Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

歌舞伎座『猿若祭二月大歌舞伎 夜の部』 3等A席センター

2017年02月18日 | 歌舞伎
歌舞伎座『猿若祭二月大歌舞伎 夜の部』 3等A席センター

『門出二人桃太郎』
これは勘太郎くんと長三郎ちゃんの可愛らしさに目を細めつつ、二人とも頑張れ~とただひたすら応援。勘太郎くんのお兄ちゃんぶりには涙が出そうでした。

あとは染五郎さんの犬っぷりを愛でてました(笑)細かい仕草がかわいいのよ。しかし、桃太郎お供の三人の染五郎さんの犬、松緑さんの猿、菊之助さんの雉の拵えはかなり凝っていましたね~。若干、やりすぎ感もありましたが、盛り立てようという三人の心意気やよし。

『絵本太功記』
上方役者が揃ってるせいか今まで観てきたのより細かくたっぷりな感じはしたけど、どこがどう上方なのかというのはわからず。全体的にたっぷりやろうとしてるけどメリハリが足りない感じがした。秀太郎さんと魁春さんはさすがに巧さを見せたけど、芯が引っ張りきれずアンサンブルがいまひとつな?

芯の光秀@芝翫さんが意外と前に出てこず。この役に必要な陰影があまりない。顔の拵えは立派なんだけど、台詞廻しかな??う~ん。

十次郎@鴈治郎さんは五月人形のよう。襲名してから台詞が巧くなった気がする。でも十次郎にしては少しばかり愛嬌ありすぎかも(^^;)

初菊@孝太郎さん、姫の硬質さはないけど可愛らしく健気。身体の使い方がいいなあと思う。丁寧に演じてたけど、兜は最後まで重そうにしましょうね。上からだと奥まで見えちゃうのよ(笑)

『梅ごよみ』
とても楽しく拝見。芝居に乗っかれれば何も考えず楽しめる。中日周辺で拝見したので役者同士の間合いなどもっと出来るだろうなというところもありつつ、染五郎・菊之助・勘九郎のバランスが思ったより良かったし、それぞれ役を上手く掴んでいたと思う。場ごとの緩急もよくて芝居が弾んでました。

仇吉@菊之助さん、いつもより色気増しな美貌で華がありました。芯の強さと顔だけじゃないと啖呵を切るだけの真直ぐな情の深さもありとても良かった。拵えがいつもと違ってましたね。どこか距離を感じていた染・菊コンビがここにきて嵌るようになってきたなあと思ったり。

米八@勘九郎さん、ちょっと嫉妬深いけど丹さんのことが好きで好きでという情の深さがあって可愛らしく、ちょっと切なさも感じさせる米八。拵えが頑張りすぎなとこ含めてとても可愛かったな~。私は勘九郎さんの女形、とても好きです。

丹次郎@染五郎さん、女にだらしないだめんずだけど生来の品のいいふわっとした可愛らしさで憎めないキャラになっているのと、そのうえで主従の道義はしっかりわきまえている、という部分のバランスがいい塩梅。女同士の喧嘩に巻き込まれない、ちゃっかりした間合いが巧い。

藤兵衛@歌六さんが渋くてかっこいい。、お蝶@児太郎くんもおぼこな可愛らしさがよく。左文太@亀鶴さんが存在感出てきたな~と。半次郎@萬太郎くんが個性が出てきた感じ。でもあの目元の拵えはやりすぎかと。