晴れ、ときどき映画三昧

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『デルス・ウザーラ』 85点

2009-03-12 15:49:55 | 外国映画 1960~79

デルス・ウザーラ

1975年/ソ連

もう一度大画面で観てみたい

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

ロシアの人気作家、ウラジミール・アルセーニエフの「シベリアの密林を行く」「デルス・ウザーラ」をもとにロシア文学を敬愛した黒澤明監督が映画化した旧ソ連映画。アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。
20世紀初頭の帝国ロシア時代。シベリア沿海地方への地質調査隊アルセーニエフ隊長と森林で狩猟する孤独なゴリド人(ナナイ族)デルスの交流を通して、大自然への敬意をドキュメント風に描く叙情的物語。
第一部は2人の出会いと、デルスが天然痘で妻子を失いながらも風・水・火を敬い動物を友に暮らす大自然と共生する様子が描かれる。とくにハンカ湖付近での、自然の猛威に晒されながらの野営シーンが圧巻。2人の友情はこれで深まったこの15分のシーンに撮影は10日間にも及んだという。「カプテン」「デルス」と呼び合い別れを惜しみながら再会を誓って第一部は終わる。
これだけでも映画は充分成立するが、第二部で再会する5年後はこの地方にも開発による変化が見られ自然とともにデルスも老いが忍び寄る...。
黒澤監督は’70作品「どですかでん」の興行不振、ハリウッド進出の不成立、自殺未遂と失意の底にいてこの作品がカムバック第一作。かつて三船敏郎主演・久板栄二郎脚本で北海道を舞台に「蝦夷探検記」を企画した経緯があった。それだけにこの作品への想い入れは並大抵ではなく、本作もデルス役を三船に打診したという。結局実現しなかったが、もっとアップの多い人間ドキュメントの映像になっていただろう。
慣れないソ連のスタッフやフィルムには不満や苦労はあっただろうが、一味違う黒澤作品に仕上がった。もう一度大画面で観てみたい。



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