悲しみは空の彼方に
1959年/アメリカ
偽りの人生では幸せになれない
shinakamさん
男性
総合
80点
ストーリー
80点
キャスト
80点
演出
85点
ビジュアル
80点
音楽
80点
メロドラマの巨匠ダグラス・サーク最後のハリウッド作品として評価が高い。ファニー・ハースト原作で、’34クローデット・クロベール主演の「模倣の人生」をリメイク。
如何にもラブロマンス風の邦題だが原題は「人生の幻影」で、偽りの人生を送ろうとした女優の10年を描きながら俗っぽいラブ・ストーリーとは一線を画している。
コニーアイランドの謝肉祭でローラ(ラナ・ターナー)とアニー(ファニタ・ムーア)の2組の母娘が出会い、スチーブ(ジョン・ギャビン)という若い男が写真を撮ってくれた。主要な人物5人がいっぺんに登場する冒頭のシーンはなかなか鮮やかで感心させられた。
ローラはブロードウェイで女優をめざす未亡人。アニーは別れた白人との間にできた娘を抱え、職と住まいを捜している。生まれも肌の色も環境も違う2人は似たような境遇からかウマが合い、同居することに。
ドラマは華やかなブロードウェイの舞台裏を描きながら大女優を目指すローラとスティーブの関係の深まりを中心に進んでゆく。ローラ役のL・ターナーは相変わらず美しい。ロック・ハドソン似の年下J・ギャビンとのラブ・シーンも、ライティングの工夫のせいか年齢を感じさせない。
仕事を最優先させたローラはスティーブとは結婚せず娘のスージー(サンドラ・ディ)もアニーにまかせっきり。女優という仕事で愛する人と娘を犠牲にしてきたローラと黒人の母アニーを忌み嫌うサラジェーン(スーザン・コナー)。偽りの人生だと気付いたとき、2人の人生はどうなるのだろうか?後半はアニーとサラジェーンの関係が際立って、ラブストーリーより母娘愛がメインとなる。
アニーを演じたJ・ムーアのひたむきで節度ある人生感と、ひたすら這い上がろうとするサラジェーン役のS・コナーの演技が光る。
のちに青春スターとしてブレイクするトロイ・ドナヒューがワンシーン出てくるが、皮肉にも鮮やかな金髪でサラジェーンを思いっきり殴る女性の敵役だったのが印象的。
マヘリア・ジャクソンのゴスペルが人種差別と物質文明の鎮魂歌として聴こえてくる。
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