花嫁の父
1950年/アメリカ
善きアメリカ時代のホーム・ドラマ
shinakamさん
男性
総合
80点
ストーリー
80点
キャスト
80点
演出
85点
ビジュアル
75点
音楽
75点
一人娘を嫁に出す父親の心情をコメディタッチで描いたハリウッドのホーム・ドラマ。テーマは古今東西何度も取り上げられているが50年製作で父親役のスペンサー・トレイシーが晩年演じ人種偏見を取り入れた「招かれざる客」の父親とは違って、古き善き時代のアメリカ家庭の雰囲気が溢れている。ヴィンセント・ミネリ監督得意のジャンルで、娘を溺愛する父をS・トレイシーが飄々とした演技を魅せている。
小津安二郎監督作品の笠智衆演じる無口な父とは正反対で、本作の父は娘のために何かと口出しをするが結婚費用を出す以外役割がないさまを、多少オーバーながらコミカルに描いて世の父親に同情を誘う。20年前の礼服を試着するシーンは可笑しさをこらえきれなかった。
20歳の娘を演じたのが当時18歳のエリザベス・テーラーで、その美しさと大人びた姿はモノクロながら早くも大スターの片鱗を窺わせる。完成直後コンラッド・ヒルトン・ジュニアと挙式したのも話題をさらった。以来6度も式を挙げるとは誰が想像したことだろう。このころのリズの美しさはヒトキワ目を惹いていた。
その母を演じたジョーン・ベネットも負けず劣らず美しく、幸せな上流階級の妻らしさが出ていた。
善人しか出ないこんな作品はもう現れないだろう。
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