晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『毎日が夏休み』 75点

2012-06-29 10:45:54 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

毎日が夏休み

1994年/日本

少女マンガを大人も楽しめるメルヘンへ

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

大島弓子の少女マンガを金子修介が脚色・監督した大人も楽しめるメルヘン。その翌年からの「ガメラ」シリーズでブレークした金子監督が3年掛かりで映画化しているだけあって、原作の雰囲気を壊さないような配慮をしながらオリジナリティがしっかりと感じられる。このあたりは<三丁目の夕日>とは大違い。
東京郊外、新興住宅地に住む中学生・林海寺スギナは元気に家を出るがイジメが原因で登校拒否。公園で弁当を広げると義父・成雪に出会ってしまう。父も出社拒否をしていた。
こんな冒頭から暗いテーマを抱えていながら妙に明るい2人に違和感を感じてしまう前にこれはライト・コメディなのだという心構えが必要だ。
2人に振り回されながら意外に落ち込まずついて行く母良子。成雪も良子もバツイチでの再婚だが、一家はそれなりにバランスが取れていたはずがこれで家庭崩壊か?
このドラマは2人が「何でも屋」を始めそれを楽しく真剣にやることで道が開かれるのでは?という非現実的な方向へ進んで行く。そこに成雪の元妻・紅子と良子の元夫・渡が絡む。
作りようによってはマルっきり違うトーンの作品に成りかねないストーリーを監督はほのぼのとした大人も楽しめるメルヘンとして完成させた。
ヒロイン・スギナを演じた佐伯日奈子はこれが映画デビューで17歳とは思えない初々しさがぴったりハマって、ぎこちないナレーションまで計算ずくのよう。成雪の佐野史郎は原作のようなハンサムではないが、浮世離れしたエリートの感じと妙に人生を悲観せず一所懸命ぶりが好感を持たせる。
脇を固める風吹じゅん、高橋ひとみ、益岡徹、黒田福美、小野寺昭など真面目にファンタスティックな世界に身を置いての演技は、軌道すれすれだが外してはいなかった。ワンシーンながら先生役の戸田恵子は見事!
公開時がバブル期ならもっとヒットしたに違いない。時代によって評価は変わるが5年遅きに失した感がある。