桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

最高裁の対応

2009-10-28 | Weblog
私たち・布川事件の再審請求は、東京高裁での再審開始決定に異議を称えた検察の特別抗告によって最高裁でも判断されることになったのだが、近いいうちに決定が出されると目されている。
そこで弁護団は、最高裁第二小法廷に対して、予め決定日を知らせて欲しいと要求したが、何度申し入れてもダメだと拒否している。慣例として決定日は知らせないようだが、こちらから受け取りに行くと言うのに郵送すると拒否する最高裁の考えが、私には理解出来ない。
もう43年になる年月を冤罪を背負わされる身として、何時かも判らない決定文が郵送されるのを待っしかないのが苛立たしいが、それは最高裁には関係ない話なのだろう。
大体、、秘密裏に処理して決定日を知らせないような慣習は、国民を目下に置いた傲慢な姿勢だろう。
俺は最高裁の決定を直接に受け取りたい。留守が多い家に決定が届いて不在票がポストに入れられて郵便局に持ちかえる。すると、俺には、弁護士から決定の知らせが入る。どんな決定でも、俺は記者会見に東京へ行くことになるのだろう。そうなれば俺は、すぐには決定も見られないのだが、そんなことは最高裁のお偉い裁判官様には関係無い話かな。何時も家にいて、尊くも賢き最高裁決定を待てない俺が悪いとなるのだろうが、こちらから取りに行くと言っても拒否する最高裁、これも変えなければならないよね。
俺は決定を、この手に郵便局員から受け取りたいから、会社も休んで待つしかない。
最高裁裁判所、あんたたちはお気楽だよね。

季節の変化

2009-10-28 | Weblog
朝夕の散歩も、日の出が遅くなり、日没が早くなったことで、なかなか時間を取るのが大変になってきた。地方へ行くと不可能だから、この数日は歩けなかったか、昨日は出来た。
今朝も歩いたが、すっかりコースの風景が変わった。畑や庭には菊が咲き始めたし、たわわに実る柿が、一段と鮮やかに色を増した。行き交う人の服装も、最早半袖は無くて、朝の空気は冷たく肌に染みるようになった。

宝島社問題

2009-10-28 | Weblog
千葉刑務所で一緒に過ごした人が、我々が刑務所では犯人の言動をしたと書いた書籍を出版したことで、俺は出版先に抗議した。
担当者が釈明すると言うので、一昨日、会って来た。担当者は俺の話を聞いたこともあって知ってるそうで、そんな話から始まったが、著者の金は、記憶に違いはあっても事実を書いたと言ったらしい。
あり得ない。嘘を書いてしまったと言えば許すし、その部分を訂正して貰えばいいと思ったが、そう言い通すならば仕方ない。こっちもやれる対抗手段を尽くすだけだと思い、再度、俺たちは無実を知り合う同士で、絶対に互いに犯人でないのが判る二人であること、従って金の記述は嘘であることを言い、もう一度だけ本人に確認して欲しいと言った。
話の中で、金が社会に帰ってから、僅か一年半で五ヶ所も土地と仕事を変えながら社会復帰、生活に取り組んでいることを聞き、彼の苦難が判り、可哀想になってしまった。無実の罪も大変だが、実際に人を殺してしまった人の社会復帰も苦難が多い。同じ千葉刑務所で時を過ごした仲間として、また少ない仮釈放者として頑張って貰いたいと思うので、金からの釈明が心あるものならば、もう話は終わりにする気持ちになった。