晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『愛情物語('56)』 75点

2012-06-05 16:07:52 | 外国映画 1946~59




愛情物語('56)


1955年/アメリカ






栄光と挫折、エディ・デューチンの伝記映画





プロフィール画像

shinakamさん


男性






総合★★★★☆
75



ストーリー

★★★★☆
75点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
75点




ビジュアル

★★★★☆
75点




音楽

★★★★☆
85点





’51年40歳の若さで自ら命を絶った実在のピアニスト、エディ・デューチンの伝記映画。
50年代は「グレン・ミラー物語」(53)、「ベニイ・グッドマン物語」(56)と実在のビッグバンドの伝記映画が作られ大ヒットしているがこれも原題は「エディ・デューチン物語」だ。
ボストンの薬剤師だったエディがビッグバンド・リーダーのライスマンを頼ってNYへやってくる。社交辞令で「NYへ来たら寄ってくれ」と言われたのにスカウトされたと勘違いと分かりガッカリ。いまさらボストンに帰れない。
前半はとても実話だとは信じられない夢のようなストーリー。大資産家の娘マージョリーに仲介されバンドに雇われメイン・ピアニストとなりついには自分のバンドまで作るほどの売れっ子になり、マージョリーと結婚する。
その間ショパンの夜想曲2番変ホ長調をアレンジした「To Love Again」を始め「マンハッタン」「満月の輝き」「君はわがもの」「ささやき」と甘いメロディが次から次へと流れる。
エディを演じたのは2枚目タイロン・パワー。ピアノさばきは本人が弾いているのでは?と思わせるほど鮮やか。(実際は名ピアニストのカーメン・キャバレロの演奏)マージョリーのキム・ノヴァックは2年後「めまい」で大ブレークするがそれまではヴァンプ役が多く、本作はイメージ・チェンジにひと役買った正統派ヒロインで愛する人と息子を残して逝ってしまう薄幸の役。
栄光と挫折の前半から後半は苦悩と復活、そして...。
息子ピーターを避け巡業を重ね、太平洋戦争では海軍へ入隊し音楽から断絶してしまう中盤から復活を果たすきっかけとなった廃墟で見つけたピアノ演奏<チョップ・スティックス>は感動もの。戦災孤児で息子ピーターのお守役のチキータと結ばれ息子とも打ち解けるなど、幸せ過ぎて怖いくらいな展開だ。その間流れたのが「ディジー・フィンガーズ」「君はわがすべて」「明るい表通りで」「ブラジル」「バラ色の人生」など名スタンダード・ナンバーのオンパレード。
そして最後はやっぱり「To Love Again」。アメリカの音楽がダンス・ミュージックとともに隆盛を極めたビッグ・バンドを偲ぶにはもってこいの作品だ。