Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

赤坂ACTシアター『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』 S席後方センター

2010年03月27日 | 演劇
赤坂ACTシアター『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』 S席後方センター

まだ始まって間もないので基本ネタばれ無しの感想です。

楽しかったです。しかし『御名残三月大歌舞伎 第二部』を同日観劇してしまい、しかも『弁天娘女男白浪』が楽しくてその余韻たっぷりなところで観たために『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』のほうはちょっと不利感が…。ロックミュージカルで舞台がヨーロッパとはいえ歌舞伎調の演出や衣装がありますから比べてしまい…。こんな観劇スケジュールにした私がいけないんですけど。

まず全体的な感想としてはエンターテイメントに徹した客を乗らせる芝居。五右衛門ロックシリーズとしての「顔見せ芝居」の方向性が気持よし。ただし、赤坂ACTシアターという箱は五右衛門ロックシリーズには合わない劇場だなという印象。新宿コマ劇場のイメージが強すぎるのでしょうかね。それとやっぱり一幕目が若干だれるのはお約束?特に酒場のシーン、無駄に長いような気がしました。しかし、そのだれ場が過ぎればあとは一気呵成に進んでいきテンポは良かったです。また、前回に比べていわゆるミュージカル色が強かった。今回の出演者たちが宝塚出身だったり、ミュージカル俳優さんだったりしたせいでしょう。しっかり歌える人たちがいて、曲調も正調ミュージカル風。私はこのミュージカルパロディ風味のノリがわりとツボで楽しかった。

さて、演出、最近毎回書いている気がしますが、今回も書きます。ええ、もう書かずにはいられない。いのうえさんの最近お気に入りの映像演出がますますエスカレート。映像多様の悪い部分が出てました。役者が引き立たない演出はどうなのか。 ひどすぎです。映像をまったく使うなとは言いません。味付けとして使うのは全然OK。『メタルマクベス』あたりまでだったら私は許容できる。でも今回のは味付けどころじゃない、ほぼ全面使用。そのごちゃごちゃした映像のせいで役者が舞台から浮き立ってこない。小さく見えてしまう。また衣装も引き立たないし、とにかく邪魔と思うところのほうが多かった。役者が芝居しているその後ろで大きな映像画面を流したらどういうことになるか。映像に気を取られちゃうんですよ。役者の芝居に集中できない。それによって芝居の印象が薄くなる。いのうえさん、ご自分で毎日ようにこの舞台を観ているはずです。私は今回、いのうえさんが観てる席の近くで拝見しました。後方センターからです、ほぼ同じように見えてるはず。映像多用のせいで役者の魅力が殺されていることに気がついてください。映像が舞台転換をスピーディにできるメリットもわかります。が、舞台の魅力って何?っていう原点の部分を思い出して欲しい。役者の魅力を十分に演出してこれる、という部分は相変わらずお見事です。それに応えるている役者も見事です。それだけになぜ舞台背景でそれを半減させなきゃならないんだ、と疑問でいっぱい。

私は直前に歌舞伎座で『弁天娘女男白浪』を観ました。「勢揃いの場」では川端の桜が満開の華やかな舞台上に役者五人がかなり派手な衣装で登場します。華やかな書割の舞台装置のなか華やかな衣装の役者が浮世絵のように大きく浮き立ってきます。こういう舞台を観て、今回の『薔薇とサムライ』の舞台装置を見てしまうと、同じ「派手」でもこうも違うものかと思いました。同じような「顔見せ芝居」だったため、ごちゃごちゃした映像はいらない!という思いが強くなってしまいました。(観た席での距離感も一緒だったから尚更!)

脚本のほうは中島さんお得意技をわりとストレートに持ってきたという感じですね。大枠は二転三転させるものの大きく捻らないで、役者本位での細かい部分で楽しませてきた感じ。五右衛門ロックシリーズとしてちょうどいいバランスだったと思います。今回、アンヌ@天海祐希さんを立てつつも五右衛門@古田さんの魅力がガッツリ出てたし。

役者さんたちははじけまくってほんとに良かったです。

五右衛門@古田新太さん、緩急のつけかたが相変わらず絶妙。受けの芝居がやっぱり上手いよなあ。今回、出番が多いのが嬉しい。ただの白ムチ(笑)が色男に見えてくるんだから不思議。声が色男なんだよなとか思ったり。最初の名乗りのとこは…ごめんね、まだまだだなってつい思った。もこもこした着物と鬘に着せられてる感が…。だってカッコイイ歌舞伎役者五人衆の名乗りを聞いたばっかりで…つい比べちゃったよ。

アンヌ@天海祐希さん、久々に舞台で拝見。『阿修羅城の瞳 2003年』以来かな。相変わらず華がある。凛とした姿がカッコイイ。特に海賊衣装や男装姿のカッコイイこと!さすが宝塚男役のトップスター!反対にドレスが似合わなかった、特にふりふりドレス…(笑)。天海姐さんにはもっとシンプルなカッティングの色の濃いビロード地のドレスのほうが合うと思われ。歌、上手くなったかな?なかなか聞き応えありました。殺陣は相変わらず…もっと頑張ってくださ~い。

シャルル@浦井健治さん、個人的にツボに入ったかも。ミュージカル畑からのご出演。さすがに声がいいし歌がほんと上手。わざとらしく大仰に、という演出部分にしっかり乗って演じてくれてるのもポイント高し。それだけじゃなく殺陣が上手いというか身体の動きがいい。

バルバ・ネグロ@橋本じゅんさん、相変わらず美味しいところ持っていく(笑)。美味しすぎるでしょう。私はマゼンダの衣装がお気に入りです。ラブリーでしたわ、うふっ(笑) コール&レスポンスは最近かならずやりますね~。

ポリー@神田沙也加さん、『レ・ミゼラブル』で拝見していますが超らぶり~。可愛らしい華があります。それと芝居に対して柔軟性のある人だなと思いました。今回、アイドル風の歌唱でしたけど、ミュージカル歌唱もしっかりこなせる人なのでお母様の松田聖子さんをもじった演出なのでしょう。そこをてらいなくやってくれてることに拍手。演技もなかなかしっかりしていると思う。

エリザベッタ@森奈みはるさん、なんだかいい味わい!宝塚の娘役だったんですよね。いちいち歌ってしまうキャラが楽しく、また芯の強さのある役がなんとも「らしく」て良かったです。

スペラード豹之進@山本太郎さん、良い意味でのアホキャラが楽しい(笑)。独特の雰囲気があってスパイスとして利いていました。

ブライボン大宰相@藤木孝さん、クセのある役を品よく、そのなかで捻ったアクのある雰囲気を出されていました。

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2010年劇団☆新感線30周年興行【春】
『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり 
作詞:森雪之丞
キャスト:
古田新太、天海祐希、浦井健治、山本太郎、神田沙也加、森奈みはる、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、藤木孝

【あらすじ】
ときは17世紀、ところは日本を遠く離れたイベリア半島の一小国コルドニア王国。
その領海で暴れまわっている海賊の石川五右衛門(古田新太)は、同じくその界隈を荒らしている女海賊アンヌ・ザ・トルネード(天海祐希)と戦友になり、彼女の船で用心棒をすることになる。
とある港町で、五右衛門は彼をつけねらう賞金稼ぎのデスペラード豹之進(山本太郎)と戦う羽目に。しかもその隙を突かれ、アンヌは城の兵士に捕らえられてしまう。
 城に連れて行かれたアンヌを待っていたのは、ラーカム・デ・ブライボン大宰相(藤木孝)。王の血筋が途絶えた今は、彼が国を仕切っている。だが、大宰相はアンヌに王になれと告げる。彼女こそ先王の娘だというのだ。城に入ったアンヌは、侍女エリザベッタ(森奈みはる)から貴婦人教育を受けるはめに。社交界デビューのダンスパーティーで、隣国の王子、シャルル・ド・ボスコーニュ(浦井健治)は彼女にひとめぼれをする。そして、そこにはアンヌを心配して潜入していた五右衛門もいた。貴族に変装していた五右衛門のことが気になり、うるさくつきまとう大宰相の孫娘のポリー・デ・ブライボン(神田沙也加)。
 それぞれの思惑が交錯する中、女王としての立場に目覚めていくアンヌはついに“海賊討伐令”を発布。彼女自ら甲冑を着込み軍を率いて、かつて仲間だった海賊たちに戦いを挑むことになってしまう。
 海賊仲間を守るためアンヌと対決する五右衛門。国王と海賊、立場を分かつ二人の誇りと意地が激突する。 だが、女王擁立の裏には大宰相の国家的陰謀があった。
 五右衛門とアンヌ、果たして二人の運命やいかに!?

歌舞伎座『御名残三月大歌舞伎 第二部』 1等1階センター上手寄り

2010年03月27日 | 歌舞伎
歌舞伎座『御名残三月大歌舞伎 第二部』 1等1階センター上手寄り

今月の第二部は地味かなと思いましたが、思っていた以上にとっても面白かったです。

『筆法伝授』
『筆法伝授』は『菅原伝授手習鑑』の通し上演時でないと普通は掛からない演目です。歌舞伎座で8年ぶりに上演。『菅原伝授手習鑑』は通し上演で掛けることに意味がある演目の一つだと思うので、今月のようにみどり狂言として上演するのは反対。歌舞伎初心者さん達が『筆法伝授』だけ観て理解できるとは思えません…寝ている人が多数でした。せっかく、役者さんたちが質の高い芝居をしているというのに。特に『筆法伝授』は後半に向けての色んな部分での伏線を張る場なので。前後を知らないと面白みに欠けると思うんですよね。歌舞伎座さよなら公演中は「一度、あの歌舞伎座に入ってみたい」という初心者の方々がいつも以上に多く足を運んでいらっしゃる様子。『菅原伝授手習鑑』をバラバラに上演するという狂言立ては本当に腑に落ちません。とまず文句を書いてしまいましたがこれは興行主への不満。

芝居自体はとても良いものでした。平坦な場にも関わらず舞台の空気は密だったと思います。

菅丞相@仁左衛門さん、まずは仁左衛門さんの清涼感がお見事。姿自体に品格があり精神的な透明感がいずれ神になる人なのだな、という部分でのオーラを感じさせた。ことさら何をすることなく最小限の動き。存在感だけで見せていく。8年前に演じた時はもう少し動きがあり、心情も前に押し出し、もっとアグレッシブだったという印象がある。この時は菅丞相という人の強さ、厳しさが現われていて私は割と好みだった。この8年前の菅丞相を追求しても面白かったんじゃないかとは思うものの、今回はたぶん十三代目を意識されたのでしょう。先への運命を受け入れ諦観にも似た表情。それが、菅丞相の大きさへ繋がっていたのが今回お見事。もう少し前の仁左衛門さんだったら、このオーラを出せなかったのじゃないかと思う。「今」だからこそ、ここまで出来たのだと思います。数年後の仁左衛門さんの菅丞相がどの方向へ到達するのか、それがとても楽しみ。

しかし、菅丞相は今のところ当代の仁左衛門さんしか演じませんし、他の役者では今のところなかなか思いつきません。しかし、菅丞相を演じる役者が出てこないと、とも思います。難しいところですね。

武部源蔵@梅玉さん、非常に端正な源蔵でした。梅玉さんの生真面目な雰囲気は源蔵にとても合っていて、幼い頃から菅丞相に一身に仕え精進してきた人だろうという部分での品がありました。ただ、好みからいうともう源蔵という人物造詣に熱が欲しかった。梅玉さんはこの場で源蔵は初役とのこと。そういう意味では端正に演じすぎたかな?と思わなくもありません。全体的にサラッとしすぎというか。源蔵は生真面目な頑固さのなかに情熱を秘めている人物だと思うのです。なので清書書きの場や勘当を解いてもらいたいとの嘆願の場はもう少し突っ込んだ芝居をしてほしかったかなと。ただ門外では、菅丞相への思いの強さや守ろうとする覚悟ぶりは良かったと思う。端正な梅玉さんがやることで切実さが出た感じ。ただ立ち回りがあまりお上手ではないかも?

戸浪@芝雀さん、控えめながらも芯のある戸浪。源蔵@梅玉さんは反対に主君への想いに熱を帯びています。その部分でがさりげなく場の空気を動かす存在だったのが印象的。女の一途さや強さを秘めた、とても良い戸浪だったと思います。引っ込みでの、先への不安と覚悟を秘めたなんとも愁いのある表情が印象的でした。この戸浪、好きです。

園生の前@魁春さん、品格のある素晴らしい園生の前でした。品格のある佇まいのなか奥方としての心配り、優しさがさりげなく現われている。こういう品格のある奥方役での魁春さんは本当に見事なものがあります。

左中弁希世@東蔵さん、軽やかに周囲を引っ掻き回す。我侭なガキ大将的な希世。敵役だけどどこか憎めない。ちょこまかしつつどこか品がある。ある意味、品がありすぎるかもしれないけど楽しい。個人的にはもう少し憎たらしく演じても面白いキャラだとは思う。しかし、東蔵さんはなんでもこなしますねえ。この役がニンだとは思えないんだけど…すっかり持ち役、さすがです。

梅王丸@歌昇さんが正義感溢れるキッパリとした梅王丸で印象付ける。後半の場の空気を動かした。

局水無瀬@吉之丞さん、だいぶ弱られたな、というのが第一印象ではあるけれど、そこにいるだけで説得力のある佇まい、空気感はやはり見事。

腰元勝野@新悟くん、可愛らしく端正に。新悟くんは着実に女形として成長していますね。今後が楽しみです。
          

『弁天娘女男白浪』
楽しかった~~。さよなら公演ならではの贅沢な配役がうまくマッチした芝居でした。空気が濃密で舞台が狭く感じられました。

弁天小僧菊之助@菊五郎さんが、とにかく超らぶり~!!可愛い~。私は菊五郎さんの弁天小僧は何度も拝見していますが、こんなに可愛いと思ったのは初めて。言わずもがなな当たり役で今までもさすがと思ってはきたのですが今月の弁天小僧はちょっと特別感がありました。今の菊五郎さんの魅力全開というか、居姿の美しさと華やかな色気。さすがに娘姿はトウがたっているんですけど、そこになんともいえない味わいが。どこをどう見てても「娘」じゃないんだけど、それでも可愛い。また見現し後の弁天小僧では濃厚な色気。男ぽい色気とは違う、かといって女形での色気でもない、ちょうどその真ん中にいる感じの独特の色気。芝居はもうすっかり手の内に入ってるだけあって緩急がうまく、余裕を感じさせる。また勢揃いの場での立ち姿、着物の捌き方は独特。惚れ惚れするような姿の美しさです。

南郷力丸@吉右衛門さん、菊五郎さんの弁天小僧とのバランスが非常に良かったです。華やかな色彩の菊五郎さんと渋い色彩の吉右衛門さん、そのキャラクターの違いがお互いを引き立ててるような感じがありました。吉右衛門さんの南郷は骨太な存在感がありつつ、受けの芝居に徹している。その受けの芝居に余裕があるので南郷力丸というキャラに陰影が出て面白くなっている。前半の供侍の時の台詞回しを時代掛かった調子にして、どことなくうそ臭さを感じさせ、その後、見現ししてからは軽く世話に落とし、茶目っ気を出す。上手いです。菊五郎さんとはあまり共演しませんが、イキもピッタリ合っていたような気がします。しかし、膝を痛めていらっしゃるのか正座が出来ない状態らしく少し痛々しさも。かなり痩せられていたように思いますが膝のためにウエイトを絞ってきているのでしょうか?

日本駄右衛門@幸四郎さん、まずは存在感で空気を圧します。あの頭巾が似合ってしまうのですから、立派なお顔というしかありません。どことなく得たいの知れなさがあるのが幸四郎さんらしい造詣でしょうか。今までも幸四郎さんの駄右衛門は拝見していますが、ニンじゃないなと思ってきました。頭目としての存在感はあるのですが、個人的にはもう少し粋な部分が欲しいかなと。しかしながら、今回はいつもの造詣ながら、その堂々たる存在感の大きさに見ごたえがあり、中心にいるべき絵面の美しさを感じさせました。また勢揃いでの朗々とした台詞が非常に迫力。

また、「浜松屋」ではさすが菊五郎劇団のアンサンブルのよさも見え、芝居運びのテンポもよく、「勢揃いの場」では、幸四郎さん、菊五郎さん、吉右衛門さんとともに忠信利平@左團次さん、赤星十三郎@梅玉さんともベテランの余裕でしっかりと魅せてくださいました。大顔合わせならではの華やかで骨太さのある舞台でした。

宗之助@菊之助くんは相変わらず綺麗で可愛い。きちんと宗之助として控えてたけどきっと勉強モードだったでしょうね。

日生劇場『三月花形歌舞伎 染模様恩愛御書』 S席前方センター

2010年03月21日 | 歌舞伎
日生劇場『三月花形歌舞伎 染模様恩愛御書 昼の部』3回目 S席前方センター

『染模様恩愛御書』、3回目です。もっと観たい気持ちいっぱいです。なんだかんだツッコミ入れつつ好きなんです、この歌舞伎。感想は思考がうまくまとまらずツイッターでつぶやいたのをとりあえず載せてみます。ただのつぶやきなのでかなり適当。いつも以上に読みずらいと思いますがご容赦を。

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染模様は私のなかではお祭り芝居(笑)。楽しくて元気が出るのよね。

しかし、色んな人の感想を聞いたり、読んだりしてみたら、どうやら私はあまりに突っ込み目線に囚われた観方をしていたように思った(反省)

純愛と忠義の部分をもう少し素直に観ればよかった。

そういえば、やっぱり東京verでも不評のシルエットラブシーン(あそこは秘してこそでしょ、やっぱり)に吹き替え疑惑発覚。数馬@愛之助さんは確実に吹き替えだった。

春猿さんがはっちゃけてて楽しかった~~。あのあざみちゃんが好きなのよ~。

友右衛門@染五郎さんは大阪初演の白塗りの時より今月のほうが美丈夫ぶりが際立つ。死体姿の時の顔がやたらと綺麗。どことなく幼くもみえた。友右衛門は数馬の助太刀も出来、細川の殿への恩返しもできて満足して逝ったんだな。 

改めて思ったけど染模様の女性陣はほんと救われないよねえ。特にきくちゃんはあの後どうなったんだろうと心配になる。

染模様の座組みの雰囲気のよさは東京でも健在。それが観客にも伝わる。だから楽しいんだろうな。

染模様は一幕目は「ラブコメ」を意識していると思うが女子目線のラブコメではなくあくまでも男子目線のラブコメ。少女マンガではなく少年マンガのラブコメだと思う

友右衛門と数馬の恋愛模様がどうも体育会系。女子が求めるお耽美にするには恋愛シーンにもっと溜めというか焦らしがないと。

見初め後、もう1エピソードが欲しかったなあ。あと、数馬の仇討ちにかける思いを明確するために数馬母は出すべきだった。

数馬@愛之助さんは一幕目はやっぱごついなと思ってしまったけど、一幕目ラスト近くあたりから可愛らしく感じる。友右衛門が兄貴分としてしっかりするから、その対比で、というのもあるかも?しかし、友右衛門&数馬のばかっぷるぶりはほんとに可愛いというかほのぼのする。

染模様、大阪初演時と東京verをうまく組み合わせ、転換のスピーディさをある程度確保しつつ、古典正統演出ぽくしたのも観て見たいかも。もう再演は無いだろうと思いつつ、多少配役替えをやれば可能かなと思ったり。

階段落ちの演出ですが、友右衛門が階段上でご朱印状を手に取った後、バランスを崩してゴロゴロと一気に下へ落ち、本舞台中央センターで割腹しご朱印状を腹におさめ、息絶えて、全体が崩れ落ち奈落へ下がる、という演出のほうがより盛り上がったような気がする。大阪初演verの変形。(全体が崩れてきたという雰囲気さえ出せればいいので何もセットを崩さなくても梁を2本程度、舞台脇の天井から落とすくらいで、あとは今回のように染五郎さんがセリで下がれば十分かと )

粉のキラキラは大阪松竹座のほうが綺麗に後ろのほうの客席にまで飛ばせてた。日生よりもっと客を巻き込んでいたよね。舞台機構の違いで一番痛感したのそこ。

あとは日生は客席まんなかに横切る通路がないために、客席通路を歩く演出が無くなったのも、残念。

染五郎さんの火事場へ向かう寸前の低い体勢での見得はほんともお見事だった。美しい。花道立たせたら日本一!<贔屓目込みだけどさ(笑)

ラスト、主題歌はやはり止めてほしい。あと天井から降りてくる杜若も!杜若は「数馬がフト咲いていた杜若を何気なく抜き」でいいんじゃないか?

友右衛門には男を好きになってしまったという逡巡がまったく無い。あったほうが面白かったと思われ…。

私としては東京verは物語が薄すぎる。そこをカヴァーするとしたら、という方向での思考になってる。

友右衛門が「相手は男だ、それでも惚れてしまったんだ」という逡巡をするプロセス描写と家を出奔する際の逡巡が少しでもあったらなあと。ラブコメにするにしろコメディとマジメのメリハリがもう少し欲しかった。

きくちゃんがその後、救われた、と思わせる何かが欲しいのだけど今のとこ思いつかない。しかし考えてあげたい。初演のときも考えたんだけど、数馬が一言、殿にきくの存在を知らせる、ということはできなかったのかと。数馬がお子ちゃますぎるんだよなあ。そこが可愛いには可愛いんだけど。

きくちゃんに関しては劇中で救われて欲しい。大阪初演のきくちゃんがあまりに哀れだったのできくちゃんに関してはほんとにトラウマなのだ。照葉さまが私が引き取るわ、と言ってくれるとか、そのくらいな感じだけでいいんだけど。

染模様を観た歌舞伎初心者さんたちの感想がほんと面白い。「歌舞伎は敷居が高くて難しい」を確実クリアさせている。それと純愛に感動したという感想が多い。愛だろ、愛ということらしい(笑)。

数馬への思い入れをする人が多い。ええっと、それはどういうことなのだろう?実は私は数馬への思い入れの部分がどうしてもわからないのだ。ああいうように一途に想われたいとか、そういう自分投影なのかしら?

あとはある意味、男の子だけど女子より女の子ぽいとこが良いとか?<数馬

ズバリ言っていいですか?数馬に感情移入できない訳。だって順番違うだろ~、とツッコミがっ。なぜコトをしてから仇討ちの大望を打ち明けるのだ~~。やっちゃったらこっちのもん的なとこが…小悪魔っ。

染模様、男性陣の感想もいくつか見つけたんだけど色々と面白い。面白い芝居としてしっかり受け入れてる人もいるけど、恋愛模様(ラブコメ&シルエットラブ)の演出に拒絶反応を起こしてる人も少なからずにいる。というより男性陣はこの芝居を受け止める人とそうでない人が両極端かも。

いわゆる、真面目に耽美系を求めた人は男女問わず、ラブコメ&シルエットラブ演出に怒りを表明中。

今回の友右衛門&数馬カップルが可愛いすぎて、という感想はかなり多いのだけど、男子からは今のところそういう感想は出てない(笑)。

日生劇場『三月花形歌舞伎 染模様恩愛御書』 S席後方花道外

2010年03月13日 | 歌舞伎
日生劇場『三月花形歌舞伎 染模様恩愛御書 夜の部』2回目 S席後方花道外

歌舞伎初心者の友人夫婦を誘いチケットを追加しての観劇。初日に拝見して、これなら歌舞伎初心者を誘いやすいと思ったのと、ちょっと変わった趣向の演出、舞台構造の芝居でなかなか無いタイプの歌舞伎でもあり、映像に造詣の深い友人夫婦には観て欲しかったのです。友人は「ワクワクして楽しかった」、「歌舞伎初心者に絶好、次また歌舞伎を見ようって気になる」と言ってくれました。誘ったかいがありました。笑いあり、涙あり、スペクタクルあり、ベタでシンプルな現代風演出ながら芯の部分がしっかり歌舞伎で、初心者の入り口にはほんとにいい芝居だなあとつくづく。

初日はやはり初日感たっぷりでこなれていない部分も散見されましたが、今回はさすがに芝居にメリハリがつき、全体が締まったいい出来だったと思います。演出も人の出入りの部分など少し手直しして、物語展開がスムーズ。それでいて、それぞれのキャラの思い入れの部分が濃くなっており、心情がストレートに伝わってきました。

大阪初演に比べるとラブコメディのコメディ部分は抑え目ですね。また初日から比べても抑え目に持ってきて、本筋の部分をしっかり伝えようという感じになってきているのかしらと思いました。特に、友右衛門@染五郎さんとあざみ@春猿さんが大阪時の時よりキャラクターの軽みを抑えた芝居にしてきたような気がします。ラスト、「肝臓・腎臓・小腸、三つ合わせて肝腎腸!!」のオチを無くした時点で多少は笑いを減らす方向だったのでしょうね。

今回、席が後方花外だったので舞台も近いわりに全体がきちんと見え花道での役者さんの風を受ける非常に良い位置というだけでなく、観客の見物の雰囲気もよく見て取れました。演出家が後方から何をどうチェック入れるのかよくわかりました、芝居に対する客のリアクションが手に取るようわかるんですよ。これは意外な発見でした。今回私が観た回の客はたぶん、ほぼ歌舞伎を観たことない人たちが大半。出演者も市川染五郎という役者を知ってる程度の客多し(拍手の大きさで判断)。たぶん、あのポスターに惹かれてきた人とかBLに惹かれてきた人とかそんな感じかなあと。それで姿勢がじゃなく、気持ちが前のめりで見てる雰囲気。勿論、笑いどころは楽しそうに笑うんだけどほとんどすべてに真剣に見入ってる。笑いが少ない。わりと本気で恋愛模様に入れ込んで見てる…シルエットロマンスでも笑いがほとんどおきない!そして終盤に向けて観客がヒートアップしていくのがまざまざと。火事場は大盛り上がりだし、ラストは泣いている人多数。いやあ、これには正直驚きました。

役者さんたちの真剣度に観客が呼応して、また反対に観客の真剣度が役者さんに呼応して、その空気感が面白かったです。ツッコミモードで観ていた私もその空気に感化され、後半かなりマジメモードで観ていたような気がします。大阪初演でのツッコミ入れつつ楽しんでるほんわか笑いモードな空気感が好きだったのでそこを求めつつも、今回の恋愛模様と忠義をストレートにもってきた東京版もこれはこれで好きかも。とっても楽しい観劇でした!

今回はこういう雰囲気でしたが、日によって観客のノリで笑いが多い回もありそうです。この芝居、日々変化しその時々で違う完成形というものがない芝居なのかもしれません。だからリピーターが多いのかな。ハマる人はハマる芝居という気がします。

そういえば歌舞伎をよく観ている人でも勘違いしている人も多い「不義密通」。 今回も「不義密通」というわりに細川の殿と数馬がそういう関係に見えないので説得力がないという感想を時々見かけます。しかし江戸時代の「不義密通」は何も不倫のことだけではなく武家において職場恋愛(オフィスラブ)は固く禁じられていて、通じ合えば(寝ちゃったらってことネ)不義密通となり死罪に値しました。なので、染模様で数馬が細川の殿のお手つきじゃなくても友右衛門と通じ合ったことで「不義密通」と告発されても当然なのです。

古典歌舞伎では『熊谷陣屋』の熊谷夫婦や『菅原伝授手習鑑』の武部源蔵夫婦など、ご主人に不義密通の間柄をお目こぼししてもらい逃してもらったという恩義を抱えた夫婦。だからこその彼らの行動があるのです。他にも『仮名手本忠臣蔵』の勘平・お軽カップルもそうですし、歌舞伎の世界では「不義密通」のカップルは沢山いて「義」に悩んだり「義」のために行動を起こしたりします。そういう意味では『染模様恩愛御書』の本筋は王道中の王道なので、この芝居で歌舞伎に興味を持った人は次にこういった歌舞伎を選ぶといいかもしれません。

今回、『染模様恩愛御書』に関してはBL歌舞伎と称するからには「数馬が細川の殿のお手つき」というように捉えた脚本かもしれませんが、そう見えなくても問題ありません。

そういう意味では役者によってだいぶキャラクター造詣は変わりますよね。今回の門之助さんの細川の殿様は太っ腹だけどマジメで奥様一途な殿様にみえます。同じ台詞&立ち振る舞いでも大阪初演時の段治郎さんの殿様は数馬どころか友右衛門も食っちゃいそうにみえました(笑)。

日生劇場『三月花形歌舞伎 染模様恩愛御書』 A席前方センター

2010年03月06日 | 歌舞伎
日生劇場『三月花形歌舞伎 染模様恩愛御書』 A席前方センター

2006年10月に大阪松竹座で初演された復活狂言の久しぶりの再演です。初演時、大阪まで観にいって妙にハマってしまったお芝居でした。人気があったためすぐに東京で再演かという噂もありましたがなかなか実現されず。3年半ぶりの再演を聞いた時には今更なぜ?という気持ちも。初演時の勢いでそのまま一気にということでもなく、松竹座と日生では小屋の雰囲気も違いすぎますし正直役者さんたちのモチベーションもどうなのか?と個人的には危ぶんでおりました。しかし、ポスターには力が入ってますし、配役もほぼ初演と同じということで期待も生まれました。心配半分、期待半分で観劇に臨んだ初日。

結論から申しますと、とっても楽しかったです!とってもワクワクしました。チケット、追加しようかと思っているくらいです。やっぱりこの芝居好きかも。まだ初日感たっぷりなのとストーリーをシンプルした部分で余白というか余韻をまだ作り上げきれてない部分で若干物足りなさはありましたが、こなれてくればメリハリがついてくるかなと期待。どんどん進化していく芝居だと思いますし。

基本、物語立ては初演と同じですがかなり脚本に手を入れてます。本筋にあまり関係ない部分をばっさり切り、ツッコミどころ満載でゆるゆるだった部分をかなり手直しして、物語の流れを綺麗にした感じです。私は全体の荒さやゆるゆるな部分含めて、好きだったのでちょっと残念な気もしますが、見やすさという部分で受け入れられやすい仕上がりかと思います。本筋で一気に芝居が進むので観ていてダレないし、後半に向けて一気呵成に盛り上がっていくので観客としては入り込みやすい。

個人的には手直ししてほしい部分がいくつか改善されていて、特に特にあざみちゃんが今回ある意味救われたのは嬉しかったし、きくちゃんの立場がどちらにせよ可哀相ではあるけど、可哀相の方向性が多少変化していたので前回よりは納得。それでもやはりあまりに薄幸だよなあ…初演でも感じたけど友右衛門には妹に対する筋をもう少し通して欲しかった。基本、女子キャラ好きなもので、ついね。

横山図書の性格付けを今回は性根の悪い悪人として描いてきて仇討ちものの部分でわかりやすく歌舞伎らしい善悪ものしたのはすっきりして良かったと思う。初演ではつい同情したくなるキャラだったので、仇討ちのとこなんだかスッキリしなかったんですよねえ。ただし反対に物語としての膨らみはなくなった部分も。この改変は前回観た人で猿弥図書が気に入った人にはガッカリかもしれない。物語の膨らみという部分では、「浅草観世音仁王門の場」の数馬の母がカットされていたけど、ここに関してはカットしてほしくなかった。ここがあることで数馬の仇討ちに賭ける思いがよく見えるのだし、友右衛門と数馬の恋愛がなかなか進んでない焦らしがあって、ラブコメものとしても面白かったんだけどな~。こういう瑣末さところがあることで物語は膨らむからね。

あと、火事場での「三つ合わせて肝腎腸ーっ!」は個人的にわりと有りだったので残して欲しかったり。でも当時、このくだりは賛否が激しくてしかも「否」のほうが多かったことを考えたら仕方ないかなあ。友右衛門の命をかけた忠義にじーんとしている人が茶化されたと感じてしまう可能性もあるし。けど、楽しかったんだけどなあ…そういう部分では私はこの芝居に関しては「ツッコミを入れて茶々を入れる」方向で楽しんでいる部分もあるので、真面目に観てる人には怒られちゃうかも。

演出部分では小屋が違うので大道具の動かし方と火事場の部分がかなり変更になっていました。木を組んだだけのシンプルなセットは変わらず、松竹座では盆廻しで動かしていたのを、盆が無い日生ではスライドで。このスライドは場面転換テンポがよくなって効果的。火事場はより大掛かりなセット。かなりカタルシスのある演出になっていました。染五郎さん、お怪我のないようにくれぐれもお気をつけて。火の粉に見立てた赤や金銀のセロファンを撒くのは変わらず、キラキラしてとても綺麗です。義太夫ならぬ講談での語りも勢いがあって相変わらず良いです。初演と同じ、旭南左衛門さん。

演出変更無しの部分で、前回どーしても止めて欲しかったシルエットのラブシーンはそのまま。ほんとにあそこだけは止めて欲しいんだけど…。かえって色ぽく見えないんだよねえ。笑っちゃう。禁断の、と謳うからには笑いに逃げなくても~。あ、ここ笑いどころですよね?違ってたらすみません、でも笑ってしまいます。真面目いえば、ここはあえて見せないほうがエロを感じさせたりすると思う。もしくは、思い切って、生で褌姿を見せてみよ、と言いたいです(笑)。あ、さすがに無理?

音楽はほぼ黒御簾内での生演奏しておりました。ただし、オープニングとエンディングは録音。あれ?松竹座では生演奏でしたよね?やはり小屋の音響の違いとかあるのかな?で、テーマソングがあるんですが、これがあまりに微妙すぎて(--;)聞いてて恥ずかしくなるんですけど…このテーマ曲は手直ししてほしかったかも~。まったりしすぎません?

大川友右衛門@染五郎さん、初演時は一本気で真っ直ぐだけどどこか線が細く若造なヘタレ感がありましたけど、今回は骨太さがプラス。一本気で素直な男性というだけでなく頼りがいという部分が出てきていたので、忠義の部分がクッキリと見えました。それでも、恋に盲目な部分での可愛らしさはそのまま。染五郎さんらしい可愛らしい男性になっていました。それと以前に比べ、友右衛門という人物を演じるうえで歌舞伎味が濃くなっていました。台詞にしろ風情にしを腰の座りがいいというか、全体的に歌舞伎の人物像だなという感じ。それにしても二幕目以降の友右衛門の身体を張ったキレのよさは素晴らしいですね。凛々しくてとってもかっこよかったです。花道上での腰の低い見得はほんと素晴らしかった。階段落ちは観てるほうが怖かった。

印南数馬@愛之助さん、前回、この役を愛之助さん?と心配していましたが心配をよそに、ふっくらと少年ぽい可愛らしい数馬を演じてくださいました。今回は若干トウがたってしまったかなと思わなくもなく(ファンの人すいません)…少年という感じはあまり感じず。どことなくふわふわした世間知らずゆえの小悪魔ぽさとか一途さは少し無くなっていたかなあ。しかし、そこは身体の作り、台詞回し、表情でうまくカヴァーされていて、友右衛門への思慕は今回のほうが強くみえ違った部分での可愛らしさはありました。思い切ってお小姓姿じゃなくして年齢設定を上にしても良かったかもとか。こういう柔らかい役は久しぶりでしょうから、こなれてくればまたふんわりした部分も出てくるかな。期待してます。後半の仇討ちの部分は前回よりしっかりしてて良かったです。ちゃんと修行してきたんだな、という部分もみえたし、あざみちゃんをしっかり庇えてたし。

あざみ@春猿さん、相変わらず可愛い、綺麗~~。私はあざみちゃんラブなのです。単純で嫉妬に身を焦がしロクでもないことをしでかしちゃう馬鹿な女の子なんですけど、そこが可愛い。身近にいてほしくないけど、でもそれだけ好きな相手のことしか見えてない純粋さがあるわけで、その部分での恋愛の裏の部分を真っ直ぐみせてくれて私は大好き。しかも、春猿さんが可愛く切なくはっちゃけて演じてくださっているから凄く魅力的。ほんとに可哀相な女の子だと思う。でも今回、最後あざみちゃんなりの落とし前をきちんと付けてもらえて良かったなと思う。前回のは、どう考えてもあざみちゃん、女として辛すぎたので。まだ初日ははっちゃけきれない感じでしたが、もっと前に押し出して演じてください。いけいけ、あざみちゃん!

いよ/きく@芝のぶさん、美人で薄幸な娘を二役。似た役柄ながらしっかり演じわけをされているのがすごいです。前回より押し出しがよくなって、ある意味、悲劇のヒロイン的立場なんだなという部分が今回しっかりみえてました。きくちゃんの健気さに涙。救われてほしい、と心から思います。

横山図書@猿弥さん、前回、善悪は曖昧な人物像を演じていらっしゃいましたが今回は気持ちがいいほどの悪人。それだけに押し出しよくしっかり悪人として演じてきてくださいました。こういう時はしっかり敵役として存在してほしいのでそこら辺きっちり弁えていらっしゃる。藩の師範になれるだけの剣豪というのも説得力の動き。お上手な役者さんです。

細川越中守@門之助さん、前回は段治郎さんが演じていらして、かなりインパクトのある大らかで楽しい素敵な殿様でした。初演当時、かなり人気があったと思います。私も大好きでした。その役を柄の違う門之助さんが演じるのですから大変だと思います。しかし、門之助さんは品格のある真面目なお殿様としてしっかり演じてらして、これはこれでいい感じでした。まだ肩に力入りすぎな感じでしたが、こなれてくるともっと大きさもでるでしょうし、門之助さんならではの細川の殿を演じてほしいです。

細川奥方照葉@上村吉弥さん、相変わらずお美しい奥方さま。やはりどことなく年上女房的雰囲気があります。控えめながら意外と主導権握ってる風(笑)

家老@錦吾さん、チラシの配役に載っていらっしゃらなかったのでご出演されていてビックリでした。さすが錦吾さん、目立たない役ながらしっかり締めます。錦吾さんが入られたことでこの芝居が歌舞伎の舞台だとという雰囲気をなおさら感じさせてくれたような気がします。

<2006年10月初演時の感想:完全ネタばれです>
★感想 その一
★感想 その二
★感想 その三
★感想 その四