旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

贅沢が文化を育てる--多彩なビールと多彩なグラス

2007-04-26 17:07:06 | 

 

 ベルギービールについて書き加えておかねばならないことがある。それは、それぞれのビールを飲むには、それぞれのグラスが決められているということだ。少なくとも数百種類はあるといわれるベルギービールの全てとは言わないが、名だたるビールはすべて固有のグラスを持っている。オルヴァルはオルヴァル用の、ヒューガルデンはそれ用の…という具合にそれぞれ酒銘の入ったグラスが作られている。だからベルギービール屋に行くと何十種類ものグラスが並べられてある。その店に置いてあるビールの種類だけグラスも備えられているのだ。
 酒を飲む器にはいろいろな形がある。単に喉を潤すだけのもの(水がその典型)は、普通のコップのように筒型のものが多い。香りを楽しむものはブランデーグラスなどのように上部がつぼまったもの(チューリップ型)であり、香りとともにコクを味わう場合は、同じふくらみでも下膨らみの容器が多い。味をたしなむものは日本の平盃型が多く、中には足がついているものもある。
 このようにベルギービールには、それぞれ個性的な味や香りに合わせてさまざまなグラスがある。実に贅沢だと思う。
 しかし日本酒でも、しぼりたてやにごり酒は青竹の筒で飲みたくなるし、山廃酛純米の燗酒には備前焼のぐい飲みが欲しくなる。また美味しい芋焼酎は薩摩切子の小さなグラスがいいし、私は元日の純米大吟醸は「九谷錦玉の青粒(あおちぶ)」平盃と決めているから、贅沢の度合いは日本も同じか…。

 酒飲みの贅沢もいい加減にして欲しいが、しかしこの贅沢が文化を育ててきた、と言えるのかもしれない。
                                                       

                                     


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