歌舞伎座『柿葺落十二月大歌舞伎 夜の部』 1等A席前方センター
『仮名手本忠臣蔵』
「五・六段目」
五段、六段を堪能するにはベストボジションすぎて胸が潰れる思い。勘平の心の動きが手に取るよう。そして勘平視点でお軽がみえるものだから、お軽の想いもぜ~んぶ受け止める恰好になってしまい、なんとも切ない気持ちに。「かる…、かるを頼みますぞ」と女房を案じながら死に行く勘平でした。
勘平@染五郎さん、染五郎さんの勘平はまったくもって成仏してないかも。仇討の徒党に加えられた安堵感、これで本来の自分に戻れたという誇りのなかで想いは残していきたい、そんな風にみえた。仇討をし、お軽に武士の女房としての誇りを残してあげたかったんじゃないのかな。色んな意味で全うしたかったのだろうね。性根が根っからの武士、というのがよくわかる勘平だった。そのうえで人としての情のありかたが真っ直ぐでそれゆえに弱い。
お軽@七之助さん、ほんとうに勘平さん一途なお軽でした。勘平の女房でいることだけで満足な女の子。母といるときの娘然とした顔と勘平が戻ってからの顔が違う。売られていくことがお軽なりの勘平を強引に連れてきてしまった詫びでもあるのだなと今回思ったり。離れがたい勘平への想いが真っ直ぐにこちらに飛び込んできた。
色んな想いがそこで勘平の脳裏を過っただろう。なぜこうなったとの後悔とお軽への愛情と。苦しんで苦しんでの別れ。その勘平とお軽のお互いの迸りの一瞬があの抱き合う場面で一つの絵として昇華されてた。
今回の染五郎・七之助コンビ「文使い」「裏門」からの五段・六段目を観たいと思った。昨日はそれをしっかりと連想させるだけの勘平・お軽だった。また周囲がほんと揃ってた。吉弥さんのおかやがほんとよかった。おかやとして強すぎず弱すぎず。
勘平は相当、精神的にきつい役ですねえと今回しみじみ。勘平の心の動きに沿おうとするときつすぎてしんどいわ。短慮と間の悪さがしでかしたこととはいえ…。五段・六段目でかなりグッタリ。特に今回の染勘平と七お軽は想いに一途すぎて哀しすぎた。
「七段目 一力茶屋」
由良之助@幸四郎さん、幸四郎さんの由良さんは今年1月に演じた時から肩の力が抜けてとても大きさのある由良さんになっていると思う。丁寧に丁寧に由良之介の心持ちを活写していく。白鸚さんの由良さんの間合いにほんと似てきた。四段目での鋭い強い想いを肚の底の部分にぐっと落とし込んでいる感。とはいえ個人的には幸四郎さんの由良さんは今年一月に吉右衛門さん平右衛門と芝雀さんお軽を相手に演じた七段目のが良すぎたので今回はちょっと物足りなさも。どこがどうという言うわけではないのだけど相性的にも一月の座組みのほうが幸四郎さんには合ってたと思うし。色んなところがピタッと嵌ってたと思う。
九太夫@錦吾さん、すっかり持ち役。最初に演じられた時はニンじゃない、こんな役やらせるなんてと思ったものですが、いまじゃ錦吾さんじゃないと物足りない。強欲さより、由良さんに嫉妬してる感などこか抜け感があるのが好きです。あと台詞の間合いが良いんですよ。
お軽@玉三郎さん、今回は完全に玉さまワールドでした。出で「うわ~っ」とジワがきてましたわ。ほんと綺麗ですものねえ。海老くんさすがに完全に食われてたかも…。前回は兄妹にみえてたけど姉弟だったかも(^^;)七段目の後半は前回同様やっぱり義太夫ものを観てる気はしなかった。
力弥@児太郎くん、台詞というか声の調子を整えられるようになってきたかも。彼は少しづつですがきちんと課題をクリアしていってますねえ。
『仮名手本忠臣蔵』
「五・六段目」
五段、六段を堪能するにはベストボジションすぎて胸が潰れる思い。勘平の心の動きが手に取るよう。そして勘平視点でお軽がみえるものだから、お軽の想いもぜ~んぶ受け止める恰好になってしまい、なんとも切ない気持ちに。「かる…、かるを頼みますぞ」と女房を案じながら死に行く勘平でした。
勘平@染五郎さん、染五郎さんの勘平はまったくもって成仏してないかも。仇討の徒党に加えられた安堵感、これで本来の自分に戻れたという誇りのなかで想いは残していきたい、そんな風にみえた。仇討をし、お軽に武士の女房としての誇りを残してあげたかったんじゃないのかな。色んな意味で全うしたかったのだろうね。性根が根っからの武士、というのがよくわかる勘平だった。そのうえで人としての情のありかたが真っ直ぐでそれゆえに弱い。
お軽@七之助さん、ほんとうに勘平さん一途なお軽でした。勘平の女房でいることだけで満足な女の子。母といるときの娘然とした顔と勘平が戻ってからの顔が違う。売られていくことがお軽なりの勘平を強引に連れてきてしまった詫びでもあるのだなと今回思ったり。離れがたい勘平への想いが真っ直ぐにこちらに飛び込んできた。
色んな想いがそこで勘平の脳裏を過っただろう。なぜこうなったとの後悔とお軽への愛情と。苦しんで苦しんでの別れ。その勘平とお軽のお互いの迸りの一瞬があの抱き合う場面で一つの絵として昇華されてた。
今回の染五郎・七之助コンビ「文使い」「裏門」からの五段・六段目を観たいと思った。昨日はそれをしっかりと連想させるだけの勘平・お軽だった。また周囲がほんと揃ってた。吉弥さんのおかやがほんとよかった。おかやとして強すぎず弱すぎず。
勘平は相当、精神的にきつい役ですねえと今回しみじみ。勘平の心の動きに沿おうとするときつすぎてしんどいわ。短慮と間の悪さがしでかしたこととはいえ…。五段・六段目でかなりグッタリ。特に今回の染勘平と七お軽は想いに一途すぎて哀しすぎた。
「七段目 一力茶屋」
由良之助@幸四郎さん、幸四郎さんの由良さんは今年1月に演じた時から肩の力が抜けてとても大きさのある由良さんになっていると思う。丁寧に丁寧に由良之介の心持ちを活写していく。白鸚さんの由良さんの間合いにほんと似てきた。四段目での鋭い強い想いを肚の底の部分にぐっと落とし込んでいる感。とはいえ個人的には幸四郎さんの由良さんは今年一月に吉右衛門さん平右衛門と芝雀さんお軽を相手に演じた七段目のが良すぎたので今回はちょっと物足りなさも。どこがどうという言うわけではないのだけど相性的にも一月の座組みのほうが幸四郎さんには合ってたと思うし。色んなところがピタッと嵌ってたと思う。
九太夫@錦吾さん、すっかり持ち役。最初に演じられた時はニンじゃない、こんな役やらせるなんてと思ったものですが、いまじゃ錦吾さんじゃないと物足りない。強欲さより、由良さんに嫉妬してる感などこか抜け感があるのが好きです。あと台詞の間合いが良いんですよ。
お軽@玉三郎さん、今回は完全に玉さまワールドでした。出で「うわ~っ」とジワがきてましたわ。ほんと綺麗ですものねえ。海老くんさすがに完全に食われてたかも…。前回は兄妹にみえてたけど姉弟だったかも(^^;)七段目の後半は前回同様やっぱり義太夫ものを観てる気はしなかった。
力弥@児太郎くん、台詞というか声の調子を整えられるようになってきたかも。彼は少しづつですがきちんと課題をクリアしていってますねえ。