晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『卒業の朝』 80点

2009-03-08 13:59:49 | (米国) 2000~09 

卒業の朝

2002年/アメリカ

社会の矛盾に教師の挫折と喜びを描く

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

イーサン・ケイニンの短編をマイケル・ホフマン監督、ケヴィン・クラインが教師役で主演したヒューマン・ドラマ。
学園ドラマの定番は反抗する生徒が熱血教師の指導により心を改め、立ち直り社会へ旅立つというもの。この映画はその風情を途中まで見せながら25年振りの再会で、良い意味で期待を裏切る。
ヴァージニアの名門男子校の西欧史教師ウィリアム・ハンダート(K・クライン)は、「教育は教えるだけでなく人格形成も担っている」という信念をもって指導している。転入してきたセジウィック・ベル(エミール・ハーシュ)は上院議員の父(ハリス・ユーリン)を持ち、何かと反抗的でクラスの問題児。彼の資質を見抜いたウィリアムは忍耐強く指導するうち向学心が芽生える。
ここまでは予想通りの展開だが、ちょっと気になるのは、ルールを守らず図書館で参考書を借りるのをバックアップしたり、学園名物のイベント「ジュリアス・シーザー コンテスト」の出場権を与えるために点数を増やしたりした思い遣り。このことが後に老教師の心の隅に残ってしまう。
人格形成に教育が影響するのは事実だが、環境や本人の資質によるところも大きいことを知らされる。
K・クラインの教師役はぴったりな<はまり役>だが、「美徳と信念を持って生きる教師振り」は秀逸だ。
アメリカで上映時、ベルのモデルがJWブッシュがではないかといわれるほどのストーリー。終盤は現代社会の矛盾を味わいながら老境に入った教師の挫折と喜びが静かな感動とともに描かれている。
<未熟な者は成長し、無知な者は学び、酔いは醒める。だが愚かな者は永遠に愚かである。>という感慨深い言葉が印象に残る。



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