コスタリカのリバーラフティングとともにスリル満点であったのが、続いて訪れたカンクーンで初体験したパラセイリングであった。
コスタリカから北上すると、南北アメリカ大陸を結ぶ帯がだんだん太くなり、やがてカリブ海に突き出した半島がユカタン半島。その突端にある、メキシコが世界に誇るリゾート地がカンクーン。
石灰岩に覆われたユカタン半島の地下には、鍾乳洞がはりめぐらされ、その作用で、周囲のカリブ海の水が抜群の透明度を持つと言う。またカリブ海の潮流により珊瑚のかけらが打ち寄せられて、白い砂浜が形作られたと聞く。
遠浅の白い砂浜、透明な海水、青くどこまでも高い空・・・
仲間の一部は、メキシコに伝わるマヤ文明の遺跡見学に出かけたが、私はカンクーンの二泊三日は、この砂浜を離れず、透明な海水に身を任せて一歩も動かない、と決めていた。
裸を陽光にさらして砂浜に寝そべっていると、真っ青な空にパラセイリングを楽しむ人たちが浮かんでいる。低く流れる二人乗りのモノから、高く蒼空に溶け込む一人乗りなどいろいろある。
「兄貴、あれをやってみようではないか」
好奇心旺盛な弟がつぶやく・・・。最初は本気にしなかったが、見るうちに欲望を高められていると、それがわかったのか、キューバから来たという少年が「パラセイリングをやらないか」と誘いに来た。早速応諾、これまた好奇心旺盛、高度恐怖心皆無のワイフも乗ってきた。
このパラセイリングは素晴らしかった。モーターボートにロープでつながれたパラシュートを背負うと、ボートが引っ張る。スピードを増すにつれロープが伸びて、空高く舞い上がる。
ロープの全長200メートル・・・海面から最高100メートル近い空中を飛ぶ。空の上から見るカンクーンは、また格別。長く打ち続く白浜、高級ホテル群、そのかなたのラグーンなど・・・。
いやあ、何事も勇気を持ってやってみるものだと思った。因みに料金は、一人35ドルであったと記憶するが、あの満足度からすれば決して高くないと思っている。
写真上は、人影もかすむ最高度の飛行。写真下は筆者(左)とワイフ。右端は舵手。