読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

皇居 新年一般参賀2019

2019-01-12 20:39:57 | フォトギャラリー


(写真は皇居の長和殿にて。
左から雅子妃殿下、皇太子殿下、天皇陛下、皇后陛下、秋篠宮殿下、紀子妃殿下、眞子内親王殿下、佳子内親王殿下です。)

今年も1月2日に父、母と皇居の新年一般参賀に行きました
今年の新年一般参賀は平成になって最多の約15万4800人もの人々が訪れたとのことです
昨年も約12万6720人で平成になって最多だったのが今年はさらに更新され、やはり平成最後の新年一般参賀ということで物凄く大勢の人々が訪れました。

今年は写真とともに長和殿に辿り着くまでの様子をご紹介していきます。


-------------------- 皇居 新年一般参賀2019 --------------------



JR東京駅から歩き皇居に行くための入り口に到着すると、見渡す限りの大行列で全く前に進まなくなっていました。
朝の9時くらいに到着したのですが早くもこの大行列で、長和殿に到着するまでかなり時間がかかることが予感されました。




それでも少しずつ進んでいきました。
また警察官も物凄い数の人がいました。
さらにどう見ても武闘派なのが一目で分かる公安調査庁の方々と思われる集団が睨みを効かせていた場所もありました。
皇室へのテロを企むような極左思想の人が新年一般参賀に来た大勢の人々の中に紛れ込んで侵入する可能性があるので警備は厳戒態勢です。




前方にテントが見えます。




このテントでは大勢の警察官によって手荷物検査とボディチェックが行われます。
皇室へのテロを企むような人に備え、これはあったほうが良いと思います。




テントを抜けた先もやはり大行列でした。




「1」「9」「予備」といった札があるとおり、大行列自体がいくつもあり、「大行列1」「大行列2」「大行列3」のようになっています。
さらに道の向こう側からもこちらと同じ大行列が来ていて、それらを順番に一定人数ごとに通していきます。
私の居たレーンはここで2時間以上待ちました
やはり簡単には長和殿まで辿り着けないです。




ついにレーンが動き始め、写真中央やや左の「正門」を目指します。




正門を通り抜けて有名な「二重橋」を渡る人達の姿が見えます。







正門に辿り着き、皇居の中へと入ります。




二重橋に向かって歩いて行きます。




お城の雰囲気を感じる建物もあります。




二重橋を渡っています。
写真をよく見ると地面が人で埋め尽くされているのが分かります。




そしてついに、長和殿に辿り着きました




こちらが長和殿です。
12時少し過ぎに到着し、私は13:30の回になりましたが何とご厚意で時間を早めて下さり13:00に新年一般参賀が行われることになりました。




天皇陛下、皇后陛下、皇太子殿下、雅子妃殿下、秋篠宮殿下、紀子妃殿下、眞子内親王殿下、佳子内親王殿下がお出ましになられ、皆さん一斉に国旗を振ったりデジカメやスマートフォンなどで写真を撮ったりしました。




この場所で今年もお姿を見ることができて嬉しいです




天皇陛下から次のお言葉がありました。

「新年おめでとう。
晴れ渡った空のもと、皆さんと共に新年を祝うことをまことに喜ばしく思います。
本年が少しでも多くの人々にとり良い年となるよう、願っています。
年頭にあたり、我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります」


様々な場所で「平成最後の~」という言葉が聞かれますが、私は新年一般参賀こそ最も「平成最後の~」という言葉に相応しい気がします
平成最後の新年一般参賀、行くことができて良い思い出になりました
そして天皇皇后両陛下、30年間ありがとうございました


※フォトギャラリー館を見る方はこちらをどうぞ。

※横浜別館はこちらをどうぞ。

※3号館はこちらをどうぞ。
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エリザベト音楽大学 フルートオーケストラ 第30回記念演奏会

2019-01-11 23:31:18 | コンサート、演奏会


昨年の12月8日、「エリザベト音楽大学 フルートオーケストラ 第30回記念演奏会」を聴きにエリザベト音楽大学のセシリアホールに行きました。
フルートの専攻生達がオーケストラを形成していて、今回は30回記念で歴代の専攻生達も出演し大規模な編成になりました。
通常のフルートのほかにアルトフルート、バスフルート、コントラバスフルートが登場し、アルト、バス、コントラバスとなるにつれて大きさが大きくなっていきます。
フルートがヴァイオリン、アルトフルートがヴィオラ、バスフルートがチェロ、コントラバスフルートがコントラバスに該当し、フルートでヴァイオリン属の楽器四種類のように凄く高い音から凄く低い音まで網羅してオーケストラを形成していたのがとても興味深かったです


-------------------- エリザベト音楽大学 フルートオーケストラ 第30回記念演奏会 --------------------



1.「オラトリオ「ソロモン」HWV67より「シバの女王の入城」」 (G.F.ヘンデル)

1曲目はフルートオーケストラのメンバー13人で演奏しました。
明るい雰囲気の演奏で始まり楽しそうな曲でした。
手前の二人だけで吹く時と全員で吹く時がありました。



2.「5本のフルートのための協奏曲 ロ短調 Op.15 No.4」 (J.B.ボワモルティエ)
第1楽章 アダージョ 第2楽章 アレグロ 第3楽章 アレグロ



演奏前のチューニング(一斉に音を鳴らして音程を調節すること)の様子です。







このコンサートは昨年11月7日の「エリザベト音楽大学 院生アンサンブル「ライツェント・グランツ」」でチラシを配っていたコンサートのうちの一つです。
写真一番左はその時に演奏されていた善村早紀さん、同じく写真前列右から二人目は佐田晴菜さんです。




指揮の万代恵子さんが右手を構えたところです。




第一楽章は悲しい始まりで、向かって右側のうちの二人が演奏していました。
続いて左側のうちの二人が演奏し、こちらも悲しげでした。
そして全体での演奏になり、やはり悲しげでした。
また左側と右側が交互に呼応するように演奏する場面がありました。




第二楽章は速めの演奏で始まりました。
第一楽章より明るくなりましたが少し寂しげでもありました。
最後は風が吹くようなメロディで終わりました。







第三楽章は明るくなります。
左側のフルートが音色をリードして右側のフルートが続く場面がありました。
かなりリズミカルなのが印象的でした。
「タンタンタンタタン」が何度も続いて音階も変わっていった時の雰囲気が良かったです



3.「アンダンテとロンド Op.25」 (A.F.ドップラー)
Flute solo 1st 熊谷美保 2nd 宮本美佐穂



ソリスト(ソロ演奏者)の二人はエリザベト音楽大学の卒業生です。




穏やかな演奏で始まりました。
宮本美佐穂さん(写真左)が演奏し、その演奏をフルートオーケストラが支えます。
熊谷美保さん(写真右)が続いて二人で演奏し、それをバックが支えます。
この形での演奏が何度か続きました。




速い演奏になった場面があり、二人のソリストの吹き方が強くなりました。
「ピーロロロー」と強く吹いていてどこか寂しさも感じる音色でした。
やがてとても穏やかな演奏になり、安らぐ音色でした。







一度演奏が止まったので楽章が変わったのだと思います。
次は速い中に悲しさも感じる音色の演奏で始まりました。
やがて明るい音色になり、楽しそうで華やかさがありました






4.「小組曲」 (C.ドビュッシー)
第1楽章〈小舟にて〉 第2楽章〈行列〉 第3楽章〈メヌエット〉 第4楽章〈バレエ〉



第一楽章はフワフワとした始まりで、ワクワクする音色でした。
そして穏やかで、時折強く吹いてもいました。
いくつもの音があるので奥深かったです。




第二楽章は明るい始まりでずっと明るい楽章でした。
強く吹いて迫力が出る場面もありました。




第三楽章は穏やかな雰囲気の演奏で始まりました。
低音のフルートが音を厚くして、ドラマチックな音色になっていました
かなり穏やかでさらにドラマチックな音色が続くのがとても良かったです




第四楽章はスキップしているかのような始まりでした。
右側のフルートがメインのメロディを吹き、左側のフルートが短く音を出して音の土台を作っている場面がありました。
やがて速い演奏で明るい雰囲気になりました。








4曲目の後、5曲目の準備をしている間にソリスト二人へのインタビューがありました。

大学時代に印象的だったことという質問で、熊谷美保さんは大学3年でソウルで演奏したこと、宮本美佐穂さんは大学1年時にフルートオーケストラ創設者の大代啓二さんが一番怖い時代だったことと答えていました。
また二人は二年前までフルートオーケストラの指揮、指導をしていたとのことです。



5.「動物の謝肉祭」 (C.サン=サーンス)
Piano solo 1st 若狭南美 2nd 藤岡真子
ナレーション 松浦美音



歴代のフルートオーケストラ同窓生が登場し、一気に人数が増えました。




ピアノソリストが二人登場し、こちらは大学四年生の若狭南美さんです。




こちらは大学二年生の藤岡真子さんです。




チューニングは筆頭格の演奏者が指揮を執ることから、何度か指揮を執っていたこの方はかなりの実力者なのではと思います。




この曲は「ナレーションの後に少し演奏」が繰り返される面白い曲でした。
そういった形の曲は初めて聴きました。




第1曲〈ライオンの威風堂々たる行進〉

ピアノがリズミカルに演奏していました。
フルートも全体で演奏し、重厚感がありました。
ピアノもフルートも派手で迫力ある演奏になったのが印象的でした。


第2曲〈めんどりとおんどり〉
第3曲〈ロバ〉

〈ロバは〉はあっという間に過ぎ去るような凄く速いピアノで、ピアノの演奏のみで終わりました。




第4曲〈カメ〉

ナレーションでは「カメのおじいさん」という言葉があり、若狭南美さんは静かめに演奏し、藤岡真子さんは穏やかさの中に重厚感のある演奏をしていました。


第5曲〈象〉
第6曲〈カンガルー〉

〈象〉はピアノもフルートも重厚感があり、〈カンガルー〉は穏やかな演奏でした。




第7曲〈水族館〉

寂しげな演奏で始まり、ピアノの音がどんどん下がっていく場面がありました。


第8曲〈耳の長い人物〉

ナレーションでは「ラバの酔っ払い」という言葉があり、不穏な演奏で始まりました。
凄く高い音と凄く低い音の差が印象的でした。




第9曲〈森の奥のカッコウ〉

暗い森のような音(低い音)とカッコウの音(フルートの高い音)が印象的でした。


第10曲〈大きな鳥かご〉

ナレーションでは「鳥のお母さん達」という言葉がありました。
一人のフルート奏者が立ち上がって演奏を始め、とても速い演奏でした。
ピアノも続き、リズミカルで高めの音が印象的でした。




第11曲〈ピアニスト〉

ピアノの二人が力強い演奏をし、この曲はピアノの練習をしている様子を表現しているとのことです。


第12曲〈化石〉

ナレーションでは「マンモスの骨」という言葉があり、
とても賑やかな演奏で始まりました。
力強く、ずっと明るい曲でした。




第13曲〈白鳥〉

ナレーションでは「白鳥の王女」と言っていて、フルートとピアノの穏やかな演奏が印象的でとても安らぐ音色でした




第14曲〈フィナーレ〉

ナレーションの「生き物はみな、それぞれの命を生きる」という言葉が胸に染み込んできました。
良い言葉だと思いました。

ピアノもフルートも凄く速い演奏で、フルートは短い音をずっと出していてピアノは迫力がありました。





「動物の謝肉祭」の演奏後、フルートオーケストラ創設者の大代啓二さんの挨拶がありました。




そして大代啓二さんの指揮でアンコール曲「小夜曲(セレナーデ)」(モーツァルト)の演奏になりました。


「エリザベト音楽大学 フルートオーケストラ 第30回記念演奏会」、素晴らしい演奏会でした。
フルートでオーケストラを形成できるのが驚きでした。
30年前に大代啓二さんによって旗挙げしたフルートオーケストラが今日まで続き、大勢の人が聴きに来る演奏会としてしっかり根付いているのは凄いことだと思います。
ぜひこの先もずっと続いていってほしいです



------------------------------
出演者


顧問/指揮/指導 万代恵子


フルート・ピッコロ
久都内愛(院2) 佐藤香菜(4) 初本みなみ(3)
浦田奈々(2) 山形志歩(2) 福田侑季乃(1) 網本彩音(1)


アルトフルート
善村早紀(院1) 梶井美那(4) 織田かれん(1)


バスフルート(C管)
佐田晴菜(院2) 飯盛麻帆(2)


コントラバスフルート
朴美瑛(院2)


フルートオーケストラ同窓生
赤木由紀 石澤千賀 五十川佳子 稲葉由紀 大代啓二
大野良枝 大橋香織 川本真利江 熊谷美保 佐古萌
下田薫 ジェラルド・ハシント 菅敬子 瀬村香里 竹下直美
谷川ひかる 谷口千穂 俵山紗織 寺田葉月 徳永千寿
長門昌世 中村睦子 西川恵 西本由香里 根石照久
根来梨恵 野村亜理佐 花田彩夏 浜田珠希 日高愛
平野美恵 藤井智子 堀江絹子 松浦美音 松浦伸枝
宮原律 宮本美佐穂 森陽子 山本紫 和崎聖子


フルートソリスト
熊谷美保 宮本美佐穂


ピアノソリスト
若狭南美(4) 藤岡真子(2)
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若狭南美さん出演のコンサート、演奏会
エリザベト音楽大学 「Trio Riviere ~トリオ リヴィエール~」コンサート
若狭南美さん 卒業記念ピアノリサイタル
エリザベト音楽大学 2018年度卒業演奏会
島村楽器広島パルコ店 バイオリン弾き比べコンサート


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」武田綾乃

2019-01-07 23:09:19 | 小説


今回ご紹介するのは「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」(著:武田綾乃)です。

-----内容-----
北宇治高校吹奏楽部は、過去には全国大会に出場したこともある強豪校だったが、顧問が変わってからは関西大会にも進めていない。
しかし、新しく赴任した滝昇の厳しい指導のもと、生徒たちは着実に力をつけていった。
実際はソロを巡っての争いや、勉強を優先し部活を辞める生徒も出てくるなど、波瀾万丈の毎日。
そんななか、いよいよコンクールの日がやってくるーー。
少女たちの心の成長を描いた青春エンターテインメント小説。

-----感想-----
中学校生活最後の吹奏楽コンクールのプロローグで物語が始まります。
語り手は黄前(おうまえ)久美子で、久美子の中学校は金賞を受賞します。
「金は金でも関西大会には進めないダメ金(金賞を受賞した学校の中から関西大会に進む学校が選ばれる)」とありましたが、金賞を受賞できたことに生徒達は盛り上がります。
しかし麗奈という子だけが涙を流しながら「悔しい。悔しくって死にそう。なんでみんな金賞なんかで喜べんの?アタシら、全国目指してたのに」と言っていたのが印象的でした。



久美子は京都府立北宇治高校に進学します。
入学式の校歌斉唱の時久美子は吹奏楽部の演奏を聴いて酷い演奏だと思い、これなら入部はやめようと思います。
また新入生代表の挨拶は高坂(こうさか)麗奈で、プロローグに登場した久美子と同じ吹奏楽部だった人でした。

久美子が教室に入り席に着くと隣の席の加藤葉月が話しかけてきます。
担任は松本美知恵という恐いベテランの音楽教師で吹奏楽部の副顧問をしています。
松本先生がクラスの名前の確認をした時、川島緑輝(サファイア)という名前の子がとても印象的でした。
緑に輝くと書いてサファイアは完全にキラキラネームだと思いました。
本人が恥ずかしがっていたのも印象的でこの名前は嫌だろうなと思います。

高校最初の一日が終わり久美子は葉月と話します。
葉月は中学はテニス部でしたが高校では吹奏楽部に入るつもりだと言います。
サファイアも話しかけてきて吹奏楽部に入るつもりだと言い、自身のことは緑と呼んでと言います。
緑は私立の聖女中等学園出身で、そこは吹奏楽部の超強豪校です。
緑はコントラバスの奏者、久美子はユーフォニアムの奏者でどちらも低音の楽器です。
二人の話を聞いて葉月が「ふうーん。うちはやっぱ派手な楽器がやりたいなあ。トランペットとか、サックスとか」と言っていたのはよく分かりました。
ヴァイオリンやフルート、トランペット、サックス(サクソフォン)などは高音の派手な音が出るので人気になると思います。
緑も吹奏楽部の演奏は下手だと思っていますがとにかく楽器ができたら良いと考えています。
緑も葉月も吹奏楽部に入ると言い、どうしようか迷っていた久美子は二人に流される形で入部することにします。

久美子が最寄り駅の京阪宇治駅で降りて歩いていると幼馴染みで同じ北宇治高校に入った塚本秀一が話しかけてきます。
熱心に話しかける秀一と冷たくあしらう久美子の掛け合いが面白かったです。
秀一も久美子が入るなら吹奏楽部に入ると言います。

吹奏楽部への入部希望者が音楽室に集められ、部長やパートリーダーなどが挨拶をして楽器の紹介をしていきます。
部長は小笠原晴香(三年生)でバリトンサックスの奏者、副部長と低音パートリーダーは田中あすか(三年生)でユーフォニアム奏者、トランペットパートリーダーは中世古(なかせこ)香織(三年生)です。

久美子はどの楽器にするかで悩み、あすかと緑に流されて中学校時代と同じユーフォニアムをやることにします。
緑は本人の希望で中学校時代と同じコントラバス、葉月はトランペットを希望しますが定員オーバーでチューバになります。

やがて顧問の滝昇先生がやって来ます。
滝先生は今年から北宇治高校にやって来た音楽教師で、生徒の自主性を重んじるので生徒達の手で今年度の目標を決めてほしいと言います。
そして生徒達が本気で全国に行きたいと思うなら当然練習も厳しくなり、大会に出場して楽しい思い出を作るだけで充分ならハードな練習は必要なく自身はどちらでも良いと考えていると言います。
北宇治高校の吹奏楽部は多くの生徒が練習を真面目にせず演奏が下手な状態ですが、表立って「大会に出場して楽しい思い出を作るだけで充分」とは言いづらいようで、多数決の結果全国大会を目指すことになります。
その多数決で一人だけ「京都大会で満足」に挙手をしたのが斎藤葵で、葵は久美子の家の近所の家に住む二つ年上の人です。
久美子がなぜ「京都大会で満足」に挙手したのかを聞くと「辞めるときにさ、意見は前から伝えてましたって言えるやん」と言っていました。
周りが全員全国大会を目指すほうに挙手している中で一人だけ「京都大会で満足」に挙手するのは勇気の要ることで、周りに流されがちな久美子との対比が印象的でした。

低音パートの練習が始まり、あすかの他にはチューバの長瀬梨子と後藤卓也、ユーフォニアムの中川夏紀(いずれも二年生)がいます。
吹奏楽部は三年生が35人、二年生が18人、一年生が28人で、二年生が少ないのはなぜなのかと緑が聞くと後藤が「一年生が気にすることない。知らなくていい」と言い険悪な雰囲気になります。

その帰り道に秀一が久美子に声をかけ、北宇治高校の吹奏楽部は嫌な感じだと言います。
秀一が今の三年生は晴香、あすか、香織といった特例を除いて全然練習しなくて、それが原因で練習をしようとしていた二年生と大揉めになり、何人もの二年生が吹奏楽部を辞めたことを話します。

毎年5月は「サンライズフェスティバル」という京都にある各高校の吹奏楽部が太陽公園を演奏しながら歩くパレードが行われ、まずそこを目指します。
曲はビートルズの「キャント・バイ・ミー・ラヴ」を演奏することになります。
初の合奏が行われますがそれぞれの楽器の音が全く合わずに滝先生に途中で止められて酷評されます。
滝先生の言い方は丁寧ですが凄まじく、パートによっては全く練習せず雑談していたのもばれていました。
滝先生からは次の合奏までにパート練習で合奏ができる状態にしておけと言われます。

その帰り道、久美子と秀一が滝は実力があるのかと言っていると突然後ろから激怒した麗奈があるに決まってるだろと言ってきます。
麗奈も吹奏楽部に入部し楽器は中学校時代と同じトランペットになりました。

次の日久美子がパート練習室に行くと滝先生が来ていました。
滝先生の指導はかなり上手く、次の言葉が印象的でした。
「音程というのは合わせるのがとても面倒ですが、美しい演奏はこの音程を無視してはできあがりません。超絶技巧を見せつけるだけが演奏ではないのです」

吹奏楽部が合奏の前に「チューニング」をした場面も印象的でした。
演奏者達が一斉に同じ音を出してその高低差を調節するもので、昨年の秋からクラシックを中心によくコンサートを聴いた私は演奏者達がチューニングをするのを何度も見ました。
今まで書いた記事では「音鳴らし」と書きましたが正式にはチューニングと呼ぶのかと思いました。

二度目の合奏ではどのパートも大幅に上手くなり滝先生は及第点だと言います。
この日まで滝先生は全てのパートの指導を行い、かなり手厳しいことを言われたパートもあり泣きながら楽器を吹く生徒もいたとありました。

サンライズフェスティバルが来週に迫りパレードで着る衣装が配られた時、スーザフォンという楽器が登場しました。
移動しながら演奏するにはチューバはあまりに重いため奏者の負担を減らすために作られたのがスーザフォンとあり、スーザフォンは知っていましたがそのことは初めて知りました。

サンライズフェスティバルの日を迎え、北宇治高校のパレードが始まると下手なはずだった演奏が上手いことに観客が驚きます。
さらにパレードの前に麗奈が個人でのチューニングをしていた時、その演奏のあまりの上手さに北宇治高校も他校も皆が演奏を止め麗奈のほうを見て辺りがしんとなる場面がありました。
麗奈は全国最強級の抜群の演奏力を持っています。
またサンライズフェスティバルには立華(りっか)高校という私立の超強豪校がやってきます。
立華高校はアメリカ海軍の中尉だったチャールズ・ツィマーマン作曲の行進曲「錨を上げて」を演奏していてどんな曲なのか気になりました。

立華高校には梓という久美子の中学校時代の同級生がいて二人で話をします。
梓が麗奈は立華高校から全額免除の話をもらっていたと言い、それなのになぜ北宇治高校に行ったのか気になりました。

中間テストが終わりいよいよ京都府吹奏楽コンクールに向かっていきます。
課題曲と自由曲が決まり、課題曲は堀川奈美恵さんという架空の人物が作曲した「三日月の舞」、自由曲はナイジェル・ヘスさん作曲の「イーストコーストの風景」(実在する曲)になります。
初心者10人を除いた71人のうち京都府吹奏楽コンクールでA部門に出場できるのは55人です。
全国大会まで行けるのはA部門で、小編成の学校や人数の多い吹奏楽部でA部門に入れなかった人達などが出場するB部門は全国大会への道はないです。
誰をA部門で演奏させるかについて滝先生は北宇治高校の慣例の「年齢順」を止めオーディションで出場者を決めると言い生徒達が騒然とします。
また「ソロパート」もオーディションで決めると言い、三年生を差し置いて一年生がソロの担当になることも有り得るためさらに騒然とします。

そんな中葵が吹奏楽部を辞めると言います。
久美子は出て行った葵を追いかけますが晴香が久美子より先に葵を追いかけていて話をします。
葵は「去年あんなにあの子らのことを責めてたくせに今年のうのうと全国を目指すとは言えない」ということを言っていました。
吹奏楽部を去った現在の二年生達が練習をしっかりやろうとした時に潰しておきながら、今年のうのうと全国を目指すと言うのはおかしいと感じているのだと思います。

久美子はみんなをまとめるのが上手く気さくでもありながら冷たさも感じるあすかに恐ろしさを感じます。
秀一が久美子にあすかのことが苦手だと言い、久美子も私らが思ってるような人ではない気がすると言います。

自由曲「イーストコーストの風景」の説明があり、曲についての理解が深まると曲の物語も分かるようになって面白いと思います。
また「へ音記号」という言葉が出てきて、音楽の専門知識のない私にはどんな記号なのか分からなかったので調べてみました。
調べると意味が分かりもっとしっかりと知識を身に付けたくもなります。
課題曲「三日月の舞」は低音の楽器が活躍する場面が多くさらに課題曲の中で一番難易度が高いとあり、楽譜を見て久美子は不安になります。
オーディションの日取りが近づくにつれて部の空気がピリピリしてきます。

宇治市の小学校では水道の蛇口をひねるとお茶が出るとあったのは驚きました。
お茶の産地宇治らしくて面白いと思います。

葉月は秀一のことが好きになります。
秀一が久美子を「あがた祭り」というお祭りに誘いますが、久美子は葉月の姿を見かけて咄嗟に近くにいた麗奈と行くことにします。
しかし久美子の胸中を見ると本人は自覚していませんが秀一のことが好きなのが分かりました。
久美子が麗奈と一緒に行くと言ったのはその場しのぎのつもりでしたが麗奈が乗り気になり一緒にあがた祭りに行くことになります。

あがた祭りに行くと麗奈は久美子と遊んでみたかったと言い意外に思いました。
久美子があがた祭りを歩く中学生を見た場面で「他人との差異を見せつけるために他人と同じように金髪にした中学生たち」とあったのは印象的な言葉でした。
また久美子が麗奈とお祭りに行くと言った日から秀一が久美子を避けるようになります。

オーディションの日を迎え久美子も演奏します。
オーディションの結果を発表するのは松本先生で、これは威圧感のある松本先生が言うことで生徒から不満が上がるのを押さえるためな気がしました。
久美子は低音パートのAメンバーで名前を呼ばれますが落ちた先輩がいました。
中学校時代、久美子がAメンバーになり自身が落ちた途端態度が変わった三年生の先輩がいたことを思い出し恐ろしくなりますが今度の先輩はそんなことはなかったです。

ユーフォニアムにソロパートはありませんが、次の日久美子はソロパートが発表された直後の様子を見ます。
トランペットのソロには麗奈が選ばれ、吉川優子という香織を慕う二年生がなぜ香織ではなく麗奈なのかと激怒します。
そして優子が滝先生が麗奈を贔屓していると言うと麗奈が激怒します。
この場面を見ると実力でソロパートの奏者が決まっても納得のいかない人は何かと因縁をつけるのがよく分かります。
やがてなぜ麗奈が北宇治高校に来たのかが分かります。

夏休みになり吹奏楽コンクール京都大会の日程が決まり、A編成の部は8月5日、6日に行われることになります。
「私、本気で思っていますよ。このメンバーなら、全国に行けるって」
滝先生のこの言葉が凄くドラマチックでした。
指導も最初は音程やリズムといったものだったのが日を追うごとに表現の仕方といった高度なものに変わっていきました。

「ソロは、あなたが吹くべきやと思う」
これは悔しさと相手を認める気持ちが一緒になっていて凄く引かれる言葉でした。

久美子はユーフォニアムが好きなのを自覚します。
物語を通して周りに流されて惰性でやっている感のあったのが最後に好きなのだと気づいていたのが良かったです。
そしてついにコンクールの日を迎えます。


この作品を読んでやはり青春小説は良いなと思いました。
演奏の下手だった吹奏楽部が強力な顧問のもと全国を目指してどんどん上手くなっていくのはとても盛り上がります。
吹奏楽部に所属している生徒達それぞれに様々な思いがあるのもよく分かり、温度差はありながらも後半ではみんな全国への思いを共にしていました。
前年度までの情熱のなかった吹奏楽部から一気に変わり全国目指して突き進んでいった生徒達の物語は引かれるものがあり面白かったです


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ブログの底力

2019-01-05 22:18:22 | ウェブ日記
ブログのアクセスには二通りあります。
一つ目は記事をアップした時に短期で集中するアクセスで、二つ目は今までに書いた記事に日々緩やかに集まるアクセスです。
私は二つ目を「ブログの底力」と考えていて、アクセスを安定させながらゆったり伸ばしていくにはこの「ブログの底力」が重要だと思います。

私のブログで「ブログの底力」の中心的存在になっているのは小説の感想記事とフォトギャラリーです。
この二つのカテゴリーはブログの屋台骨を担っていて、たくさん記事数のあるこの二つのカテゴリーがブログのアクセスを安定させ土台を形作っています。
小説の感想記事とフォトギャラリー、どちらも記事が増えるごとに日々緩やかに集まるアクセスの数もわずかずつ増えていき土台も強固になっていきます。
その土台の元で新たな記事を書いていくのが私のブログの考え方です。
土台がしっかりしていればこそ、他のカテゴリーの記事にも力を入れることができ、さらにはアップするのに何日かかかるような大規模な記事でもどっしりと構えて書けるようになります。

底力を持たないブログの場合、ある程度アクセスを安定させるには毎日ブログを更新するしかなくなり、場合によっては一日に何記事も書かないといけなくなります。
そしてもしアクセス数に強くこだわる人だと、毎日ブログを書くのが強迫観念のようになってきます。
それらはとても疲れると思うので、私は目先のアクセスアップよりも底力を重視しています。
ブログの屋台骨を担い底力となるカテゴリーの存在は重要で、今後も大事にしていきたいと思います。


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新春という言葉

2019-01-03 20:01:15 | ウェブ日記
1月1日になると「新春」という言葉がよく聞かれるようになります
私はかつて、真冬なのになぜ「春」という言葉を使うのか疑問でした。
調べてみると陰暦での1月が春に当たることから新春という言葉が使われたようですが、気象庁の区切りでは3月から5月までが春で、春まで2ヶ月もあるお正月のうちに「春」という言葉は早すぎる気がしていました。

しかし近年、新しい春を迎えられる年になったから「新春」なのだと思うようになりました。
「春」という言葉に持っていた先入観からお正月のうちに使う「新春」に違和感がありましたが今はすっかりなくなりました。
そして気持ちとしても12月は秋から冬になったばかりで春には遠い気がしますが、1月は12月~2月の冬の期間の真ん中になり、さらに新年を迎えて新鮮な気持ちになっているので春は確実に近づいていると感じられるようになります。

お正月に聞く「新春」は清々しく明るい響きで聞こえる言葉になりました。
長い年月の間に言葉に抱く印象が変わることはあると思います。
そして「新春」のような言葉の印象が変わった時、その言葉の新たな意味を見出した気がして嬉しくなることもあります。
新春を迎えた今、今年も冬がどんどん進みやがて春になるのを感じています。
やがて来る春を楽しみに、蝋梅の花や梅の花を見たりしながら春に向かっていきたいです
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今年のブログ

2019-01-02 23:21:40 | ウェブ日記
2019年が始まり、今年もブログを書いていきます。
小説の感想記事は、最初はまず音楽関係の小説を読んでいくことになります。
昨年の秋からクラシックのコンサートを中心に音楽をよく聴くようになった経験が読書にも生かされることになりました。
今年一つ目の小説は「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」(著:武田綾乃)を読んでいます。

昨年は小説の感想記事、フォトギャラリーの他に1997年の大河ドラマ「毛利元就」の感想記事や、秋からはコンサートの感想記事もよく書きました。
「毛利元就」は今年ぜひ第五十回まで見終わりたいと思います。
安芸の国(広島県)を中心とした中国地方が舞台で、私が住んでいる地域の大河ドラマなので興味深く見ています。

コンサートの感想記事は「文章」で演奏の良さを表現することの難しさを感じています。
そして面白くもあり、今より良い文章表現を思い付けば改良していきたいと思います。

フォトギャラリー館は、見やすさを上げるように構成を少し変えられればと思います。
図書ランキングも前回の加筆修正から時間が経ったので新たな加筆修正ができればと思います。
今年もマイペースに楽しくブログを書いていきたいと思います


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コメント (2)
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新年のご挨拶

2019-01-01 18:20:29 | ウェブ日記


新年明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします。
良い一年になることをお祈り致します

写真右下のお雑煮3杯とともに餅を5個も食べるパワフルな元旦になりました。
きんぴらごぼう、煮豆、だし巻き玉子のお正月らしい料理も食べました。
そして元旦を青空で迎えられて嬉しいです

何と今日は少し喉が痛く風邪を警戒しながら過ごしています。
明日は皇居の新年一般参賀に行こうとしているのでぜひ風邪にはならないでほしいです。
朝野菜がたくさん入っているお雑煮を3杯食べたのはビタミン類が摂れて良かったと思います。
ダイエットからは遠ざかりますが風邪を引くかも知れない時はどんどん栄養を取って身体の抵抗力を上げたほうが良いと思います。

今日早く寝て身体を休めれば何とか風邪にならずに済むかなと思います。
明日は平成では最後の新年一般参賀にぜひ行きたいと思います
コメント (8)
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