・ 斬新な発想の設定と人間への温かい眼差しのブラック・コメディ。
ベルギー人でまず連想するのはA・クリスティの名作<名探偵ポアロ>。ロンドン在住で英国人からはフランス人と思われるがその度にベルギー人だと言い返す誇り高い愛国者。
そのベルギー・首都ブリュッセルには神様がいて、アパートに住み妻(女神)と10歳の娘がいる。兄はJC(イエス・キリスト)で置物になっているという設定。
パソコンで何でも思いのままに創造する。最初にブリュッセルを作り、そこに鶏・キリン・虎・ガチョウを住まわせる。なんか不似合でアダムとイヴの誕生となるが、退屈凌ぎに事故や災害を起こすダメ親父。
そんな暴君に愛想をつかした娘エアは6人の使徒を探しに下界へ降りる決意をして、運命に縛られず余命を過ごして欲しいと想って父親のパソコンを操作、世界中の人へ死期を知らせてしまう。
監督・脚本はジャコ・バン・ドルマルで6年ぶり4作目。原題は「新・新約聖書」で、福音書の構成は斬新でブラックな笑いはベルギー人ならではの自虐的なコメディだ。
主演は少女エアを演じたビリー・グロワース。可愛い笑顔は狂言回し役を超え堂々の演技。6人の使徒のひとりに大女優・カトリーヌ・ドヌーブが登場したのはビックリ!ゴリラと恋に落ちる有閑マダム役でベッドシーン?まであって2度びっくり。
6人のエピソードはテーマ音楽があって、哀しい現実の暮らしのなか生き甲斐を見つけようとするハナシで、それぞれの願いが叶う温かい眼差しに救われる。
何度か登場する余命62年以上と知ったケヴィンの行動・終盤の女神の行動・エンドロール後のオチをお見逃しなく!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます