晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『恋するトマト/クマインカナバー』 80点

2012-06-12 15:40:50 | 日本映画 2000~09(平成12~21)

恋するトマト/クマインカナバー

2005年/日本

ひとり4役・大地の熱意が伝わる心温まるラブ・ストーリー

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

幅広いキャラクターを演じる名脇役・大地康雄が企画・製作・脚本・主演のひとり4役を担って7年の空白を乗り越え足掛け13年間で完成した異色ラブ・ストーリー。
バブル期を経験したとはいえ、つい最近まで豊かな食生活を満喫していて、不安など何もなかった日本の食糧事情。その基本を支えていた農業は疲弊し、後継者不足は深刻な問題だ。霞ヶ浦の近くで農業を営む野田正男は45歳だが未だに独身。集団見合いで田舎暮らしに憧れて参加した景子とは農業に対する姿勢がまるっきり違って破談に。フィリピン・パブで見染めたリバティとの国際結婚も両親を説得してのマニラ行きだったが詐欺に遭って途方に暮れる。
野田正男とは大地の本名でまるで本人が乗り移ったようなキャラクター。愚直で不器用だがお人好し。仕事には情熱を持って挑み粘り強く決して諦めない。こんな人物を演じさせたら、竹中直人と双璧だ。
フィリピンでは怪しいタレント派遣業の中田に救われ裏稼業に足を染めるが、豊饒で温かい心の持ち主クリスティナと出会い、再び農業に目覚める。
ベタな展開は出来過ぎの感はあるが、観客を裏切らない大切なものとヒトが心を熱く感動へと導いてくれる。
景子を演じた富田靖子、リバティのルビー・モレノも適役だがフィリピンのトップ女優というアリス・ディクソンが寅さんのマドンナのような役割を果たして胸を熱くさせる。村田雄浩、藤岡弘、織本順吉、あき竹城、清水紘治、石井光三など脇を固めたのは友情出演では?彼らにも拍手を送りたい。
副題のクマインカバナーはタガログ語で「ご飯食べましたか?」という意味でホームレスになった正男に浜辺で見知らぬ娘に声を掛けられたときの言葉。結婚詐欺をしたフィリピーナも浜辺で声を掛けた優しい娘もいる。当たり前だが、「一概に国や人を判断してはいけない。」