スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

リコー杯女流王座戦&円を描くこと

2023-09-09 18:54:00 | 将棋
 5日に指された第13期女流王座戦挑戦者決定戦。対戦成績は西山朋佳女流三冠が11勝,加藤桃子女流四段が10勝。NHK杯の女流予選が公式戦であったときの記録を含んでいます。
 振駒で加藤女流四段の先手となって西山女流三冠のノーマル三間飛車。相穴熊の将棋になりました。互いに9筋を突いていたのですが,これが先手に有利に作用し,端を攻めたところでは先手が指しやすくなっていたものと思われます。
                                        
 ここから後手は☖7七歩成☗同金と捨てて☖7五歩と受けに回りました。先手は☗3七角と転換。飛車が成りたいところですが6四の銀が浮いてしまうためここも☖4六歩と辛抱しました。
                                        
 第2図となってむしろ差が開いてしまい,逆転の目がなくなってしまいました。第1図はもう後手が苦しそうですが,☖9七歩とか☖3五角などと開き直ってしまった方がよかったということになるでしょう。
 加藤女流四段が勝って挑戦者に。前期に続いての五番勝負出場。第一局は10月25日に指される予定です。

 ここまでのふたつの点に留意して,コンパスを用いて正確な円を描くという場合を考えていきます。
 僕たちがコンパスを用いて円を正確に描くとき,この方法がスピノザの哲学における円の定義Definitioに見合った方法であると僕は考えます。確かにコンパスを用いて円を描くということは,一端が固定されもう一端が運動する直線の運動motusとは異なるのですが,中心に置かれた針に対してもう一方の端が運動するのですから,単にその間には直線が存在しないというだけであって,運動のあり方としては同じであると僕は考えるからです。したがってもし僕たちの知性intellectusがこうしたコンパスの運動を概念するconcipereことができるのであれば,僕たちは円の真の観念idea veraを有することになるということについては僕は肯定します。
 ただしこのときに注意しなければならないのは,僕たちがそのことを概念するということと,僕たちがコンパスを用いて円を描くということとは別のことであるということです。別のことというのは,その間には因果関係を認めることができないということを含みます。実際のところ,一端が固定され一端が運動する直線によって形成される図形という円の定義は,僕たちがそのことを概念することができるのであればよいのであって,実際に直線を用いてこのような運動をさせるという必要はありません。実際に直線を用いた運動をしなくとも,僕たちの知性はこのことを概念することはできるからです。一方,実際に直線を用いてこのような運動をさせれば,僕たちが円の真の観念を有するようになるのかといえば,そういうわけでもありません。現実的に存在するある人間がこうした運動を直線にさせることによって,円の真の観念とは,一端が固定されもう一端が運動することによって形成される図形であるということを知ることができるというわけでもないからです。
 これと同じことが,僕たちがコンパスを用いて円を実際に描くということにも成立します。僕たちの知性は実際に円を描くことなしに円の真の観念を概念するということができますし,コンパスを用いて円を描いたからといって,それで円の真の観念を有することができるというものでもないからです。

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