・ 演技派転身?のM・モンローによるコメディ・タッチのラブ・ストーリー。
ウィリアム・インジの戯曲を「ピクニック」(55)のジョシュア・ローガン監督で映画化したコメディタッチのラブ・ストーリー。
モンタナのカウボーイ・ボー(ドン・マレー)がロディオ大会に出場するためフェニックスへ向かう途中、付添のヴァージル(アーサー・オコンネル)から女を知るようにけし掛けられる。
世間知らずの純朴な青年ボーは天使を見つけると張り切って、酒場の歌手シェリー(マリリン・モンロー)を見染め勝手に結婚すると決めてしまう。
満足に歌を聴いてもらえない客を黙らせたボーに好意を持ったもののハリウッド・スターを夢見るシェリーは、結婚と聞いてボーから逃れるためロス行きのバスに乗ろうとする。
大会会場で神父まで手配していたボーは、逃げるシェリーをバス停で見つけると、得意の投げ縄で捕まえ、強引にモンタナ行きのバスに乗せてしまう。
「ナイアガラ」(52)でセックス・シンボルとして売り出し、以来「紳士は金髪がお好き」(53)、「百万長者と結婚する方法」(53)、「帰らざる河」(53)、「ショウほど素敵な商売はない」(54)、「七年目の浮気」(55)と役柄は違ってもイメージは不動のもの。
イメージ脱却のため一念発起、NYアクターズ・スタジオでレッスンを受け演技を磨きハリウッド復帰作として選んだのが本作。彼女の最高傑作とも言われ、Gグローブ ミュージカル・コメディ部門の主演女優賞にノミネートされたが獲得はならなかった。(3年後「お熱いのがお好き」で受賞)
可愛らしい演技のどこが変わったかは定かではないが、私生活では元NYヤンキースの大リーガー、ジョー・ディマジオとの離婚による傷心もあって、女としての情感は豊かになっていることは窺える。マリリンは演技以前に天性の女優なのだ。
わざと下手に歌った「That Old Black Magic」は、貴重な生歌となっていてマリリン ファンには見逃せないシーン。
前半のロディオ大会やパレードも見所のひとつだが、グレース・ダイナーというバス停留所カフェでのストーリー展開が見所。カフェの女主人ダイナー(ベティ・フィールド)とバスの運転手カール(ロバート・ブレイ)の粋なヤリトリや、シェリーとボーの恋の行方が如何もブロードウェイのヒット作らしい風情で楽しい。
ボーに扮したD・マレーはこれがデビュー作だが、地方育ちの一途さが出てなかなかの好演だったし、A・オコンネル、女給役のアイリーン・ヘッカート、B・フィールド、R・ブレイなどベテラン陣が確かな演技でマリリンを支えている。
今観ると問題だらけのストーリーも、半世紀前の時代背景での米国を理解した上で目くじら立てずに楽しめるバラエティとして懐かしく鑑賞。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます