さよならをもう一度
1961年/アメリカ
中年女性の哀しみをリアルに描いたアメリカ製フランス映画
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 75点
ビジュアル 80点
音楽 85点
終始自由恋愛と結婚をテーマにした小説を書いたフランソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き?」をサミュエル・A・テイラー脚色、アナトール・リトヴァク監督で映画化した米国製ラブ・ストーリー。若いころ観たとき、パリの街角に住んで仕事をする主人公ポーラとロジエが何故英語を話すのだろうか?と不思議に思った作品。
国籍は別にして、イングリッド・バーグマンは自称40歳で美貌の室内装飾家。イヴ・モンタン扮する5年越しの恋人でトラック販売会社の重役・ロジエとは互いに自由を束縛しないという約束。今とは10年ぐらい年齢のギャップのある40代の女性にとって衰え始める美貌は将来の不安を感じ始める時期。そんなとき現れたのが25歳のアメリカ人資産家の息子・フィリップ。職業は弁護士だが、1日をどうやって過ごそうか考えるだけの日々で若い女性には飽き飽きしていた。アンソニー・パーキンスは前年「サイコ」で精神異常の青年役で主演して注目を浴びたが、本来こういう役がぴったりで、ベスト・アクトといってよい。
メインテーマは中年女性の恋の揺らめきだが、若い男との恋は良くも悪くも残酷な状況にいる己に気付かされる。ポーラには百戦錬磨のプレイボーイと世間知らずで一途な若い男との究極の選択しかなかったのだろう。ヒロインの哀しさが車のワイパーでは払いきれない涙に象徴されている。
ブラームスの交響曲3番ヘ長調3楽章がさまざまなアレンジで奏でられ、ディオールのコスチュームに身を包んだバーグマン。体型が変わりつつある中年女性の哀しみがリアルで2人の男が引き立て役として上手く噛み合っていた。