Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

三鷹公会堂『松竹大歌舞伎』 センター

2006年11月26日 | 歌舞伎
三鷹公会堂『松竹大歌舞伎』 センター


『歌舞伎噺』
錦弥さんが夏の頃よりだいぶしゃべりがこなれていました。相変わらず素敵。錦次くんが供奴を頑張ってたヨ。橋吾さん橋幸さんが息の合ったトンボをきっていました。

『吉原雀』
信二郎さんと高麗蔵さんがスッキリと丁寧な踊りを見せてくださいました。信二郎さんは男前でキリッとした踊り。高麗蔵さんの鳥女は美人さん。手捌きがしなやかで身の反りもとてもきれい。

『勧進帳』
幸四郎さん弁慶が満身創痍の弁慶でした。ちょっとお疲れぎみなんでしょう、いつもの朗々としたハリのある声が出ていません。ただ、非常に気持ちがこもっており弁慶の必死さ主君への想いはよくみえるものでした。でも前半、少々迫力不足だったかなあ。延世の舞~飛び六方までの場は相変わらずお見事。ここはほんとに天下一品だと思う。幸四郎さん弁慶はとても表情豊かなのですが、2年前から較べると少しづつその表情を押さえぎみにしてきてる感じがしました。それがかえって最後の神仏への感謝の念がよく伝わってくるものにしていたような気がします。にしても、いつもより台詞の抑揚を廻せなかったせいか、某所の『勧進帳』のせいか、台詞がいつもより非常に聞き易いと感じた私でした(笑)

高麗蔵さん義経は品格という部分と柔らか味がまだ足りないのですが、武将としての鋭さをみせ、辛抱役の義経という部分から一歩違うかなりユニークな義経像を作ってきていました。面白かった。

そして今回の私の目当ては信二郎さん富樫です。富樫の衣装は役者をいつも以上に男前に見せるのですが信二郎さんもとても衣装が似合い素敵でした。想像以上に骨太さと心に秘めた熱さを見せていただき、かなり良い富樫だったと思います。心配だった声も安定していて、緩急もきちんと乗って心地良いリズム。信二郎さんはこのところかなり安定感が出てきたなあと思います。もう少し突っ込んで欲しい部分や、体の持って行き方に物足りない部分もあるにはあるのですが、気持ちの乗り方がとてもよかったので、再度観てみたい富樫でした。

四天王のコンビネーションは相変わらずお見事。錦吾さん、亀三郎さん、亀寿さん、宗之助さん。来年1月歌舞伎座での四天王は誰になるのかな?亀兄弟を使ってくれないかなあ。

みなとみらい大ホール『サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団』

2006年11月25日 | 音楽
みなとみらい大ホール『サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団』C席3F RA席

指揮/ユーリー・テミルカーノフ
ヴァイオリン/ワディム・レーピン(チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲)


『リャードフ:「キキモラ民話」op.63』
聴いたことがない曲でしたが楽しい曲でした。弦の音が良いわ~。3階席なのに、1階で聴いているかのようなオケの音にビックリ。みなとみらいホールは音響が良いとは思うけどそれにしてもこの音量はなに?とただただ驚いた最初の曲でありました。

『チャコフスキー:ヴァイオリン協奏曲』
やばいです、すっかりレーピンさんの虜です。サントリーホールでのリサイタルでもかなりハマったんですけど、今日の演奏がかっこよすぎてメロメロですよ。ほんとになんちゅう演奏を聴かせてくれるんだ。骨太でかつ繊細な音、テクニックの素晴らしさ、音のボリューム、もうほんと凄いです、カッコイイです~。

『ショスタコービッチ:交響曲第5番「革命」』
なんだかね、凄い演奏でした。というか音に圧倒させられた。ここまで音が鳴ってるオケって生で初めて聴いたような気がする…。音の波がドカーンと来るって感じでした。あまりの迫力にちょっと唖然としつつエキサイトしてしまいました。ヴァイオリンの統制の取れた滑らかな音が特にステキでした。金管の音はちょっと力任せぎみで柔らかさがないのがチト残念だったけど、にしても全体的に迫力満点。


【曲目】
リャードフ:「キキモラ民話」op.63
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.35
ショスタコービッチ:交響曲第5番「革命」

【アンコール曲】
エルガー:変奏曲「エニグマ」op.36より第9曲
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」より「ティボルトの死」

サントリーホール『ワディム・レーピン ヴァイオリン・リサイタル』C席LA2後方

2006年11月20日 | 音楽
サントリーホール『ワディム・レーピン ヴァイオリン・リサイタル』C席LA2後方

ワディム・レーピン(vn)
イタマール・ゴラン(pt)

大当たり!エキサイティングな素晴らしいコンサートでした。レーピン氏のヴァイオリンの音色のボリューム、厚みにはビックリ。なんと深い音色なんでしょう。デビュー当時は超絶技巧で鳴らしたレーピン氏ですが今はその技巧の上に繊細さと深みが加わってドラマチックな素晴らしい演奏を聴かせてくだしました。またピアノのゴラン氏の演奏もお見事。レーピン氏とゴラン氏の掛け合いは絶妙でした。音色が非常に合っていて、お互いの演奏に負けじとするかのような丁々発止のやりとりが本当にエキサイティング。

アンコールに『ツィゴイネルワイゼン』を弾いてくれちゃった日にゃ、もうノックアウトですよ。私、この曲はハイフェッツ氏のを何度聴いたことか。大、大好きな曲。しかもこれまた素晴らしい演奏で。はああ、ほんとに凄かった。色々語りたいのに言葉が出てこない…ボキャブラリのない自分を恨みます~。

【曲目】
ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調op.108
グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ短調op.45
ショーソン:詩曲op.25
ワックスマン:カルメン幻想曲

【アンコール曲】
グラナドス/クライスラー編曲 :スペイン舞曲
サラサーテ :ツィゴイネルワイゼン
ブラームス :ハンガリー舞曲第7番
ショスタコーヴィチ :プレリュード

国立大劇場『元禄忠臣蔵 第二部』 1等A席前方上手寄り

2006年11月12日 | 歌舞伎
国立大劇場『元禄忠臣蔵 第二部』 1等A席前方上手寄り

物語の起伏もあり、女形も大挙出演だったので華やかで肩の力を抜いて観ることが出来ました。坂田藤十郎さんの大石蔵之助は仮名手本忠臣蔵の大星由良助をイメージさせるキャラクター作り。第一部の吉右衛門さんからの大石とは繋がらないものの、歌舞伎好きならすんなり入り込める大石でした。梅玉さんの綱豊卿はいかにも殿らしい品のある鷹揚さのなかに熱いものが秘められていてとても素敵でした。梅玉さんは殿役者だなあと思う。

後日補完予定

新橋演舞場『十一月花形歌舞伎 昼の部』 1等1階前方花道寄り

2006年11月05日 | 歌舞伎
新橋演舞場『十一月花形歌舞伎 昼の部』 1等1階前方花道寄り

花形(若手)歌舞伎は所詮花形歌舞伎。若手ならではの面白さもあるけど、かなり暖かい目で見る必要もありな十一月の演舞場でした…。


『番町皿屋敷』
松緑さんが台詞回しを一生懸命勉強してきたなーという印象。まだ気持ちを聞かせるとまではいってないけど、若さゆえの短慮さ青臭さのある青山播磨でした。芝雀さんのお菊ちゃんは可憐。自分から身を引いてしまいそうな雰囲気で男の気持ちを確かめるタイプには見えなかったけどね。

『勧進帳』
うーむ、お子ちゃま芝居というかコミック歌舞伎『勧進帳』というか…。目をむき歯をむきだしに富樫を威嚇する弁慶って…猿かいな?台詞音痴も相変わらずだけど、にしてもいつも以上にひどくない?お父ちゃん、お願いだからダメ出ししてあげて。成田屋の弁慶、こんなんじゃないはずです(;;)。富樫は衣装に着せられてる感が…ちょっと衣装大きくない?なで肩だから?それはまあ置いてくとしても、出は品があって台詞回しは丁寧でいいなと思ったんだけど、ハラが薄い、薄すぎる、どうでもいいや感が漂ってるんだけど。

『弁天娘女男白浪』
一番芝居としてまとまっていて楽しく観られました。菊ちゃんの弁天小僧はぴったり。松緑さんの南郷もいなせでなかなか。菊之助・松緑コンビは楽しそうで良い感じです。