イヴの総て
1950年/アメリカ
60年たっても色褪せないテーマ
総合 85点
ストーリー 90点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 80点
ジョセフ・L・マンキーウィッツが「三人の妻への手紙」に続いて監督・脚本化したブロードウェイのバックステージを描いた人間ドラマ。彼の2年連続オスカー獲得作品でもある。
アメリカ演劇界の最高賞セイラ・シドンス賞の表彰式、栄えある栄冠を得たのは新進女優イヴ・ハリントン(アン・バクスター)。それを複雑な思いで見るのは大女優マーゴ・チャニング(ベティ・デイヴィス)、劇作家のロイド(ヒュー・マーロウ)とその妻カレン(セレステ・ホルム)。ナレーションは批評家のアディソン(ジョージ・サンダース)からカレンに引き継がれ回想シーンへ。
田舎から出てきたイヴはカレンの紹介で、憧れのマーゴの付き人になる。<控え目で・良く気が利き・清楚な>イヴは大胆不敵な野望を秘めていて、徐々に本性を現し始める。
何といっても大女優のマーゴ(B・デイヴィス)と新進女優イヴ(A・バクスター)の絡み合いが最大の見所。マーゴは、役柄をほとんど地で行く我が侭な大女優で、最初はどう見ても好感を持てない。若い役が不釣合いになる40歳を迎えた女優を続ける不安と、女優を辞めて女として幸せを選ぶかの迷いが見え始めると、その純粋さに同情の思いが募ってくる。
対するイヴは、野望をひた隠しにしながら次第に周りに取り入って世渡り上手な裏面性を見せると、こちらのほうが性質が悪いと思わせる。
人間の欲望を赤裸々に描いた本作は60年たっても色褪せない普遍性をもったテーマである。
因みにB・デイヴィスとA・バクスターはアカデミー女優賞にノミネートされたが、表が割れ2人とも逃してしまった。オスカーを争ったビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」も元大女優のハナシだが、内容が暗くて逃している。本作品が獲得したその要因のひとつに、人生の教訓を暗示するシャレたラストシーンが効いたのかもしれない。
女優の卵の端役で出演したマリリン・モンローが、2年後大ブレークしたのもこの作品の内容とリンクしていて大変興味深い。
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