大阪松竹座『朧の森に棲む鬼』1等1階前方センター・1等1階中央前方寄り花道外
観劇日:2月24日ソワレ 前楽 1等1階前方センター
観劇日:2月25日マチネ 大千穐楽 1等1階中央前方寄り花道外
【感想そのニ】役者編
ライ@市川染五郎
大阪に来てライの表情の振れ幅が拡がっていたと思う。最初の頃の単なる小悪党なライに愛嬌が増していて非常に魅力的だった。嘘と真実の狭間を行ったり来たりしているなかでもどこかしら真っ直ぐなライ。最初の頃はちょっと背を丸めて動作を荒っぽくして所詮は小物の雰囲気を見せる。そのなかでチラリチラリと「悪の顔」を見せていく。そして最初の頃のどこか愛嬌のある悪党から少しづつ上へ昇るたびに愛嬌というオーラは無くなって行き、悪に染まった凄みのあるオーラを身に纏っていく。少しづつ貫禄を帯び、動作は美しく、滴るような色気、そして体が大きく見え始める。ゆらゆらと体に纏うそのオーラは毒々しく、狂気を帯び始めていく。色ぽい眼差しのなかに冷ややかな光を湛える視線、歪ませた口元、端正な顔が歪むからかえってぞっとする。終盤、追い詰められてからの焦点が定まらない視線と表情は恐ろしく、でもなぜか美しい。この変化の鮮やかさ。染五郎演じるライには「醜悪さ」がない。あくまでも悪という狂気の華であった。
それにしても3時間という舞台でこの振り幅は相当なものじゃないかと思う。手順の多い芝居でここまで役にハマりきることができるってどういうことなんだろうなとあらためて感心してしまう。今回の芝居で染ちゃんはカーテンコールでもライが抜けていなかったように見受けられた。最初の挨拶の時までは完全にライだ。キッとした表情で冷たい視線のまま。衣装を着替えて出てきた時もまだ表情は硬い。3回目、4回目くらいでようやく柔らかな笑顔になっていく。カテコがある芝居で今までだったらいつもは一気に素に戻っていたり、テンション高くはじけるかどちらかの染だったりしているのしか見たことがなかったので、今回ちょっと心配してしまいました。でも考えたら観客が捉えたライというキャラの余韻を壊さないため、だったのかもしれないですね。あの壮絶なラストからいきなりはじけられるわけないし。新感線公演では大抵投げキッスをしてくれるんだけど(これがまた投げ方が優雅で美しいんですよね)今回はほとんど無しでした。千穐楽では最後の最後ようやく1回だけふわ~っと投げてくれました。やっぱりやってくれるとファン心理としては嬉しいのです(笑)
キンタ@阿部サダヲ
大阪でキンタは「わんこ」になってました。尻尾をぶんぶん振っているのが見えるようだった(笑)ますます憎めない純粋で可愛いキャラになっていました。もっとクセのある芝居になっていくかな?と新橋演舞場の楽で思ったんですけど、予想はいい方向に裏切られました。こんなに素直な芝居をしてくるとは思わなかった。あくまでもキンタというキャラの範囲で役を膨らませていました。にしてもキンタ@サダヲとライ@染五郎とのコンビがこうもしっくりくるとは。二人の資質の違いがお互いをうまく引き立ててる感じでした。染五郎が屈折した切なさを表現してるとすればサダヲは素直な切なさを表現する。まさかライとキンタコンビに萌えるとは思ってもみなかったです。
以下まだまだ続きます。
マダレ@古田新太
シキブ@高田聖子
ツナ@秋山菜津子
シュテン@真木よう子
イチノオオキミ@田山涼成
ウラベ@粟根まこと
サダミツ@小須田康人
観劇日:2月24日ソワレ 前楽 1等1階前方センター
観劇日:2月25日マチネ 大千穐楽 1等1階中央前方寄り花道外
【感想そのニ】役者編
ライ@市川染五郎
大阪に来てライの表情の振れ幅が拡がっていたと思う。最初の頃の単なる小悪党なライに愛嬌が増していて非常に魅力的だった。嘘と真実の狭間を行ったり来たりしているなかでもどこかしら真っ直ぐなライ。最初の頃はちょっと背を丸めて動作を荒っぽくして所詮は小物の雰囲気を見せる。そのなかでチラリチラリと「悪の顔」を見せていく。そして最初の頃のどこか愛嬌のある悪党から少しづつ上へ昇るたびに愛嬌というオーラは無くなって行き、悪に染まった凄みのあるオーラを身に纏っていく。少しづつ貫禄を帯び、動作は美しく、滴るような色気、そして体が大きく見え始める。ゆらゆらと体に纏うそのオーラは毒々しく、狂気を帯び始めていく。色ぽい眼差しのなかに冷ややかな光を湛える視線、歪ませた口元、端正な顔が歪むからかえってぞっとする。終盤、追い詰められてからの焦点が定まらない視線と表情は恐ろしく、でもなぜか美しい。この変化の鮮やかさ。染五郎演じるライには「醜悪さ」がない。あくまでも悪という狂気の華であった。
それにしても3時間という舞台でこの振り幅は相当なものじゃないかと思う。手順の多い芝居でここまで役にハマりきることができるってどういうことなんだろうなとあらためて感心してしまう。今回の芝居で染ちゃんはカーテンコールでもライが抜けていなかったように見受けられた。最初の挨拶の時までは完全にライだ。キッとした表情で冷たい視線のまま。衣装を着替えて出てきた時もまだ表情は硬い。3回目、4回目くらいでようやく柔らかな笑顔になっていく。カテコがある芝居で今までだったらいつもは一気に素に戻っていたり、テンション高くはじけるかどちらかの染だったりしているのしか見たことがなかったので、今回ちょっと心配してしまいました。でも考えたら観客が捉えたライというキャラの余韻を壊さないため、だったのかもしれないですね。あの壮絶なラストからいきなりはじけられるわけないし。新感線公演では大抵投げキッスをしてくれるんだけど(これがまた投げ方が優雅で美しいんですよね)今回はほとんど無しでした。千穐楽では最後の最後ようやく1回だけふわ~っと投げてくれました。やっぱりやってくれるとファン心理としては嬉しいのです(笑)
キンタ@阿部サダヲ
大阪でキンタは「わんこ」になってました。尻尾をぶんぶん振っているのが見えるようだった(笑)ますます憎めない純粋で可愛いキャラになっていました。もっとクセのある芝居になっていくかな?と新橋演舞場の楽で思ったんですけど、予想はいい方向に裏切られました。こんなに素直な芝居をしてくるとは思わなかった。あくまでもキンタというキャラの範囲で役を膨らませていました。にしてもキンタ@サダヲとライ@染五郎とのコンビがこうもしっくりくるとは。二人の資質の違いがお互いをうまく引き立ててる感じでした。染五郎が屈折した切なさを表現してるとすればサダヲは素直な切なさを表現する。まさかライとキンタコンビに萌えるとは思ってもみなかったです。
以下まだまだ続きます。
マダレ@古田新太
シキブ@高田聖子
ツナ@秋山菜津子
シュテン@真木よう子
イチノオオキミ@田山涼成
ウラベ@粟根まこと
サダミツ@小須田康人