晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『幸福(1981)』 80点

2010-06-26 10:24:01 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

幸福(1981)

1981年/日本

「相棒」効果で復活した幻の作品

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

市川崑監督が当時人気絶頂だった水谷豊を主演に起用した刑事ドラマ。製作がフジテレビのためTVで短縮版が公開されたあと、ほとんど観る機会がなかった。水谷が「相棒」で復活した効果でDVD化され、CSで完全版が放送されうれしい限り。
白昼、本屋で3人の射殺事件があり被害者のなかに刑事・北(永島敏行)の恋人庭子(中原理恵)がいた。、原作がエドマクベインの87分署だが舞台を80年代の東京に移し、主人公も見事にアレンジされ翻訳ものの感じがしない。原作ではタフガイの主人公の刑事・村上(水谷豊)はTVドラマ「熱中時代」の北野先生風でもあり、妻と別居中で子育てに苦労する等身大の刑事。被害者やその家族と刑事たちの人間模様がドラマの中心となっている。
「おとうと」で絶賛されたシルバー・カラー(銀残し)の映像が時代を切り取ったレトロな感じを醸し出し独特の効果。とくに東京の風景や底辺に暮らす人々の環境は貴重な文化映像である。
市川演出の職人気質は健在で、脇を固める草笛光子、三條美紀、加藤武などどこか「金田一シリーズ」を思わせる。加藤武にあの台詞を言わせるなどサービスカットもあって思わず苦笑い。
市原悦子が生活保護を受ける母親を演じているが、平気でウソをつき、息子を溺愛する姿は30年後のいまも色褪せない。その演技は上手いのひとこと!
娘の恋人を拒否しながらも孤独感に苛まれ、最後は同居を願う父(浜村純)。その妻で、かっとなって娘を置いて家出してしまった無責任な母(草笛光子)。犯人探しは唐突で物足りないが、主人公のダメ親父ぶりとあわせて家族の崩壊ぶりがリアルに描かれていて、家族愛を取り戻せそうなラストシーンに心がなごまされる。



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