を挙げきれなかったためである。確かに、証拠がはっきりしないのに罪を問われては冤罪のもとになるし、疑わしきは罰せずという原則もあるから無罪でも仕方ないが、無実ではなかったことを示す前記諸点からして正に「限りなく有罪に近い無罪」であることが明らかになった。
したがって大手新聞やテレビの政治番組などは一様に「政治責任は重い」、「証人喚問で潔白を示せ」など、要するに「政治的けじめをつけろ」と社説などで迫った。大新聞の足並みがこれほどそろったのも珍しいのではないか? もちろん、国民の疑いも晴れず、多くの世論調査では60%以上の国民が裁判結果を「納得できない」としている。
小沢一郎氏はこれでもなお政界に復帰するつもりだろうか? いわんや民主党総裁選などに出馬して現実政治を動かしていこうとするのであろうか?