晴れ、ときどき映画三昧

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「ラストエンペラー」(87・伊/中国/英) 70点

2017-08-13 14:24:50 | (欧州・アジア他)1980~99 

 ・ 清朝最後の皇帝・溥儀の生涯を描いた、壮大なエンタメ作品。


溥儀自伝「わが半生」をもとにベルナルド・ベルトリッチ監督がマーク・ペプローとの共同脚本により清朝最後の皇帝・溥儀の人生を壮大なスケールで描いた歴史劇。
歴史的事実よりも大胆な創作を織り込んだエンタメ作品で、この年のアカデミー賞作品賞など9部門を受賞している。

1950年国共内戦終結とともに満州国が崩壊、ソ連に抑留された皇帝・溥儀が中国に送還され戦犯として帰国した。ハルピン駅で自殺を試みるが失敗。
意識が朦朧とする中で思い出したのは幼少の頃。僅か2歳で清朝皇帝に即位した紫禁城での暮らしは、何不自由ないものの激動の生涯の始まりだった。

50年、戦犯期から遡って08年、幼少時代の皇帝即位・紫禁城内での暮らし、24年、北京事変による追放、32年、満州国執政から皇帝即位、そして晩年の文化大革命までをカットバックによる溥儀の波乱に満ちた運命をドラマチックにダイジェスト版で描写した163分。

ベルトリッチは中国の協力を得て世界初の故宮(紫禁城)のロケを敢行し、太和殿での荘厳華麗な即位式など圧巻な映像美で魅了。
中国現代史を背景に、近代化の波に揉まれ孤独な人生を送らざるを得ない悲劇の主人公として観客を誘導している。実在の溥儀はもっと強かで生命力に長けた人物だったが・・・。

主人公の溥儀を演じたのはジョン・ローン。結婚した15歳から晩年までを独りで演じ分けている。

台詞が英語である不自然さを感じさせないのは、 ピーター・オトゥール扮する英国人家庭教師レジナルド・ジョンストンが登場してから。流石に西太后や宦官らが英語を話すのは不自然で、坂本龍一が演じた敵役甘粕大尉が日本語だったのは一安心。

秀逸なタイトルバックのオープニングから、語り草となっている坂本龍一のテーマ音楽が流れるエンディングまで、エンタメ作品として完成度が高い。
メクジラ立てても仕方がないが、当時の中国が製作に加わっているので当然だが、敵国日本の扱いにはあたかもこれが全て真実だと思って観る日本の若者や世界中の人々が大勢いると思われるのが残念!
史実とは違う側面もあることを念頭に置かなくてはならない。





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