歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎 夜の部』 1等1階後方仮花道寄り
『吉野川』
今日はそれぞれが上手く噛み合って密な芝居になっていた。久我之助@染五郎さん、雛鳥@菊之助さんの花形が濃くなっていたのは大きい。大判事@吉右衛門さんと定高@玉三郎さんも色は違うけどトーン合うようになってた。
背山側だったのも大きいかもしれないけど、大判事の親としての心持ち、久我之助の覚悟の有り様が迫ってきてグッときた。吉右衛門さんと染五郎さんの芝居がまた細かく丁寧に密に積み重ねていくのよ。ちょっとしたところの息の合いかたがなんとも言えない空気感。
定高、雛鳥は母娘として女の情を大切に表現。感情をストレートにたっぷり押し出し現代の感覚にも添える作り。玉三郎さんは全身を使ってエモーショナルに演じていく。菊之助さんは赤姫としての可愛いらしさが増して、そのなかでの激情を丁寧にまっすぐに。
大判事@吉右衛門さん、大人物ではない心の揺れ、親としての脆いまでの情を丁寧に積み上げて行って、弱さを隠さないからこその佇まいに役者としてのスケールの大きさがみえるものであったと思う。花渡しの段も観たかったです。
定高@玉三郎さん、まずは定高の感情を伝えきるという芝居だったように思う。娘のため、’女’としてどう決断していくか、その一点に集中していたように感じた。そこに悲哀と苦渋とを余すことなく表現していく。玉三郎さんの前では義太夫は単なる伴奏でしかなかったですね。これからの、の一つの回答。
久我之助@染五郎さんは義を通す覚悟のなかでの情の揺れを愁いのなか静かにみせていく。若者らしい真直ぐさ正義感と凛質さ。雛鳥を思いやり、父を思いやり、苦しみを耐える。相手を思うからこその情の部分が明確でストレートだった。久我之助もすごく若いんだよな~ってしみじみ。人物造形が通し狂言のなかでの久我之助をより意識したものにもなっていて、全体を特に意識しながらであったろう今回の吉右衛門さん大判事とのやりとりに深みが出てた。通しで観たくなってしまった。
雛鳥@菊之助さんは10日拝見した時に比べて、かなり赤姫が身体に馴染んで大層可愛らしくなっていて久我之助一途の健気さが増したな~と。台詞廻しもぐっと丸本物らしくなって息遣いのコントロールもよかった。最後はちょっと生ぽかったけど今回はありかな。やはり菊之助さんは楷書が似合う。
梅枝くんと萬太郎くんの腰元二人もかなり良かった。しっかり突っ込んで演じつつ、はみ出さない。姫想いないい腰元でした。巧い兄弟だわね
『らくだ』
アンサンブルが良くなってテンポよく。軽く楽しく下品にならず、いい塩梅だったかな。笑えないという感想も見たのですが全体的には観客の反応は良かったです。間や身体性の部分で笑わせた感。若いからよく動く。 話芸のほうはまだこれからかな。というより染五郎さん、松緑さんが喉やられていてせっかくの面白さが減じていた感。
久六@染五郎さん、とことん、とぼけた味わいでキュート。ちょっとした台詞や動きの間が巧い。らくだを背負わされた後の情けない声や動きもいいし後半の気が大きくなっていくのも自然。楽しそうに伸び伸び演じているようにみえて見ている側も楽しくなる。しかし声が掠れていてせっかく台詞廻しの間合いやテンポがよくなったのに聞かせきれてなくてそこが残念すぎた。
半次@松緑さん、せっかちな江戸っ子らしい佇まいが良し。強面な部分と情に真直ぐなところのバランスがよくなって、久六といい対照。台詞廻しの間はまだ要研究というところと、珍しく声が掠れてて声が前に出てないのがやはり残念でした。染五郎さんとともにどこか楽しそうで、気持ちよく観れたのが幸い。
久六@染五郎さんとらくだ@亀寿くんの大家宅玄関前でのわちゃわちゃ、引戸ごしだったけどちょいちょい見えて面白かった。 あそこは日替わりなのかしら?らくだ@亀寿くんのダラッと具合、上手だった。松緑さんからかなり雑に扱われいて(笑)アザだらけになってないか心配。
『元禄花見踊』
玉三郎さんが若手引き連れての図を愛でるの時間。玉三郎さんは一人だけオーラが違い別格。美しくて天女のようでした。
若手は前半に比べだいぶ動けるようになって、華やかさが増した。若手のなかでは児太郎くんが気になってそちらばかり見てしまう私である。
『吉野川』
今日はそれぞれが上手く噛み合って密な芝居になっていた。久我之助@染五郎さん、雛鳥@菊之助さんの花形が濃くなっていたのは大きい。大判事@吉右衛門さんと定高@玉三郎さんも色は違うけどトーン合うようになってた。
背山側だったのも大きいかもしれないけど、大判事の親としての心持ち、久我之助の覚悟の有り様が迫ってきてグッときた。吉右衛門さんと染五郎さんの芝居がまた細かく丁寧に密に積み重ねていくのよ。ちょっとしたところの息の合いかたがなんとも言えない空気感。
定高、雛鳥は母娘として女の情を大切に表現。感情をストレートにたっぷり押し出し現代の感覚にも添える作り。玉三郎さんは全身を使ってエモーショナルに演じていく。菊之助さんは赤姫としての可愛いらしさが増して、そのなかでの激情を丁寧にまっすぐに。
大判事@吉右衛門さん、大人物ではない心の揺れ、親としての脆いまでの情を丁寧に積み上げて行って、弱さを隠さないからこその佇まいに役者としてのスケールの大きさがみえるものであったと思う。花渡しの段も観たかったです。
定高@玉三郎さん、まずは定高の感情を伝えきるという芝居だったように思う。娘のため、’女’としてどう決断していくか、その一点に集中していたように感じた。そこに悲哀と苦渋とを余すことなく表現していく。玉三郎さんの前では義太夫は単なる伴奏でしかなかったですね。これからの、の一つの回答。
久我之助@染五郎さんは義を通す覚悟のなかでの情の揺れを愁いのなか静かにみせていく。若者らしい真直ぐさ正義感と凛質さ。雛鳥を思いやり、父を思いやり、苦しみを耐える。相手を思うからこその情の部分が明確でストレートだった。久我之助もすごく若いんだよな~ってしみじみ。人物造形が通し狂言のなかでの久我之助をより意識したものにもなっていて、全体を特に意識しながらであったろう今回の吉右衛門さん大判事とのやりとりに深みが出てた。通しで観たくなってしまった。
雛鳥@菊之助さんは10日拝見した時に比べて、かなり赤姫が身体に馴染んで大層可愛らしくなっていて久我之助一途の健気さが増したな~と。台詞廻しもぐっと丸本物らしくなって息遣いのコントロールもよかった。最後はちょっと生ぽかったけど今回はありかな。やはり菊之助さんは楷書が似合う。
梅枝くんと萬太郎くんの腰元二人もかなり良かった。しっかり突っ込んで演じつつ、はみ出さない。姫想いないい腰元でした。巧い兄弟だわね
『らくだ』
アンサンブルが良くなってテンポよく。軽く楽しく下品にならず、いい塩梅だったかな。笑えないという感想も見たのですが全体的には観客の反応は良かったです。間や身体性の部分で笑わせた感。若いからよく動く。 話芸のほうはまだこれからかな。というより染五郎さん、松緑さんが喉やられていてせっかくの面白さが減じていた感。
久六@染五郎さん、とことん、とぼけた味わいでキュート。ちょっとした台詞や動きの間が巧い。らくだを背負わされた後の情けない声や動きもいいし後半の気が大きくなっていくのも自然。楽しそうに伸び伸び演じているようにみえて見ている側も楽しくなる。しかし声が掠れていてせっかく台詞廻しの間合いやテンポがよくなったのに聞かせきれてなくてそこが残念すぎた。
半次@松緑さん、せっかちな江戸っ子らしい佇まいが良し。強面な部分と情に真直ぐなところのバランスがよくなって、久六といい対照。台詞廻しの間はまだ要研究というところと、珍しく声が掠れてて声が前に出てないのがやはり残念でした。染五郎さんとともにどこか楽しそうで、気持ちよく観れたのが幸い。
久六@染五郎さんとらくだ@亀寿くんの大家宅玄関前でのわちゃわちゃ、引戸ごしだったけどちょいちょい見えて面白かった。 あそこは日替わりなのかしら?らくだ@亀寿くんのダラッと具合、上手だった。松緑さんからかなり雑に扱われいて(笑)アザだらけになってないか心配。
『元禄花見踊』
玉三郎さんが若手引き連れての図を愛でるの時間。玉三郎さんは一人だけオーラが違い別格。美しくて天女のようでした。
若手は前半に比べだいぶ動けるようになって、華やかさが増した。若手のなかでは児太郎くんが気になってそちらばかり見てしまう私である。