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『クレオパトラ(1963)』 75点

2012-03-08 11:01:37 | 外国映画 1960~79



クレオパトラ(1963)


1963年/アメリカ






ハリウッド黄金時代の壮大な歴史スペクタクル








紀元前1世紀ローマ帝国に翻弄されるエジプト女王クレオパトラを描いた壮大な歴史スペクタクル。ハリウッドの黄金時代20世紀FOXが4400万ドル(現貨換算で3億ドル)の製作費を掛け経営危機に陥った曰くつきの作品でもある。クレオパトラ役を100万ドル(現貨換算6070万ドル)のギャランティで起用したエリザベス・テーラーの世紀の美女ぶりが大画面で堪能できることで話題を呼んだ。
監督は当初ルーベン・マムーリアンで相手役のカエサルにピーター・フィンチ、アントニウスにスティーヴン・ボイドでスタートしたが途中降板。監督ジョゼフ・L・マンキーウィッツ、カエサルをレックス・ハリソン、アントニウスをリチャード・バートンに変更して再スタート。ロケ地選択ミスや撮影手順に手間取り、おまけにE・テーラーが体調を崩したりで悪条件が重なり公開まで4年を要してしまった。
前半は、ローマ将軍のカエサルがクレオパトラを女王に据え、プトレマイオス朝エジプト王国を掌握。ローマに凱旋して熱狂的な歓迎を受けるが、皇帝の地位を要求することでプルートゥスに暗殺される。シェイクスピアのローマ悲劇で有名な「ブルータスお前もか!」のシーンは、意外とあっさりダイジェストのように描かれている。
後半は、3年後エジプトを統括するカエサルの部下だったアントニウスがローマでの後継者争いに敗れ、クレオパトラの爛熟した美しさに惹かれて恋に溺れ堕ちてゆく。
監督はシェイクスピアのローマ劇同様「カエサルとクレオパトラ」「アントニウスとクレオパトラ」の2部作6時間で完成させたが、プロデューサーの意向で3時間4分の1本立てで公開している。いまとなっては望むべくもないが2部作を観てみたかった。
2000年前の映像を再現すべく、ハリウッドの総力を挙げたセット・衣装・エキストラの動員は空前絶後の圧倒的迫力。クレオパトラがスフィンクスに乗ってパレードする荘厳なシーンは映画史に残る名場面。オリンピックの開会式セレモニーはこれをお手本にしたのでは?と思うほど。
E・テーラーは前半年齢的に無理があったが、知性と美貌を兼ね備えた女王に相応しい凛とした佇まいは流石。後半はR・バートンとの恋愛が私生活とダブって見える好演だった。
カエサル役のレックス・ハリソンは、若いクレオパトラを得ることで残りのエネルギーを燃やす初老の将軍を等身大で演じ好印象だった。アントニウス役のR・バートンはNO.2の男が押し上げられ、クレオパトラに踊らされる哀れな英雄という損な役回りで、E・テーラーの引き立て役を演じている。他では、政敵でのちのローマ帝国初代皇帝のオクタヴィアヌス役・ロディ・マクドウォールが颯爽としていて際立っていた。
国と愛に殉じたクレオパトラ。「映画史上空前の失敗作」といわれた作品だが、歴史映画好き、E・テーラーのファンなら見逃せない。そうでなくても一見の価値はある。







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