読書日和

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一楽章f未完成 弦楽四重奏コンサート

2019-01-27 21:52:05 | コンサート、演奏会


(写真左からファーストヴァイオリン川本冴夏さん、セカンドヴァイオリン浦川莉緒さん、ヴィオラ山本敬子さん、チェロ阿曽沼裕司さん)

昨日広島県広島市の音楽喫茶「一楽章f未完成」に「弦楽四重奏コンサート」を聴きに行きました。
弦楽四重奏は1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの四人によって行われる演奏です。
オーケストラ全体での音を少しずつ縮小していくと最後に残るのがこの4つの音とのことで、作曲家にとって交響曲と並ぶ重要ジャンルとして確立されてきた歴史もあります。
そんなオーケストラの中心の音を出す楽器と強力な演奏者達による素敵なクラシック演奏を聴かせて頂きました


-------------------- 一楽章f未完成 弦楽四重奏コンサート --------------------



司会進行を務める川本冴夏さんが最初の挨拶で今日はこんな吹雪の中来てくれてありがとうございますと言っていました
そしてなぜ今日降るんだと雪を恨んだと言っていました





今回は川本冴夏さんが曲にまつわる話などをして「〇〇さん、この曲の良さを紹介してください」といった感じで時折話を振りながら進んで行きました。

広島県広島市のエリザベト音楽大学には在学生、教師陣、社会人メンバーから成る交響楽団があり、川本冴夏さんは2017年度にコンサートミストレス(ファーストヴァイオリン(第1ヴァイオリン)の筆頭格の人が務めるオーケストラの中心的存在)を務めました。
昨年11月21日に「エリザベト音楽大学 創立70周年記念演奏会」を聴きに行った時、2017年夏にドイツのベルリンで行われた公演の写真がロビーに展示されているのを見かけました。





コンサートミストレスの位置(左側の一番観客席に近い先頭列の、先頭の席)を見ると川本冴夏さんの姿がありました。
この時、大学史上初のベルリン公演でエリザベト音楽大学交響楽団を率いたのが川本冴夏さんだということが分かりました。
私が川本冴夏さんの演奏を初めて聴いたのは2018年の10月で、ベルリン公演のことは知らなかったのでこの大舞台での大活躍に驚くとともに、凄く演奏の上手い人なので納得でした。





浦川莉緒さんは現在エリザベト音楽大学の三年生で、作陽音楽短期大学を卒業してエリザベト音楽大学の三年次に編入したとのことです。
浦川莉緒さんの演奏を初めて聴いたのも2018年の10月で、「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」で演奏を聴いた時に上手いなと思ったのを覚えています。

そして浦川莉緒さんも2018年10月開催の「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」にコンサートミストレスで登場しました。
なのでこのコンサートはヴァイオリンがどちらもコンサートミストレスを経験している豪華な二人でした





山本敬子さんはエリザベト音楽大学交響楽団の社会人メンバーで、「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」のオーケストラメンバーに名前があります。





阿曽沼裕司さんも「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」のオーケストラメンバーに名前があり、さらに「威風堂々クラシック in Hiroshima2018コンサート」のオーケストラメンバーにも名前があります。
またドレッシングちゃんというシンガーソングライターの女性が好きとの豆情報もありました。



1. A.ドヴォルザーク
  弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 作品96<アメリカ>





今回はかなり近い位置で演奏を聴いていました。
間近で聴いたことで、演奏の時に弦を触る左手を震わせたり、弓を持つ右手の角度を変える様子などがよく分かりました。





一楽章
浦川莉緒さんのソロ演奏に川本冴夏さんのソロ演奏が続く場面、さらに山本敬子さんのソロ演奏に川本冴夏さんのソロ演奏が続く場面も良かったです。
一人のソロ演奏の後に他の人のソロ演奏が続くとまるでリレー形式のようで音のする方へと引き寄せられます
阿曽沼裕司さんの音が目立つ場面もチェロの重みのある音が良かったです。
やがて全体の音の迫力が凄くなり、最後はゆったりとした演奏になり音色が良かったです。





二楽章
川本冴夏さん以外の三人でもの悲しく始まります。
すぐに川本冴夏さんも入り、これが凄く良い音色でした
山本敬子さんが一楽章では笑顔を見せながら明るい雰囲気で演奏していたのが二楽章ではシリアスな雰囲気になっていたのが印象的で、曲調によって雰囲気も変わるのだなと思います。

高音でのゆったりな演奏になり、その伸びが良かったです。
ゆったりな演奏の良さが凝縮されているかのような演奏で、凄く良くて引き込まれました。

阿曽沼裕司さんの演奏に他の三人がピッチカート(指だけでポロンポロンと弦を鳴らすこと)を中心にした演奏で続きます。
途中でヴィオラが小刻み音になり、その状態での演奏がしばらく続いて最後は消え入るように終わりました。




(弓が横向きに近い時は低い音を弾いています)

三楽章
軽快に始まります。
もの悲しげでありさらに激しい演奏がありました。
順番に「タタタンッ」という短い音を演奏していった場面も素早い呼応が良かったです


四楽章
凄く明るくなり、ドラマチックさを感じる場面もありました。
川本冴夏さんの高音と浦川莉緒さんのピッチカートが目立ちます。
明るさがさらに増しリズミカルさもある演奏になり、やがて川本冴夏さんの高音が凄く目立つようになり盛り上がりが凄かったです




2. A.ドヴォルザーク
  二つのヴァイオリンとヴィオラのためのテルツェット ハ長調 作品74



(浦川莉緒さんトーク中)

「テルツェット」は三人での演奏という意味で、川本冴夏さん、浦川莉緒さん、山本敬子さんの三人で演奏しました。
二人で演奏をデュオ、四人で演奏をカルテットと言うのに対し、三人での演奏はトリオとは限らずテルツェットと言う場合もあるようです。





一楽章
高音の伸びのある演奏で始まり、ゆったりな高音演奏が続きます。
安心するような心安らぐ音色があり、直後に少し激しい演奏に変わる場面がありました。

高音のゆったりな音色が凄く良かったです。
浦川莉緒さんの高音が目立つ場面があり、抜群の伸びでした。

全体の迫力が増した後、ゆったりとした弱めの演奏に変わりその伸びも良かったです。
最後、山本敬子さんのピッチカートが目立って終わりました。





二楽章
少しスピーディーに始まります。
「タンタタン、タタン!」というワクワクするメロディがよくありました
さらに三人で「タータン、タターン」というメロディをゆっくり演奏しながら繰り返していてそれが凄く良くて胸に響きました





三楽章
ゆったり始まります。
川本冴夏さんが凄く強く演奏して浦川莉緒さんが続く場面がありました。
ヴィオラの山本敬子さんが先導して他二人が続く場面もありました。
浦川莉緒さんが高音で演奏して他二人が速い小刻み音で音の土台を作る場面もあり、ゆったりした雰囲気ですが演奏の仕方はどんどん変わっていきました。
やがて三人でリズミカルで力強さもある小刻み音の演奏をし、最後は凄く迫力のある演奏で終わりました。




3. F.メンデルスゾーン
  弦楽四重奏曲第6番 ヘ長調 作品80



この曲は川本冴夏さんが何の曲を演奏しようかとYouTubeを見ていて見つけたとのことです。
メンデルスゾーンはお金持ちの裕福な人が書いたんだろうなという曲が多い中でこの曲だけは違っていて、姉が亡くなった悲しみの中で書いた曲とのことです。
楽章ごとの解説を一楽章と二楽章は悲しく、三楽章は姉への未練が表れ、四楽章はやはり悲しくなり最後は悲しさが爆発するように終わると言っていました。
そして川本冴夏さんは何と明るい曲が嫌いで暗い雰囲気の曲の方が好きで、おどろおどろしいこの曲は好みとのことでした





一楽章
凄く迫力がありますが悲しい演奏で始まります。
不気味な小刻み音での演奏になりそれがどんどん強くなっていきます。
川本冴夏さんが悲劇的なものを感じる演奏をし、さらに凄く高い音を凄く強く弾きます。
凄く高い音を凄く強く弾くと物凄い迫力になりますが、その迫力が悲劇の迫力だったのが印象的です。

チェロの阿曽沼裕司さんの作る音の土台が目立つ場面がありました。
その音がどっしりしているのを感じ、チェロが居ると音色の重厚感が増すのがよく分かりました。
また不気味な演奏になった後にやがて全体が凄い迫力になり、特に川本冴夏さんの音の迫力が鬼気迫っていて引き込まれました。





(弓が縦向きに近い時は高い音を弾いています)

二楽章
やはり悲しげに始まりスピード感もありました。
悲しいのに綺麗に流れていくような印象的な演奏の場面がありました。
ヴィオラとチェロだけで演奏する場面がありそれも悲しそうで、すぐにヴァイオリン二人も加わりやがて全体が凄い迫力になります。
「ターラータラララー」という音色が良い場面がありました。
最後は静かなピッチカートで終わります。





(凄く高い音を弾いている場面です)

三楽章
チェロ一人で始まりすぐに他三人も続きます。
悲凄く高い音をゆったり演奏していて悲しげでした。

弱い演奏をゆったりとする場面がありその伸びがとても良かったです。
今回のコンサートではゆったりとした演奏の伸びがとても印象的でした

この楽章でも凄く高い音を凄く強く弾き悲劇的な音色になる場面がありました。
そして同じ凄く高い音でわずかに印象が変わり、「ターラララー、ターラララー」という泣きたくなるような雰囲気の音色がありました。
最後はとてもゆったりな演奏になって終わります。





四楽章
迫力のある始まりでドラマチックさともの悲しさがありました。
「タタンタ タタンタ タタンタ タータン」のリズミカルなメロディが何度も続いたのが印象的で、ヴィオラが一番最初にこのメロディを演奏し他三人もどんどん続いて行きました。

チェロの短い演奏に他三人が順番に続く場面があり、そんな時は移り変わる音色を耳が追い掛けます。
やがて川本冴夏さんの演奏が凄まじい迫力になり、小刻みな演奏が物凄い速さでした。
最後は全体がまさに爆発するような激しい演奏で終わります。






(川本冴夏さんトーク中)

アンコールはハルヴォルセンの「パッサカリア」という曲でした。
二重奏の曲で、1stヴァイオリンとチェロ、2ndヴァイオリンとヴィオラの組み合わせで演奏するとのことでした。
阿曽沼裕司さんが曲の紹介でこの曲は名人芸の曲で演奏技術が見所と言っていました。





最初は川本冴夏さんと阿曽沼裕司さんで演奏しました。





次は浦川莉緒さんと山本敬子さんで演奏しました。
高速な演奏とそれに区切りをつけるようなピッチカートが印象的で、写真はピッチカートをしている場面です。
この二人組ずつでの演奏が何度か続きました。





最後は四人全員で演奏し迫力のある終わり方でした



「弦楽四重奏」は今回初めて生演奏で聴きました。
プログラムの三曲全てが本格的なクラシックの曲で演奏時間も長く、その長い演奏時間の中で時に激しく時に悲しく曲調も変わって行き、聴いていてどんどん引き込まれました。
間近で聴けたのも貴重な体験で、次々と変わっていく音色に魅了され、どの曲も演奏が終わると「これはすげえ」と思い拍手しながら自然と笑みがこぼれました
心踊らせてくれた本格的なクラシック演奏、ぜひまた聴いてみたいです


参考
弦楽四重奏の音色は次のようになります。



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