Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

国立演芸場『ワザオギ落語会』前方上手席

2014年06月07日 | 古典芸能その他
国立演芸場『ワザオギ落語会』前方上手席

飛び道具的なのから古典まで色々で笑いっぱなし。誘ってくれた方に感謝です。

瀧川鯉朝『街角のあの娘』
柳亭市馬『天災』
笑福亭たま『人間国宝』
桃月庵白酒『臆病源兵衛』
春風亭一之輔『粗忽の釘』

個人的には端正な市馬さんの語りが好きです。でも全部楽しかったし面白かった。笑福亭たまさんの芸風は小ネタ好きの人はハマると思う。

渋谷大和田伝承ホール『渋谷金王丸伝説』 中央列上手寄り

2013年08月03日 | 古典芸能その他
大和田伝承ホール『渋谷金王丸伝説』 中央列上手寄り

大和田伝承ホール『渋谷金王丸伝説』第四弾を観に行きました。「帰ってきた金王丸」と副題が付いています。昨年は事故で染五郎さん、出演できなかったからね…。

さて、正直に書きましょう。超久々に染五郎さんたら観客置いてきぼり系をやらかしてたような(笑)たぶん頭の中にあるものをきちんと構成できず終いだったんでしょう。今回は準備期間が少なかったようだし。とはいえ前がかなりクオリティが高かっただけに大いにダメ出しをしたいところ。素直に原案通りに振り付けしてけばいいのに天邪鬼ぶりが出ちゃった感。個人的に染五郎さんが今何を踊りたいか、何に思考がいってるかは見えた気はしたんですよね。振付にあれこれが色々入っていたし。でもそれを創作舞踊のほうには消化しきれてなかったってところ。とりあえず極端に観客置いてきぼりするのはやめよう。単純に分かりやすくしてほしいわけではないのです。取っ掛かりは欲しい。

あとワークショップの発表会を挟み込む形式も舞踊公演という目線からみると流れとして裏目に出たかな。ワークショップの皆さんや親御さんにしてみたらかなり嬉しかったとは思う。子供たちは可愛かったし。ワークショップ参加者の身内の観客が8割な公演なので今回のように発表会をメインしたほうが正解なのかなと思います。あくまでもその一環なんだし染五郎さん的にも今回はそこを押し出した感もあったし。

従来みたく金王丸伝説のほうだけ一気にいけば感想はまた違っただろうなとは思うけど。染五郎さんの創作舞踊の現代邦楽のテンポに合わせて刻んでいくような独特の振り付けはやはりとても好きです。日本舞踊ってこういうのもありなんだよっていう提示のしかたも。まあ、思考のほうだけが走りすぎなことは多々あって、そこはもっと練ってこようよとか考えようよというのもやっぱりある(^^;)

ただ試行錯誤な染ちゃんの創作舞踊と染ちゃんの子供たちへの日本舞踊の種まきはそれでも着実に育ってるなんだなという思いは感じて、その世界にも染ちゃんはようやく戻ってきたんだな~という感慨は実はある。1年前のこと考えると染五郎さん、戻ってきてくれてありがとうとファンとしては素直に思う。

新橋演舞場『第八回 三響會 十五周年記念公演』 3等3階前方下手寄り

2012年10月27日 | 古典芸能その他
新橋演舞場『第八回 三響會 十五周年記念公演』 3等3階前方下手寄り

『延年之舞「滝流し」』
能楽での『勧進帳』の一部分の演奏。深々たる空気と力強さを感じました。

『獅子』
菊之丞さんがキレのある獅子ぶり。空気を切り込むような鋭さ。

『船弁慶』
囃し方の人数が増えると一気に華やかな演奏になります。勘十郎さんが表情豊かな大きな踊りぶり。

『小袖曽我』
能楽のほうは日本舞踊や歌舞伎舞踊とはやはり空気感が違う。一点に集中するというか背筋がしゃんと伸びる感じ。梅若紀彰さん、観世喜正さんの連れ舞(っていうの?)が華やかで楽しい。

『供奴』
鷹之資くんは素直に丁寧に丁寧にしっかり踊っていました(^_^)。舞台映えする良いお顔。

半能『天鼓』
これがとても面白かった。物語のなかの喜びがストレートに伝わってきた。観世銕之丞さん、表情豊かに舞う。

『三番叟』
演奏に佐太郎さんが!出演者にお名前が載っていなかったのでサプライズです。藤間勘十郎さんらしい華やかでケレン味のある振り付けを猿之助さんが軽妙にキレよく踊っていく。足捌きが前より力強くなっていたかな。猿之助さんの三番叟はまさしく「地」。ラスト操りぽい雰囲気を見せてたのが面白い。

演舞場で猿之助さんだとどうしても染五郎さんと猿之助さん(当時、亀治郎)での二人三番叟を思い出す…。あれは天と地の三番叟だった。もしかしたら今回それだったかもしれないのよね…あれこれ雑念入ってしまった…。


--------------------------------------------------------
新橋演舞場『第八回 三響會 十五周年記念公演』

一、一調一管による三響會の歩み

 ・「延年之舞~滝流し~」
   亀井広忠
   観世喜正 藤田六郎兵衛

 ・「獅子」
   田中傳左衛門
   尾上菊之丞 福原寛

 ・「船弁慶」
   田中傳次郎
   藤間勘十郎 田中傳十郎
   山崎正道 杵屋利光 今藤長龍郎

二、舞囃子「小袖曽我」
   梅若紀彰 観世喜正

三、舞踊「供奴」
   中村鷹之資

四、半能「天鼓」
   観世銕之亟

五、囃子による「三番叟」
   振付 藤間勘十郎

   市川猿之助
   亀井広忠 田中傳左衛門 田中傳次郎
   福原寛 田中傳左衛門社中

両国国技館『大相撲一月場所』 2階イスB席

2012年01月08日 | 古典芸能その他
両国国技館『大相撲一月場所』 2階イスB席

両国国技館に『大相撲一月場所』の初日に行ってきました。大相撲観戦初体験でございます。国技館自体が楽しいし、相撲も楽しい。やばい、これハマる。やっぱライブものはライブで見ろ!ですね。まずは全体の雰囲気のハレ感が良い。楽しいご見物を、という精神に満ちている。おみやげもの屋さんもいっぱいあるし、親方や力士も普通にうろうろしているし。そして客席もかなりフリーダム。好きなときに好きなように食べたり観たり、席はずしたり。そして男女問わず応援する力士の大声で大向こうをかけている。子供もかなり多くいました。それが楽しいんですよね。

なんだろ、これだよって思った。歌舞伎観劇からは失われつつある「ゆるさ」がそこにあった。そのゆるさが楽しいに結びついてるのが今の大相撲。それと相撲の取り組みが思った以上に面白いのよ。きゃあきゃあ言いながら見ちゃった。2階の真ん中列の席だったので遠いんだけどそれでも迫力。儀式性があるのがまた良いのかも。スポーツだけどスポーツじゃない。今はチケット取るのも楽になっているので興味のある人ぜひオススメです。

国立能楽堂『金春会定期能』 正面席

2010年01月17日 | 古典芸能その他
国立能楽堂『金春会定期能』 正面席

知り合いに誘われて、お初に国立能楽堂に足を踏み入れました。能鑑賞は学生時代に勉強でほんの少しばかり。それ以来ぶりです。プログラムは大曲が並び12:30開演で17:15終演。しかも休憩はなんと15分の1回のみ…まじで~~?歌舞伎で長時間観劇が慣れているとはいえ、さすがに疲れました。でも、面白かったです。また何かの折に観てみたいな。

能『小鍛冶』櫻間金記
狂言『佐渡狐』野村萬
能『楊貴妃』山井綱雄
----休憩15分
能『角田川』辻井八郎

以下、能鑑賞、初心者の感想。ピントがずれていたらすいません。

演目はきちんと勉強したことがあるのと、内容は一応知っているのとばかりだったので事前予習をしなくてもなんとかなりました。それと謡がかなり聞き取れたのに自分でビックリ。謡が聞き取り易い演者が揃っていたせいか?それとも歌舞伎を観てきた積み重ねがここに活かされたのか。学生時代、予習してしかもテキストを手元に置いておかないと聞き取れなかったのに。

それにしても、久々の能でしかもほとんどケレンのない演目ばかり3曲は疲れました…。といっても色々面白かったです。極限までにそぎ落とした表現形態がやっぱり凄いなあと。しかし、この表現形態へと進化し残ってきたのも考えたら面白い。省略・抽象って観る側も選ぶから、そこら辺で教養趣味として進化していったりしたのかな?とか。学生時代の勉強したはずだけどすっかり忘れてる…今度きちんと能の歴史を調べてみよう。

今日は「なんかわかんないけど凄い」というまでのものはなかったけど(学生時代拝見した時にとにかく圧倒させられたことがあった)、きちっと見せてきたと思います。このほぼ初心者の私が飽きなかったんだからレベルは安定していたのだと思われる。各曲とも鳴物のバランスがもうひとつなのが残念だったかな。小鼓と大鼓がよくても笛が、とか大鼓と笛がよくても小鼓がもう一歩とか。能も総合芸術だよねえ。

「小鍛冶」
櫻間金記さんは動きも謡も渋い感じ。装束は地味かなあ。どうも歌舞伎とか文楽の派手なのを観てるから…。ワキの方が結構お年なのかな、足がつらそうでちょっとハラハラしました。

「佐渡狐」
狂言はやっぱり楽しいというかほんとに息抜きになるねえ。野村萬さんは品のあるバキッとした感じの狂言師さんでした。さっき調べたら人間国宝さんだった。

「楊貴妃」
これは学生時代観たことのある演目だったので入り込みやすかった。山井綱雄さん、少女のような楊貴妃(笑)。いわゆる艶があんまりないかなあ。でもその代わりとっても可憐で切々とした雰囲気がありました。この方は謡に表情があると思う。

「角田川」
名曲中の名曲ですね。辻井八郎さん、やはりまだ若い感じで狂いの部分や母としてのふくらみというか哀れさが足りないかな。でも謡にハリがあっていいし、体の運びや形がしっかりしているかなと。泣きの形が良いと思いました、能面に表情がよくついていたというか。 子方がとっても可愛かったです。

「楊貴妃」と「角田川」は若手中堅どころでしょうか。上手いとは思うんだけどまだ若いなあって思いました。

世田谷パブリックシアター『MANSAI◎解体新書/その拾四「ひとがた(人形)」』

2009年02月24日 | 古典芸能その他
世田谷パブリックシアター『MANSAI◎解体新書/その拾四「ひとがた(人形)」~自己と他者のディスタンス~』 3階立見席

野村萬斎さん主催のトークショー『MANSAI◎解体新書/その拾四「ひとがた(人形)」~自己と他者のディスタンス~』を観に行きました。ゲストは文楽人形遣い、桐竹勘十郎さんと『生物と無生物のあいだ』の作者、分子生物学者の福岡伸一さん。立見席で2時間半でしたがとても面白くて、思ったより疲れずに済みました。


●福岡伸一さんの言葉で印象的だったもの
「動的平衡」
「他者があってはじめて、自己を認識」
「自己認識すると死ぬ細胞」
「自分探しをする細胞---ガン細胞、ES細胞」


●人形浄瑠璃の実演
出演者)
主遣い:勘十郎さん
左遣い:勘弥さん
足遣い:紋秀さん
義太夫:咲甫大夫さん
三味線:清介さん 

『義経千本桜渡海屋・大物浦の段』の幽霊知盛のくだり
一、
まずは勘十郎さんも黒子姿で人形にピンスポを当てて。人形がこの演出のため際立つ。ひとつひとつの形がさすがに美しいし躍動感がある。文楽を上から眺めることって無いので、普段見られない角度で見られたのも面白かった。上からのほうが形(この場合、人形のバランス)がよく見える。歌舞伎でも上からのほうが体の置き方が上手いか下手かがわかりやすいのと同じかも。

二、
次になんと人形なしで同じシーンを三人遣いで操る。これがすっごく面白かった。三人のコンビネーションが人形がなくても崩れないんですよねえ。エア人形なのにちゃんと人形がみえてくるんですよ。これは見事だった。三人でひとつ、というのが如実にわかる。しかも20分近くしっかりパフォーマンスとして十分に見られるという事が凄いと思う。これを見ると人形遣いの方がかなり大変なこともよくわかる。

特に足遣いの方は絶えず中腰で、しかも腰を主遣いの腰にピタリと付けていなくてはならない。(主遣いの体の動きが足を動かすタイミングの合図。それを体で感じて動かす)。しかも今回は主遣いが高下駄を履いていないのでいつも以上に腰を屈めてやらないといけなかったはずだ。でもきちんとやってのけた紋秀さんにはただ拍手。

また楽そうと萬斎さんに言われていた左遣いだが、勘十郎さん曰く「かなり神経を使うポジション」とか。糸も繋がっていない状態でも見事に左手の位置を右と対称の位置に置き、タイミングよく左を動かしているのをみて、確かに相当な集中力が必要、というのを感じた。


●人形と萬斎さんのコラボ
『悪七兵衛景清』
これが思った以上に違和感があるのです。そこが面白かった。伝統芸能の動きの基本、「腰を中心に据えて動かさない」は同じなのに動き方が違うんですよね。「能-狂言-歌舞伎-文楽」能は所作が最小限、そこから右にいくつれ動きが大胆に、ただし基本は一緒、というところでしょうか。

全生庵『すずめ二人會 -夏の巻- 「怪談牡丹燈籠」』

2008年07月04日 | 古典芸能その他
全生庵『すずめ二人會 -夏の巻- 「怪談牡丹燈籠」』

昨年に引き続き、全生庵で行なわれた掛け合い噺第三弾『掛け合い噺 すずめ二人會 -夏の巻-』に行ってきました。怪談噺を全生庵で、という企画が良いですよね。また、アットホームな雰囲気でなごやかな会なのも素敵。今年のお題は『怪談牡丹燈籠』です。噺で聞くと筋がわかりやすいですねえ。昨年10月歌舞伎座での仁左衛門さん、玉三郎さんでの『怪談牡丹燈籠』の記憶も新しくその違いを比べつつ拝聴するのも楽しかったです。

林家彦丸『高砂や』
彦丸さんの噺は聞きやすいです。とてもストレートなので噺の内容が判りやすい。もう少し緩急があってもいいかなとは思うものの一生懸命演じてくださるので聞いていて、とても爽やかな気持ちになります。昨年に比べ、ご隠居の語りが巧くなっていたかも。

『鼎談』
住職さん、正雀さん、芝雀さん、三人の語り。一日三公演のなかの三回目となるとなんとなく疲れ気味でしょうか(笑)

圓朝師匠の若いときのエピソードが面白かったです。23歳くらいですでに『怪談牡丹燈籠』を創作したとか、やっぱ天才だったのでしょうね。

芝雀さんとの掛け合い噺は、相手を受る間が必要となるので大変だけど勉強にもなるとは正雀さん。

素顔で掛け合いをするのは抵抗があるか?と聞かれた芝雀さんは気にしていたら歌舞伎役者はやれない。いつも男同士、見つめ合ったりしてるんですから。歌舞伎もお稽古の時は素顔だし。舞台稽古でも衣装着ても顔は素顔だったりする。冷静に考えたら気持ち悪いこと平気でやってるとか(笑)

林家正雀 『怪談牡丹燈籠 -お露新三郎-』
お露と新三郎の出会いのところの噺。歌舞伎ではここのエピソードは省いていたので、きちんと聞けて楽しかったです。お互い一目ぼれで、というエピソードがあるので夜中に尋ねてくるお露を疑わずにいる新三郎の気持ちがわかるし。カランコロンの音が妙に気になるような語りでした。侍女のお米さんはやっぱり吉之丞さんがイメージに出てきてしまいます(笑)

中村芝雀・林家正雀『掛け合い噺 怪談牡丹燈籠 -お札はがし~栗橋宿-』
正雀さん新三郎・伴蔵・久蔵など男性陣を芝雀さんがお米とおみねの女性陣(人相見のみお互いに分担)とそれぞれに分担。お互い、熱演です。最初のうちなんとなく微妙に噛みあわないところがあったりしたのですが、どんどん息が合ってきます。そういう意味でなんとなく息が合いきれてない「お札はがし」のところより息が合ってきた「栗橋宿」のところのほうが面白かったです。男と女のまさしくバトル。いやあ、そうかあ~、今回、伴蔵がおみねを殺す動機がしっかり見えました。今回の伴蔵とおみねは気持ちが完全にすれ違ってしまった夫婦でした。

芝雀さんは役に入るとやっぱり「女」になるんですよね。素の時は「女」の気配をまったく見せない方なんですよね。それが役に入った途端、素顔でも「女」で見えてくる。「お札はがし」のところはあまり考えずに思いつきで行動するちゃっかりしているおみねだったかな、でもインパクトはあまり無かったですね。ごく普通の女房で、フと魔が差したように強欲になる、とかそういう部分があまりなかった。そこからくる面白みがあまり感じられず、あともう一つ何か欲しかった感じ。後半の「栗橋宿」おみねは良かったです。久蔵から真相を聞き出そうとするおみねのしたたかさ、そして夫婦喧嘩の時の怒りをお腹に溜めている様子、それが爆発してしまう様子。女の強さ、醜さ、切なさが見事に混在しているおみねでした。「栗橋宿」のおみねは凄かった…芝雀さん、こういうお役も出来るんですね。

正雀さんは前半、後半とも良かったです。等身大のそこに生きてる庶民。久蔵では気の良さとか酔っ払った様子がいかにもリアルで愛らしい男がそこにいました。また伴蔵の男の論理で押す弱さや開き直りの強さがやはり納得させる雰囲気。いかにもなキャラクターだからこそ、夫婦喧嘩が真に迫っていました。

ラストの殺しの部分は芝居仕立て。舞台上に二人とも立ち上がって演じていました。私は芝居仕立てにしなくてもいいんじゃないかと思ったんですが、友人に普通の落語でも一人で立ち回ってやる演出だよと聞いて、へえ、そうなんだと思った次第。確かに殺しの部分を語りだけでやるのはかえって難しいのかも。でも脅かすためだけに出てきた幽霊さん(正雀さんのお弟子さんらしい)はいらなかったかな。

打ち出し『かっぽれ』
怖い噺のあとは明るく踊りで打ち出し。これ、楽しくていいですねえ。

<出し物>
一、林家彦丸『高砂や』
二、鼎談:平井正修(住職さん)・中村芝雀・林家正雀
三、林家正雀 『怪談牡丹燈籠 -お露新三郎-』
四、仲入り
五、中村芝雀・林家正雀『掛け合い噺 怪談牡丹燈籠 -お札はがし~栗橋宿-』
六、打ち出し『かっぽれ』

『掛け合い噺 すずめ二人會 -夏の巻-』

2007年08月24日 | 古典芸能その他
全生庵『掛け合い噺 すずめ二人會 -夏の巻-』

春の巻の好評を受けて2回目となる落語家の林家正雀さんと歌舞伎役者の中村芝雀さんのコラボ企画。最初、昼夜公演でしたがなんと早々の売り切れのため朝の部を追加したそうな。「歌舞伎美人(松竹歌舞伎公式サイト)」で宣伝してもらったおかげでしょうか。また全生庵で怪談噺という企画も良かったと思う。

さて夏の巻ですが前回同様、手作り感溢れる企画ではありますが、前回に較べたらだいぶこなれた感じ。夜の部の特典?として全生庵の境内に蝋燭の灯りがともされており、とっても綺麗でした。

落語噺では正雀さんの「七段目」がかなり楽しかったです。芝居狂いの若旦那の話なんですが歌舞伎の演目を知っているほうが楽しめるお話ですね。正雀さんが芝居っ気たっぷりに聴かせてくれました。

鼎談では住職さんがいい味を出されていていました(笑)円朝師匠のタニマチの藤原さんのエピが興味深かった。この藤原さん、雀右衛門さん(京屋)とも繋がりがあったそうです。ご縁の不思議を芝雀さんがお話されていました。

メインの掛け合い噺は「真景累ヶ淵~豊志賀の死」。前回同様に落語を掛け合いできるように正雀さんが脚色して、正雀さんと芝雀さんが何役が掛け持ちで演じていきます。前回の「芝浜皮財布」は各一役づつでしたのでいきなりレベルアップな演目でした。でもお二人ともとっても乗って演じてらして、観てて楽しかったです。語りと素芝居の中間のような出し物ですが、それだけ語りや芝居の実力が一目瞭然。今回の演目、役の振り分けをよく考えてきたなあと思いました。

芝雀さんは豊志賀、お久、与太郎、仲居そして一部分の新吉も!を演じられました。心配だった豊志賀でしたが思っていた以上に色年増の雰囲気があって、新吉一途さの執念や恨みも違和感なく、なかなかの出来かと。お久は得意役とあって、10代の娘の可愛らしさが出ており、豊志賀とお久の演じ分けのメリハリが出てたように思います。個人的にはすし屋の仲居さんがヒット(笑)芝雀さんの口からああいう笑い声が出ること自体、おおっとビックリ。案外こんな役も出来るんだなあと。男役のほうは少々ぎこちなかったけど、新吉おじ宅内での新吉のおどおどぶりはなかなか可愛らしかった。芝雀さん、なかなかに渾身の出来。それぞれの登場人物の気持ちというものがしっかり伝わってきた。いわゆる「芝居の上手さ」という部分では硬いとは思うのだけど、気持ちを伝える、という部分がとっても良くなってきたなあと思います。

正雀さんは地の語りの部分が軽妙。さすが落語家さん。正雀さんの新吉は実直な雰囲気があって、とてもマジメ。そういう男が恨みをかってしまう、といういわれのなさがストレートに出てました。新吉の叔父さんが味があってとっても良かった。前回より芝居っ気がでてて楽しそうでした。

<出し物>
落語:「つる」小きち
落語:「鮑のし」林家彦丸
落語:「七段目」林家正雀
鼎談: 平井正修(住職さん)、正雀、芝雀
掛け合い噺:「真景累ヶ淵~豊志賀の死」正雀、芝雀

内幸町ホール『すずめ二人會 春の巻』

2007年03月27日 | 古典芸能その他
内幸町ホール『すずめ二人會 春の巻』

内幸町ホールで行われた歌舞伎役者の中村芝雀さんと落語家の林家正雀さんがコラボしたミックス寄席『すずめ二人會 春の巻』に行ってきました。私にとって落語初体験です。落語はまともに聴いたことがなく、今までなんとなく敬遠してきたのですが今回「落語って面白い」という認識に変わりました。こんなに面白いものだとは、やはり体験してみないとわからないですね。

林家彦丸「たらちね」
長屋で起こる私がイメージするいかにも落語、な楽しいお話でした。

林家正雀「毛氈芝居」
歌舞伎「蔦紅葉宇都谷峠」が組み込まれた落語ですんなり噺に入っていけました。すごーく楽しかった。

「芝雀×正雀トークショー」
出会いのお話から今回の二人会に至るお話。正雀さんの師匠、8代目林家正蔵さんのこと。芝雀さんの五月演舞場と六月歌舞伎座への意気込みとか、色々。

芝雀×正雀掛け合い噺「芝浜革財布」
落語「芝浜革財布」を政五郎(正雀さん)、おたつ(芝雀さん)夫婦だけの会話話に仕立て、基本は語りで少しだけ芝居気ありつつ話を進めていきました。思った以上に楽しかったです。情景がありありと浮かびました。落語家さんと役者の表現方法が違うんだというのもわかりました。正雀さんは基本、人に語りかける感じ、芝雀さんは感情表現が入り、人に聞かせるというよりは演じる感じになっていました。芝雀さん、後半かなりノッていたように思います。

評判がよければ次回に繋げたいとのことでしたが是非とも次も拝見したいです。