Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

伝承ホール『新作カブキ踊り『渋谷金王丸伝説』』

2010年11月27日 | 歌舞伎
渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール『新作カブキ踊り『渋谷金王丸伝説』』

渋谷文化総合センター大和田、伝承ホールの杮落し公演『新作カブキ踊り『渋谷金王丸伝説』』を観ました。予想以上に楽しかったです。

祝言『寿金王桜三番叟』
松本錦升(染五郎)監修振り付けの袴姿での素踊りです。金王丸伝説を入れ込んだ格調高い祝祭の舞踊。

桜の精(千歳)@尾上京さん、渋谷の川神(翁)@尾上青楓さん、渋谷金王丸(三番叟)@染五郎さんの三人が本当に丁寧に品よく儀式的ないかにも祝舞といった面持ちで踊っていきます。ゆったりと、たっぷりとしたおおらかな舞踊が繰り広げられ非常に良かったです。

渋谷金王丸@染五郎さん、華やかさと大きさがありました。舞踊に以前より力強さが足されてるのと身体の表情がますます豊かになっているなと思いました。それと舞踊家というよりやはり役者の舞踊だなと思いました。見せ方にメリハリと色気があるんですよね。

『鈴木英一さんトーク』
次の舞台の転換の間に今回の公演今回のプロデュースの鈴木英一さんの軽妙トーク。金王伝説の事とか、花道のミニ知識とか、楽しいお話を。

『渋谷金王丸伝説 KONNOHMARU伝説』
染五郎さん振り付け。染五郎さんがこのところ手掛けている現代邦楽を使った日本舞踊のコンテンポラリの「傾奇踊り」の一環の舞踊でした。エレキ三味線とラップも参加し、物語に沿った振り付けでのテンポの早い激しい踊り。「傾奇踊り」のなかでは『不二才』に近い雰囲気かも。途中、言葉遊びを使った狂言仕立てのとこもあったりして、とにかく楽しく勢いがある舞踊で見ていてウキウキワククワしました。

渋谷金王丸@染五郎さんは派手な着流し。筋肉のついた太もも、ふくらはぎ、くるぶしに思わず目が行く(笑)。にしても、私は染五郎さんの踊り、やはり大好きです。大きさのある気持ちのよい踊りで観ていてワクワクしてきます。それとしなやかで端正な舞踊のなかに独特のメリハリがあって物語性豊かなんですよね。その物語性の豊かさが最近増してきたように思います。久々に歌舞伎の舞台で染五郎さん大曲での舞踊が観たいです。

渋谷の川神@青楓さんは相変わらずキレ味するどい端正な流れるような踊り。この方、やはり上手いです。あくまでも身体の線でみせていく、いかにも舞踊家さんの踊りです。今回、改めて、歌舞伎役者の踊りと舞踊家の踊りの違いってあるんだなって思ったり。にしても青楓さんはやっぱり多才。声のよさと音感のよさは半端じゃないわって感じでした。

桜の精@尾上京さんも端正でキレ味があります。この流派の特徴かしら?綺麗で素直な踊りで、しっかり踊りきるという感じ。染五郎さん、青楓さんが線がしっかりした舞踊なので、女性ならではの柔らかさがいい対照でした。

『渋谷カブキ音頭』
「渋谷金王丸伝説」で一気に盛り上がったところで、染五郎さん、青楓さん、京さんの三人もそのまま残り、幕を引かずに小学生を中心とした渋谷区在住のワークショップに応募した面々の『渋谷カブキ音頭』。いやあ、皆さん頑張ったんだな~って思いました。かなりしっかり踊り込んでいてきちんと見せてきました。とても見応えありました。

拍手が鳴り止ます、アンコールでNHKで放映した染五郎さん振り付けの『かぶき体操 いざやカブかん』を皆さんで。小学生の子たち、とっても楽しそうに踊ってた。染五郎さんもとっても楽しそうだった。観ていてほのぼの。